世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第979信(2009.10.26)

  • 聖公会から加入望む人のための使徒憲章を教皇が承認
  • ウエストミンスター大司教とカンタベリー大主教が共同声明
  • スウェーデン教会が同性愛結婚式を認める
  • コビアWCC総幹事ら北朝鮮を訪問
  • コビア総幹事、金永南・最高人民会議常任委員会委員長と会談
  • 移住と若者が重点課題=カトリック・WCC合同作業グループ
  • 英極右党首のBBC討論番組出演、抗議のデモも
  • ノーベル文学賞作家が聖書を「悪い道徳の手引書」と批判
  • 英国の教会が大阪のビルの21〜22階に再現
  • 《メディア展望》

◎聖公会から加入望む人のための使徒憲章を教皇が承認

 【CJC=東京】教皇ベネディクト十六世は、英国国教会(聖公会)からカトリック教会に入ることを望む聖職者・信者らに応えるための使徒憲章を承認した。バチカン放送(日本語電子版)によると、憲章は後日発表される。
 聖公会内部に、女性聖職や公然同性愛者の主教選出、同性愛者同士の結合祝福などに幻滅した人たちからカトリック教会加入の希望が出ている。
 バチカン(ローマ教皇庁)教理省(長官ウィリアム・ジョセフ・レヴァダ枢機卿)は、10月20日行なった記者発表で、憲章の概要を明らかにし、英国国教会のメンバーであることとこれまで守っていた典礼の多くをそのまま保持しつつ加入を認めることになる、と語った。
 憲章で、教皇は教会法上の組織の一つ、属人的司教区(オルディナリアーティ・ペルソナーリ)の形を導入する。この特別な司教区の設立で、聖公会に属していた信者がカトリック教会との完全相互聖餐関係に入ることを可能にすると同時に、これらの信者がアングリカンの精神遺産と典礼の要素を保つことができるようになる。
 これらの元聖公会信者の司牧的指導は属人的司教区によって保証され、その責任者は通常、元聖公会の聖職者から選ばれる。
 結婚している元聖公会の聖職者をカトリック司祭として叙階する可能性も出てきた。
 これらの司教区は、必要に応じて地域の司教協議会の意見を仰ぎ、この組織が世界各国の軍隊の隊員の司牧に当たる従軍司教区と何らかの形で似たものとなろう。


◎ウエストミンスター大司教とカンタベリー大主教が共同声明

 【CJC=東京】ロンドンで10月20日、カトリック教会のヴィンセント・ニコルズ・ウエストミンスター大司教と英国国教会(聖公会)のローワン・ウイリアムズ・カンタベリー大主教が、共同声明を発表した。
 バチカン放送(日本語電子版)によると、教皇ベネディクト十六世が近く公表する、聖公会からカトリック教会へ加入望む人のための『使徒憲章』は、両教会の伝統の間にある信仰、教理、精神性における本質的な一致のさらなる認識を示すもの、と声明は述べ、これまでの長いエキュメニカル対話の道のりがなければ、こうした認識も、完全な目に見える形での一致への希望を培うことも不可能であっただろうとしている。
 声明は、両教会をこれからも一致と宣教、英国とキリスト教教会全体の福音の証しにおいて共に成長させることを願ったものになっている。


◎スウェーデン教会が同性愛結婚式を認める

 【CJC=東京】スウェーデン教会(ルーテル派)が、式典の中で性的指向に中立的な姿勢を打ち出す中で、牧師が同性愛者同士の結婚式を司式することを認めた。これまでは法的に結合を認めるが正式な結婚としてではなかった。
 ストックホルムで開かれた総会で10月22日、決議が176票対62票で採択された。同性間の教会結婚式は11月1日から始めることにした。
 今年5月、スウェーデンでは同性愛者のカップルにも異性間と同様の結婚する権利を認める法律を制定した。教会は2000年に国教会制度から自立しており、教会内には結婚式は男女間のものに限るべきだとの意見もあって、一本化されてはいない。
 アンデシュ・ウェイリド総監督は決定を歓迎、「私としては正しい決定だ。ただあまりに早すぎたと思っている多くの人の気持ちも分かる」と22日の記者会見で語った。しかし重要で必要な決定であることを認めた。
 今回の決定は、同性愛者同士の結婚式司式を牧師に強制するものではない。ただその場合でも、教会は同性愛者も結婚出来ることを保証し、他教会の牧師に司式を依頼することになる。


◎コビアWCC総幹事ら北朝鮮を訪問

 【CJC=東京】世界教会協議会(WCC)のサミュエル・コビア総幹事らが10月17日、4日間の日程で北朝鮮を訪問した。朝鮮基督徒連盟の招請によるもの。
 WCCの公共の証プログラムと国際関係委員会のマシューズ・ジョージ・チュナカラ部長は、「教会、政府当局者と会見し、北朝鮮の教会の証について学ぶ」と語った。
 朝鮮基督徒連盟は政府の監督下にあるプロテスタント教会として1946年設立された。信徒数1万2000人という。


◎コビア総幹事、金永南・最高人民会議常任委員会委員長と会談

 【ジュネーブ=CJC】10月17日から北朝鮮を訪問している世界教会協議会(WCC)のサミュエル・コビア総幹事らは19日、平壌で金永南(キム・ヨンナム)最高人民会議常任委員会委員長と約70分間会談した。
 金氏は、非核化問題は米国との直接折衝を通じて解決すべきだ、と語った。


◎移住と若者が重点課題=カトリック・WCC合同作業グループ

 【ジュネーブ=CJC】カトリック教会と世界教会協議会(WCC)の合同作業グループが10月12〜19日、スペインのコルドバで年次会議を開催した。作業グループは、エキュメニズム(教会一致運動)の霊的根源と長年にわたる業績が確実に評価されているか、を集中的に取り扱っている。
 今回は移住問題が論議され、「キリスト者のエキュメニカルな関係を深めるための挑戦であり、好機」と認識された。
 作業グループでは「エキュメニカル運動の中で若者に対するリーダーシップと責任」も重要課題として取り上げた。


◎英極右党首のBBC討論番組出演、抗議のデモも

 【CJC=東京】英公営BBC放送の視聴者参加型の人気政治討論番組『クエスチョンタイム』に10月22日、移民排斥を唱える極右政党『英国民党』(BNP)のニック・グリフィン党首(50)が出演したが、ロンドンのBBC本社前などに殺到した抗議のデモ隊と警官隊が衝突して負傷者が出る騒ぎとなった。AFP通信が報じた。
 今年6月の欧州連合議会選挙でグリフィン党首ら2人が当選を果たし、得票率6・2%を得たことから、BBCは「公平であるのが『放送局の義務』」だとして、グリフィン党首を番組に招待したが、それが激しい議論を招いた。
 番組でグリフィン党首は、「わたしはナチスではない。ホロコースト(ユダヤ人虐殺)を否定する確信もない」と主張。むしろBNPが「あからさまに反ユダヤ主義の人種差別団体」になるのを押しとどめたことで、英国内のネオナチからは敵視されていると述べた。一方で、「わが国は基本的に英国的なキリスト教国でなければならない」とも述べている。


◎ノーベル文学賞作家が聖書を「悪い道徳の手引書」と批判

 【CJC=東京】1998年にノーベル文学賞を受賞したポルトガルのジョゼ・サラマーゴ氏(86)が10月18日、聖書を「悪いモラルの手引書」と非難するとともに「聖書がなかったら世界はもっと良くなるだろう」と発言し、物議を醸している。AFP通信が報じた。
 19日のポルトガルの通信社報道によると、サラマーゴ氏は、北部のペナフィエルで行われた新著『カイン』の出版会見で、「聖書は悪いモラルの手引書で、われわれの文化、そして生活様式にも強い影響を与えている。聖書がなかったらわれわれは今とは異なり、恐らくもっと良い人間になっていただろう」と語った。
 同書は、旧約聖書に出てくる、アダムとイブの息子で弟アベルを殺害した「カイン」の物語を風刺的に書き換えたもの。サラマーゴ氏は、神を「われわれの頭の中にだけ存在する残酷で嫉妬深くて鼻持ちならないもの」と表現するとともに、「旧約聖書を読まないカトリック教徒にとっては(この本が)問題だとは思わない。ユダヤ教徒は気分を害すかもしれないが、わたしにとってはどうでもいいこと」と話した。
 サラマーゴ氏は92年にも、「イエスがマグダラのマリアと性交して童貞を失い、世界を支配するために神に利用される」という内容の著書を発表、論議を呼んだことがある。


◎英国の教会が大阪のビルの21〜22階に再現

 【CJC=東京】この7月、大阪・難波のホテル結婚式場に設置された英国の田舎の教会が、「日本で結婚式にふさわしいことを証明するもの」、と英公営BBCテレビが報じた。西部ヘレフォードシャー州ロス・オン・ワイ近郊ブロックハンプトンの『オールセインツ教会』が高層ビルの21〜22階に再現された。複製は4分の3の大きさ。
 同教会のウイル・プリディー牧師は、デベロッパー(開発事業者)『ユーロピアン・コネクション社』が教会を訪れ、レーザーで計測していったと言う。
 ウェンディ夫人は「あの人たちはヘレフォードシャー州を旅行中に、道に迷ったのかどうかは知らないが、教会の前を通りがかった」と偶然の出会いだったことを語っている。
 その後、連絡があり、複製の許可を求めてきた。「教会評議会の同意を得て、複製を作った」と夫人、「素晴らしい。こんなことが出来るなんて。それも21階によ」と言う。


《メディア展望》

  =カトリック新聞(10月25日)=https://www.cwjpn.com
★正義と平和全国集会=流されず平和への道を=18の分科会=さいたま教区内外で
★労働者として共に福音を生きて=ACO(アセオ)40年目の全国大会=函館
★祈り中心に 教派超え=朝祷会関東ブロック大会開催
★アフリカシノドス=緊張克服で主導権を=民族間和解が筆頭課題 
★比南部の教会とイスラム指導者=誘拐神父の解放訴え
★浦上(長崎)巡礼団も参加=岡山・鶴島=「四番崩れ」殉教者追悼

  =キリスト新聞(10月24日)=https://www.kirishin.com
★ドナルド・マッキム氏講演=キリストに基づく"務め"強調=日本キリスト教会神学校
★YMCA同盟=「地球市民」リーダー育成へ=国内外から青年60人が研修
★オバマ米大統領ノーベル平和賞受賞=交錯する期待と懸念
★ベー・チェチョルさん自伝出版でライブ=「声と信仰」回復を喜び語る
★『光の旅』への誘い=日本福音ルーテル東京教会
★ルーテル100周年=日野原重明氏が記念講演=「いのち」の生かし方説く

  =クリスチャン新聞(10月25日)=https://jpnews.org
★比・豪雨被害拡大=現地教会、キ教支援団体 緊急支援
★米福音ルーテル保守派=同性愛問題で独自の動き
★「新日本聖書刊行会」本格始動=新改訳大改定へ体制整う
★記念の年こそ聖霊の注ぎを=聖霊派諸教会が150周年フェスティバル
★ホーリネスの群れ委員長=八束潤一氏が急逝
★死者千人超 スマトラ沖地震=各救援団体が現地入り


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