世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第978信(2009.10.19)

  • 「神は創造者ではない」とオランダの旧約学者
  • フランクリン・グラハム氏が訪朝、金総書記に贈り物
  • スーダン南部で干ばつ深刻
  • 『統一教会』が韓国で合同結婚式、7500組参加
  • スペインで大規模デモ、中絶の条件緩和に反対
  • バチカンがガリレオ展開催
  • ダンテの神曲が米でビデオゲームに
  • 十字架にかけられたゴリラのろう人形
  • 《メディア展望》

◎「神は創造者ではない」とオランダの旧約学者

 【CJC=東京】英紙テレグラフによると、オランダの旧約学者エレン・ファン=ウォルデ氏(54)が創世記の冒頭の記述「初めに、神は天地を創造された。」(新共同訳)はヘブル語原典からの正確な訳出ではない、と主張している。
 聖書記者は、神が世界を創造したことを示唆しようとしたのではなく、実際に神が人間やけものを創造した時には「地」はすでに存在していた、と言う。
 ファン=ウォルデ氏はオランダ・ナイメーヘンの出身校のラットバウト大学で自説を講演することになっている。同氏はヘブル語原点を再検討し聖書全体の文脈の中で、さらに古代メソポタミアの創造物語などとも比較した。
 創世記の冒頭で使用されているヘブル語の動詞「バラ」は「創造」を意味するものではなく、「空間的に分ける」を意味しているとの結論に達した。第1章第1節は「初めに神は天と地を分けられた」と読むべきなのだ。
 今回の研究は、聖書の「初め」は時間としての始まりではなく、物語の始まりであることを示すものだ、と言う。神は創造されたのではなく、天から地を、海から陸を、鳥や地に満ちているものから海の怪物を、分けられた。
 これまで考えられてきた「クレアティオ・エクス・ニヒロ」(無からの創造)は誤解であり、神は、すでに存在していた地球を生物の住めるところとし、地と水を分け、暗闇に光をもたらしたのだ、と言う。
 同氏は、自らの見解が目新しいだけでなく、多くの宗教者の核心に触れるものだとして、活発な議論が展開されることを望むと語った。「わたし自身も傷つくかもしれない。自分を宗教的であり、創造者は信頼の対象として特別なものと見てきたからだ。その信頼は持ち続けたい」と語った。
 ラットバウト大学の報道担当は、「この新しい解釈は、これまで知られていた創造物語を完全に改革するものだ」と語った。同氏は「創造神という伝統的な見解は、もう維持できない」と付け加えた。


◎フランクリン・グラハム氏が訪朝、金総書記に贈り物

 【CJC=東京】米国の著名な大衆伝道者ビリー・グラハム氏の息子フランクリン・グラハム氏が10月13日から15日まで、非政府組織(NGO)『サマリタンズ・パース』(サマリア人の財布)の会長として北朝鮮を訪問した。平壌国際空港では、6カ国協議の北朝鮮次席代表を務める李根外務省米州局長が出迎えた。朝鮮中央通信(KCNA)は「米朝関係進展の懸け橋の役割を果たしたい」との牧師の空港での発言を伝えた。金正日総書記への贈り物を持参した、とも報じている。北朝鮮メディアが第三国の首脳級要人以外の訪朝で、到着時の発言を紹介するのは異例。
 フランクリン氏の訪朝は3度目。父親のビリー氏は、1992年と94年に訪朝、故金日成総書記と会談した。
 フランクリン氏は北朝鮮高官らと会談、同団体が設立した医療施設を視察した。また、歯科医養成施設に19万ドル(約1700万円)相当の機器を寄贈する。
 朝鮮中央通信によると、最高人民会議常任委員会の金永大副委員長は14日、表敬訪問したフランクリン氏一行と平壌の万寿台議事堂で会見した。フランクリン氏は席上、父親ビリー・グラハム牧師からの金正日総書記へのあいさつを伝えるよう金永大副委員長に託した。同日、朴宜春外相もフランクリン氏一行と会見した。
 フランクリン氏が15日、経由地の北京で明らかにしたところでは、北朝鮮政府高官が同氏に対し、ボズワース米特別代表(北朝鮮問題担当)の訪朝を招請したことを確認した。北朝鮮政府に対する米政府のメッセージを伝えたとの見方は否定したが、帰国後、訪朝結果についてホワイトハウスに報告すると語った。


◎スーダン南部で干ばつ深刻

 【CJC=東京】AFP通信によると、内戦の痛手からの回復途上にあるスーダン南部の農村地域では現在、初夏の深刻な干ばつが原因で作物が育たず、100万人以上が草を食べて飢えをしのぐ状況に陥っている。
 イースト・エカトリア州ロビラモア村では、すり鉢代わりの石のくぼみで草をすりつぶし、細かい粉にする。「これをこうやって水に浸して、それから食べるんだ。毎日これを食べているよ」と住民。
 農民はソルガム(モロコシ)や雑穀、ピーナツなどを育てているが、5〜6月の大干ばつで作物がほぼ全滅。地元の市場にも、果物や野菜は並んでいない。
 現地のカトリック教会で食糧確保と栄養指導を行っているデニス・オクム氏は「主食はソルガム。ソルガムができなければなにもない」と言う。
 世界食糧計画(WFP)によると、干ばつに加えて物価上昇や部族間抗争の増加で、南部スーダンに暮らす150万人の食糧事情が脅かされている。


◎『統一教会』が韓国で合同結婚式、7500組参加

 【CJC=東京】ソウル南方の牙山にある鮮文大学で10月14日、世界基督教統一神霊協会(統一教会)が文鮮明総裁の司式で国際合同結婚式を行った。故・朴正煕元大統領の二女パク・クンリョンさん(55)夫妻など韓国内外から7500組のカップルが参加した。電話インタビューでパクさんは「統一教会の奉仕精神と聖書の解釈に魅力を感じた」と語った、と韓国紙『中央日報』が報じている。
 今年1月31日、90歳の誕生日を迎え文氏は、最近、後継者構図を確定した。


◎スペインで大規模デモ、中絶の条件緩和に反対

 【CJC=東京】カトリック者が国民の大多数を占めるスペインの首都マドリードの独立広場で10月17日、政府が人工妊娠中絶の条件を緩和しようとしていることに対する大規模な抗議デモが行われた。
 デモにはあらゆる年代の人たちが参加し、家族での参加者も多かった。参加者らはヘリウムでふくらんだ白い風船300個を飛ばした。
 デモの参加者数について、主催団体側は150万人、市当局は120万人としている。国内メディアは警察情報として25万人と報じた。
 スペインでは1985年、中絶が非犯罪化され、特殊な場合に限り実施されてきた。今回の改正案はEU加盟国の大半で施行されている法律の内容に基づいて作成された。
 AFP通信によると、改正案は16歳以上の女性が求めた場合には妊娠14週以内、母体に危険がある場合もしくは胎児に異状があると診断された場合は22週以内、胎児に深刻で治癒不可能な疾患がある場合には22週以降の中絶を認めるもので、9月に閣議決定した。11月に議会で審議される見通し。
 ホセ・ルイス・ロドリゲス・サパテロ首相は、同性愛者間の結婚、離婚の迅速化、性転換者の権利拡大などリベラルな社会政策を相次いで打ち出している。


◎バチカンがガリレオ展開催

 【CJC=東京】ガリレオ・ガリレイが初めて天体観測を行ってから400年となる国際天文年を記念する展示をバチカン(ローマ教皇庁)博物館が10月15日から行っている。コペルニクスによって天動説の誤りが指摘されていたものの、それが実証されたのはガリレオが望遠鏡で天体を観測したことによる。
 今では近代天文学の祖とされているガリレオだが、1616年と1633年の2回、ローマの異端審問所に呼び出され、地動説を唱えないことを宣誓させられた。
 教皇ヨハネ・パウロ二世が、教会の判断は誤りであり、カトリック者は科学に敵対するものではない、と宣言したのは1992年のこと。
 今回、ガリレオの発明した道具や天文学関係の資料が展示される。中には最初の発見を興奮して記した原典などもある。
 展示は来年1月までの予定。


◎ダンテの神曲が米でビデオゲームに

 【CJC=東京】米ビデオゲーム大手エレクトロニック・アーツ社が10月16日、ダンテ・アリギエーリの『神曲』地獄篇をビデオゲーム化することを明らかにした。
 「豊かで深遠な宇宙をビデオゲームにすることは、これまでで最高の興味ある挑戦的な計画」とストーリー作家のウイル・ロコス氏。「ダンテを暗い過去を持つ欠点のあるヒーローとし、自らの人生の愛を、恐ろしい運命から救おうという決意を描き直した。1人の男の地獄を再創造することは本当にユニークな経験だった」と言う。
 ゲームソフト「地獄編」は来年2月に欧米で発売される予定。Xボックス360、プレイステーション3、PSPなどで利用可能という。


◎十字架にかけられたゴリラのろう人形

 【CJC=東京】ロンドン西郊マリルボーンの、かつて教会として使われていた建物で「T驚異の時代」と題された現代美術の展示会が開催されたが、そこに十字架にはり付けにされたゴリラの作品などが展示された、とAFP通信が報じている。
 ポール・フライヤー氏の「支配特権」という作品で、マダム・タッソーろう人形館に展示されている人形の製作技術を使って作られ、人間の毛髪で仕上げられた。
 フライヤー氏は、展示会場が元教会であるだけにこの作品は論争や怒りを招くかもしれないが、作品の目的は絶滅危ぐ種ニシローランドゴリラの窮状を訴えることにあるとしている。
 フライヤー氏が米国の死刑囚に黒人が多すぎることを表現するために製作した、電気椅子に座った黒人のキリストの作品も展示された。


《メディア展望》

  =カトリック新聞(10月18日)=https://www.cwjpn.com
★全国広報担当者会議=地元メディアや他教区と=広報活動の連携探る
★ダミアン神父ら5人列聖=キリスト教的愛の「輝かしい模範」
★アジア・南太平洋自然災害=カトリックから支援続く
★「世界宣教の日」=教皇=惜しみない献金促す
★政策転換 どう対応?=カトリック学校法人理事長研修会=補助金カットが影響
★「霊的廃棄物」退けよ=教皇=アフリカの教会に訴え

  =キリスト新聞(10月17日)=https://www.kirishin.com
★聖学院大学=ニーバー研究の拠点に=センター新設で発足研究会=現代的意義を明らかに
★宗教者九条の和=第5回平和巡礼="宗教者の本気"問う
★日基教団代田教会=隅谷三喜男記念シンポジウム 第2回=「教会の使命」を模索
★聖グレゴリオの家 宗教音楽研究所=創立30周年祝う
★台風・地震・津波=相次ぐ天災 キリスト教団体も救援活動
★教皇、パキスタン大統領と会見

  =クリスチャン新聞(10月18日)=https://jpnews.org
★カンタベリー大主教来日=「素足の宣教」を評価=日本聖公会宣教150周年記念礼拝
★東南アジア、南太平洋=台風・地震・津波、キリスト教団体も救援活動
★キム・ジュゴン氏逝く=韓国教会成長、世界宣教に貢献
★卞夫妻と教団、関連会社を提訴=被害女性4人=「性的自己決定権侵害」と
★「オバマ政権と米キリスト教」=初の女性総裁主教キャサリン・ショーリ氏語る
★人生の課題などをキーワード検索=CD-ROM「こんなときにバイブル」制作=定年5人組=得意分野ボランティア


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