世界キリスト教情報 第932信(2008.11.24)
- ロシア法務省、宗教関係中央団体56を解散へ?
- 国連で「宗教間対話を」会合、各国首脳ら参加
- 「解放の神学にもっと時間を」とイエズス会総長
- 米フォートワース教区、聖公会離脱4番目
- 米軍学校反対のロイ・ブルジョワ神父、破門に直面
- 台北でフランクリン・グラハム・フェスティバル
- ドイツはサイエントロジー教会禁止を断念
- コペルニクスの遺骸、DNA鑑定で確認
- 《メディア展望》
◎ロシア法務省、宗教関係中央団体56を解散へ?
【CJC=東京】ロシア法務省が10月半ば、宗教関係中央団体56を、手続き不備を理由に解散団体として発表したことから混迷が広がっている。
宗教関係の中央組織は562あるとされ、その半数以上の309団体がロシア正教会関係と見られているが、解散予定とされた56団体は、アルメニア使徒教会、カトリック、プロテスタント、ネストリウス派、イスラム、仏教関係のものが多く、正教会関係は含まれていない。
モスクワにある『法と正義・スラブ・センター』は、正教会関係の団体には事前に注意がおこなわれていたのではないか、と推測する。総主教座の対外教会関係部門のフセフォロド・シャプリン副部長は、系列団体の2007〜08年度認可申請に、法務省が「コメント」していた、と言う。ただその時期や、文書によるものか、口頭か、といったことには触れなかった。
正教会系列の団体には、事前に注意が行なわれ、その結果、解散リストにははいらなかったのだとすると、これはその他の団体に差別扱いをしたこととも見られる。1993年の憲法では、全ての宗教関係団体を平等に扱う、と定めている。
◎国連で「宗教間対話を」会合、各国首脳ら参加
【CJC=東京】文明間の対話を通じて和平の進展を目指す特別会合「平和の文化」が11月12〜13日、国連本部で行われた。サウジアラビアのアブドラ国王の呼びかけで、中東各国を中心に首脳級20人を含む計80人が参加した。
ユダヤ、キリスト、イスラムの3大一神教の和解を軸に、異なる宗教間の対話促進を目指す国際的な取り組みの一環。前日に開かれた潘基文(パン・ギムン)・国連事務総長主催の夕食会では、アブドラ国王と、サウジと国交のないイスラエルのペレス大統領が違うテーブルながら同席するなど、友好ムードを演出した。
アブドラ国王は12日の演説で「テロリズムと犯罪行為はあらゆる宗教と文明の敵だ」と宗教的寛容の必要性を訴えた。イスラエルのペレス大統領も同調し、戦火を交え、国交を持たない両国間の見解が一致した。
◎「解放の神学にもっと時間を」とイエズス会総長
【CJC=東京】米カトリック系CNA通信によると、修道会『イエズス会』のアドルフォ・ニコラス総長は、解放の神学が「信任」されていないことに失望する、としてその是非についての論議は慎重にして、円熟するのを待つべきだと語った。
スペインの新聞『エルペリオディコ』とのインタビューで述べたもので、ニコラス神父は、解放の神学が「ラテンアメリカ(中南米)にある不正の耐えられない状況に対して勇敢で創造的な反応である。あらゆる神学と同様、円熟するには時が必要だ。それが「信任」を得られないのは、飛ぶことを学ぶ前に翼が切られるような恥辱だ」と言う。
インタビューの中で、ニコラス神父は、イエズス会士が減少していることは認めたものの、イエズス会がなおカトリック教会の中で「最も神学上、教義上で目に見える集団」であり、「より多く注目されるのは当然」だと語り、教皇がイエズス会のことを懸念しているかもしれない、とほのめかした。
イエズス会士が「他の修道会を見下している」と思われがちなことを聞かれて、ニコラス神父は、「それは私たちの弱さであり、例外的なことではない」と語った。イエズス会では、いつも活動の質と詳細な構成を重視することをいつも強く主張したという事実から来ることだとして、「私たちが人間であり、その機能が私たちに与えられているということに気がつかないことは問題だ」述べた。
社会政策に関連した問題で教会に向けられるスペイン政府の"敵意"について、ニコラス神父は「私は日本に長く滞在していたので、ある程度の世俗主義の雰囲気には慣れている」として「社会主義政権も未熟だと思う。失業、教育、移民問題が重大な時に、教会との関係について悩むことで時間が浪費されていると思う」と言う。
◎米フォートワース教区、聖公会離脱4番目
【CJC=東京】米聖公会フォートワース教区は11月15日、第26回総会の席上、聖公会を離脱し、『サザンコーン(南半球)管区』に加入することを司祭72対19、信徒102対25票で決定した。教区レベルで聖公会離脱を決めたのは4番目。
サザンコーン管区のグレゴリー・ヴェネイブルズ大主教は「重い決定を必要とした悲劇的な状況にもかかわらず、神の国を拡張するという栄光ある使命の下で共に神に奉仕する機会を持てて喜んでいる」とのメッセージを送った。
聖公会のキャサリン・ジェファート=ショリ総裁主教は、フォートワース教区のジャック・アイカー主教に、職務執行停止命令を通知した。これは14日に署名されたという。
◎米軍学校反対のロイ・ブルジョワ神父、破門に直面
【CJC=東京】米カトリック教会メリノール宣教会のロイ・ブージョワ神父がバチカン(ローマ教皇庁)教理省から破門処置を受けそうだ。同神父が女性の聖職叙階を支持したことが原因という。同神父が教理省に宛てた11月7日付けの書簡が11日、同神父の代理人であるニューオーリンズのビル・キグリー弁護士により公表された。
書簡によると、教理省は「私たちの教会で女性の叙階を支持するという信念と、声明公表の撤回を30日以内に行うよう、そうでなければ破門する」と指示した。この指示は10月21日に出されたものと見られる。
ブージョワ神父は、8月9日、ケンタッキー州レキシントンでジャニス・セーブル=デュスジンスカさんの聖職叙階に立ち会い、説教した。
30日後に破門されるとなると、ジョージア州ベニントンにある米陸軍の『アメリカ学校』に抗議する大規模行進の直前になる。この抗議行進は、ブージョワ神父が36年にわたる修道生活の中の19年を裂いて組織して来たもので、最近では毎年1万5000人以上が、3日間にわたり行われている。参加者の多くはカトリック大学生。
◎台北でフランクリン・グラハム・フェスティバル
【CJC=東京】フランクリン・グラハム・フェスティバルが10月30日から11月2日まで台北の自由国際大会センターで開かれた。
700以上の教会と約18万人が4日間のイベントに参加したもの、と関係者は見ている。キリストにわが身を捧げると決心した人は1万人を超えた模様。
◎ドイツはサイエントロジー教会禁止を断念
【CJC=東京】ドイツ公安当局は、米ロサンゼルスに本拠を置き積極的に活動を展開しているサイエントロジー教会の禁止を断念した。違法行為と判断出来る十分な証拠を見つけられなかったため、とAP通信が報じている。ただ関係者は今後も監視を継続する、と言う。
ベルリン特別市の保安責任者、エアハルト・クルティング氏は、サイエントロジー教会が「問題のある組織」と言うものの「禁止する必要のある組織ではない」としている。サイエントロジー教会側は「当然のこと」と決定を歓迎している。
ドイツ当局は、サイエントロジー教会が教会というよりビジネスであり、無防備な人々を利用するために強制手段を使うと見ているようだ。
◎コペルニクスの遺骸、DNA鑑定で確認
【CJC=東京】地動説で有名なニコラウス・コペルニクスのものと見られる遺骸のDNAをポーランドの考古学者が分析した結果、遺骸がコペルニクスのものと11月20日確認された。AFP通信が報じた。
考古学者イェルツィ・ガッソフスキー氏が、2005年に同国北部のフロムボルク大聖堂で発見されたコペルニクスのものと見られる遺骸の頭蓋骨に残っていた1本の歯と、コペルニクスが長年所有していた本に挟まっていた2本の髪の毛のDNAを分析した結果、遺骸がコペルニクスのものと確認されたと明らかにした。
コペルニクスの墓の場所については、これまで謎とされて来たが、コペルニクスはフロムボルク大聖堂の司祭でもあったため、大聖堂の地下に埋葬されている可能性は高かった。
2005年、大聖堂の聖十字架が掲げられている台で、70歳くらいの男性の遺骸が発見された。コンピューターグラフィックを用いた復顔作業の結果、その顔が、右のまゆの上にある傷など、若き日のコペルニクスに似ていた。
コペルニクスは、1543年の死去直前に、地球は自転し、太陽の周りを公転すると唱えた。
1616年に教皇パウロ五世から、聖書の内容と相反するとして批判されている。
《メディア展望》
=カトリック新聞(11月23日)=https://www.cwjpn.com
《ペトロ岐部と187殉教者列福記念号》
★命ささげた信仰者の聖遺物=列福式で祭壇に安置
★日韓司教交流会=テーマは「移住者司牧」=韓国・マサン=互いに現状紹介
★教皇ベネディクト16世=「神と隣人への愛」で協働を=カトリック、イスラム代表者に語る
★江戸の殉教者たたえる=東京=「札の辻」で感謝の祭儀
★反キリスト者暴力続いたインド東部=「クリスマス祝いたい」=教会指導者、州政府に護衛要求
=キリスト新聞(11月22日)=https://www.kirishin.com
★世界改革教会連盟(WARC)議長・総幹事インタビュー="今日の世界""教会の使命"
★バチカンとイスラム指導者が対話促進フォーラム=「教皇発言」以来の関係修復が狙い
★宗教者ら国会前で死刑執行に抗議="命奪うのは一瞬"
★日本福音振興会が功労者顕彰=岡村、平山、スコーグランドの3氏
★東京YMCA=元職員が水増し請求=江東区に700万円未返還
=クリスチャン新聞(11月23日)=https://jpnews.org
★グローバル・リーダーシップ・サミット=「教会の鍵はリーダー」=「聖なる不満」「健全な対立」必要
★米国教会・21世紀の奴隷制度の罪に注目
★JEA社会委員会信教の自由セミナー=「キリスト者に次善はない」=捕虜刺殺命令を拒否した元陸軍兵士
★福音派ががイスラム教国家の信仰を正教会と討議も
★韓流スター招かず=長崎らしさ演出=ラブ・ソナタ長崎
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