世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第929信(2008.11.03)

  • 聖書と貧困を焦点に、世界福音同盟大会
  • 中国公認教会指導者が「家の教会」に手を差し出す
  • シノドス閉会、教皇、来年3月アフリカ司牧訪問へ
  • 「女性も説教出来る」と世界司教会議が示唆
  • カリタス・ベトナムが32年ぶり活動再開
  • ビリー・グラハム氏、90歳に
  • 米ケンタッキー州の教会で発砲、牧師死亡
  • 米紙クリスチャン・サイエンス・モニターが電子化
  • 《メディア展望》

◎聖書と貧困を焦点に、世界福音同盟大会

 【CJC=東京】100以上の国・地域の福音派代表500人がタイのパッタヤで10月25〜30日、世界福音同盟総会を開催、聖書に基づいたキリスト教の新たなビジョンと貧困問題に取り組んだ。
 「私たちは、全世界でキリストの体としての働きについて新たなビジョンと関わりを必要としている」と同盟国際ディレクターのジェフ・タニクリフ氏は言う。
 今回の総会では、貧困、教会形成、HIVとエイズ、宗教の自由、公的生活への福音派としての関わりなどについて討議される。同盟総会は6年に1回開催される。「同盟のビジョンは、すべての国に(キリストの)弟子を作り、社会にキリストを中心とした変革を起こすことで神の国を拡張することにある」と言う。
 世界福音同盟は国単位の128同盟と104の準加盟団体で構成されている。総会には救世軍、ペンテコステ世界連盟、メノナイト、世界改革教会連盟、カリスマ派、中国基督教協議会なども代表を派遣した。


◎中国公認教会指導者が「家の教会」に手を差し出す

 【香港=ENI・CJC】中国公認プロテスタント教会の指導者、『三自愛国運動』のフー・シアンウエイ(傅先偉)主席は、「家の教会」のことを気にかけており、聖書も提供したい、と語った。
 「中国の教会―新たな指導者、新たな挑戦」を主題に10月22日香港で行われたセミナーで、フー氏は香港の参加者約200人を前に「登録していない『家の教会』のために、私たちはそれを認め、助け、正統信仰を保って真理を逸脱したり、異端に陥ることのないよう出来る限り協力したい」と語った。
 中国基督教三自愛国運動委員会・中国基督教協会の代表12人は、19日から26日まで初めて香港とマカオを訪問した。フー氏は今年1月、会長に就任している。
 公認教会側は、中国のプロテスタント信者を少なくとも1800万人と推計するが、他に多数が「家の教会」と呼ばれる非公認の地下教会に属していると見られる。
 中国基督教三自愛国運動委員会は1951年に構想が発表され、プロテスタントの唯一の合法的包括団体として54年に設立された。
 中国基督教協会は、66年から76年まで、信仰表現が実質的に禁止された文化大革命の後で、『三自愛国運動』の支援によって成立した。
 フー氏は、牧師や伝道師の数が不足していると言い、神学教育が教会の課題、と指摘した。農村から都市へ人口集中が進んでおり、都市部の牧師不足は深刻だと語った。
 政権を担っている中国共産党の党員がキリスト者になれるのかと尋ねられて、中国基督教協議会のガオ・フェン会長は、共産党の党規則が、党員は無神論のマルクス主義に従うべきだとしてはいるが、教会のドアはすべての人に開かれている、と答えた。
 教会指導者は、本土のキリスト教共同体の存在のために第三の道があるのか、また全てのプロテスタント共同体が基督教協会・三自愛国運動の枠組みの中で登録すべきなのか議論があった、と語った。
 中国社会科学院のユ・ジャンロン教授は10月8日、北京大学で開かれた宗教と社会科学に関する会議で、家の教会の合法性を認めることを考慮し、基督教協会・三自愛国運動とは別に登録させる時だ、と発言した。同氏によると、家の教会指導者の中にはすでに独自に政府への登録を検討中の人もいる、と言う。


◎シノドス閉会、教皇、来年3月アフリカ司牧訪問へ

 【CJC=東京】バチカン(ローマ教皇庁)で10月5日から行なわれた世界代表司教会議(シノドス)第12回通常総会は26日、教皇ベネディクト十六世司式の閉会ミサによって終了した。
 シノドスは「教会生活と宣教における神のみことば」をテーマに開催された。
 バチカン放送(日本語電子版)によると、教皇はシノドスに参加できなかった中国の司教たちについて「彼らはその司牧に託されたすべての信者たちと共に私たちの祈りの中にいる」と述べ、中国の司教らが同国の教会を知恵と先見性をもって導くために、神が彼らに喜びと力と宣教への熱意を与えるよう祈った。
 教皇は、来年3月アフリカを司牧訪問される意図を明らかにした。訪問では、「まずカメルーンで、シノドスの討議要綱をアフリカの司教らに託し、さらにアンゴラで福音宣教500年を祝いたい」と述べた。


◎「女性も説教出来る」と世界司教会議が示唆

 【CJC=東京】「教会生活と宣教における神のみことば」をテーマに開催されたカトリック教会の世界司教会議(シノドス)第12回通常総会は10月26日、教皇ベネディクト十六世司式の閉会ミサによって終了した。
 シノドスは「教会生活と宣教における神のみことば」をテーマに聖書のについて検討を進め、教会一致への関与を強調、また小教区で女性が説教する権利を与えられることなどを教皇に提案した。
 世界のカトリック者に向けた最終メッセージで、司教たちは、他のキリスト教共同体との結び付きを強化されるべきだ、と主張した。これは聖書の共同訳、聖書の祈りの一致、聖書とそのテキストの意味についての対話、そして「世俗化した世界の中で神の言葉の共通の証」によってなされるべきだ、と言う。
 教皇に提出された55の「提案」の中で、シノドスは、女性が「講師」として小教区で説教することを許可するよう求めた。かつて「講師制」は、典礼の際に聖書を読む資格として制定されていた。ただ最近まで、それは男性にだけ認められたもので、聖職への一段階と見なされていた。
 1994年に、教皇ヨハネ・パウロ二世は、イエス・キリストの意志に従って、男性だけが聖職に任命される、と語っている。
 カトリック神学者セッティナ・ミリテッロ氏は、女性に「講師」の役を開放することが「大きな象徴的な価値」を持つ、とイタリアの新聞に語った。しかし女性のカトリック神学者マリア・カテリーナ・ジャコベッリ氏は、提案が「小さな一歩」だけを表したものだ、と言う。


◎カリタス・ベトナムが32年ぶり活動再開

 【ローマ=ZENIT・CJC】カトリック援助組織『カリタス・ベトナム』が政府の許可を受け10月22日、32年ぶりに活動を再開した。災害時の緊急援助とヒューマン・デベロップメントに力を入れるという。
 『国際カリタス』に加盟を申請したが、まだ承認を得られていない。
 かりたす・ベトナム会長のドミニク・チュー・トリン司教は、ベトナムの教会が貧者に寄り添い、助けを必要としている人には、その信仰を問わず、奉仕する、と語った。
 「農村の貧困は主要な挑戦だ。7700万の人口の大多数は農村に住み、農業に依存している。1990年に終わった内戦で生活基盤は壊滅した。耕作地も不足し、地方の雇用機会は限られている。結果として、人口の都市集中が進み、ハノイやホーチミンは、それを支え切れない。障がい者や障がいをもった子どもたちを社会が受け入れられない」と。の中への統合への弱い支持の極めて高い発生がある」と『カリタス・ベトナム』は声明で明らかにしている。


◎ビリー・グラハム氏、90歳に

 【CJC=東京】米国の著名な大衆伝道者ビリー・グラハム牧師の誕生日は11月7日。4日の大統領選挙の直後に、90歳を迎える。
 ハリー・S・トルーマン氏以来、ジョージ・ブッシュ氏まで歴代の大統領はグラハム氏を相談相手とし、知恵や霊的洞察、祈りを求めてきた。次期大統領が高齢のグラハム氏にこれまでと同じように接することになるのか、またそれが可能か、政権の運命をも左右しかねないだけに注目される。


◎米ケンタッキー州の教会で発砲、牧師死亡

 【CJC=東京】米シンシナティ南郊にあるケンタッキー州コビントンの9番通りバプテスト教会で11月1日、男が銃を発砲し、葬儀のため同教会を訪れたシンシナティのニューセントポール・ミッショナリー・バプテスト教会のドナルド・フェアバンクス牧師が死亡、執事が負傷した。男は殺人容疑などで逮捕された。
 AP通信によると、男はフレデリック・L・デービス容疑者(40)で、フェアバンクス牧師との間で以前からいさかいがあった。


◎米紙クリスチャン・サイエンス・モニターが電子化

 【CJC=東京】米クリスチャン・サイエンス教会が発行する『クリスチャン・サイエンス・モニター』紙が毎日のニュースは電子メールで購読者に送り、紙による発行は週刊とする。同紙を「毎日更新されるオンライン発行」に移行させることを目的にしたとしている。
 同紙は、今予算年度では1890万ドル(約18億円)の赤字を計上する見込み。同紙の母体である教会に1210万ドル(約12億円)の補てん金を求めていくという。同紙の発行部数は5万部。解説記事に定評があり、ピュリッツァー賞)を7回受賞している。


《メディア展望》

  =カトリック新聞(11月2日)=https://www.cwjpn.com
★子どもたちの「共生」探る=難民移住移動者委 今年度全国研修会=ブラジル人学校も見学
★カトリック岩手県大会開催=信徒数「増えている」=ミサで5カ国語の祈りささげる
★「レクイエムではなく アレルヤを!」=ペトロ岐部と187殉教者列福式まであと3週間=長崎=準備大詰め、実行委は大忙し
★カトリック青年労働者連盟(JOC)=新センターで開所式=東京・新宿
★韓国司教協議会=カン・ウイル司教、会長に

  =キリスト新聞(11月1日)=https://www.kirishin.com
★聖学院大総合研究所創設20周年でシンポ=戦後《リベラル・デモクラシー》と教会《プロテスタンティズム》を問う=独・英・日の神学者が講演
★世界司教会議="あの時、声を上げなかった"=ラビの批判にバチカン当惑
★カトリック女性=差別撤廃求め行進
★早稲田奉仕園=100周年で「山本忠興」の業績に迫る="大学の国際化を推進"
★隅谷三喜男没後5年=代田教会が公開講座=池明観氏"最後まで隣人と共に"

  =クリスチャン新聞(11月2日)=https://jpnews.org
★イエスによって輝け!Passion World Tour 2008=世界17都市で若者を励ます
★アフガニスタン=キリスト教慈善団体の女性射殺=タリバンが犯行声明
★難キ連セミナー=「難民受け入れで日本が変わる」=前UNHCR駐日代表滝澤三郎氏講演
★聖化大会東京、大阪をはじめ全国7都市で開催=「種が落ちて死ぬ体験を」=ハミルトン氏が「一粒の種」から聖化を語る
★アムネスティ「人権パスポート」制作=世界人権宣言から60周年=普遍の権利 身近に


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