世界キリスト教情報 第927信(2008.10.20)
- 「キリスト教のより大きな一致を」、正教会指導者が誓約
- 全インド・キリスト教協議会がテロ非難声明
- 教皇、バチカンでインドの修道女ら4人を列聖
- カトリック女性が差別撤廃求めローマで行進
- カストロ首相がロシア正教会大聖堂献呈式に参列
- 《メディア展望》
◎「キリスト教のより大きな一致を」、正教会指導者が誓約
【CJC=東京】世界の2億5000万人の正教会指導者は10月12日、イスタンブールで3日間開かれた会議を終え、愛情と平和の心を通して内部の違いを乗り越え、より大きな教会一致のために働くことを誓約した。トルコ紙ヒュリエトが報じた。
正教会の最高指導者エキュメニカル総主教バルトロメオス一世が、首位権争いと権力闘争によって裂かれた信仰共同体の中で一致を推進するためにイスタンブール会議に指導者を招請した。
会議は、聖パウロの生誕2000年を記念するもので、14正教会の代表は、世界規模の金融恐慌が富裕者と貧困者との間のギャップを拡大していることに懸念を表明した。
3日間の日程を終えて、指導者たちは、キリスト教各派との対話を進めたいこと、またユダヤ人とイスラム教徒との対話を進めたい、と宣言した。
宣言は、正教諸会が、「わたしたちの間で時に生じるいかなる問題も愛情と平和の心によって解決することで、正教会の一致を守る確固とした立場と義務」を再確認した、と述べている。
今回の会議は、ウクライナ正教会が、モスクワの強力な総主教の管轄から離れ、数世紀にわたったロシア影響を振り払おう、としてロシア教会と確執している最中に行われた。
宣言には、ロシア正教会の指導者アレクシー二世も、「過去の国家主義的、民族的、イデオロギー的な極端さを放棄する」必要に言及した。「このようにしてのみ、正教会の発言が現代社会に必要な影響を与えられる」と言う。
宣言はさらに世界規模の金融恐慌を「暴利をむさぼり、破滅した金融活動」の結果だと非難、「正義と社会連帯を持った有効性」と結びついた経済を呼びかけた。
宣言は正教諸教会に、環境保護の努力に焦点を定め、生命倫理の問題を研究する委員会の創設計画を打ち出した。
声明には、バルトロメオス一世、アレクシー二世の他、アルバニア、ブルガリア、キプロス、チェコ、グルジア、ギリシャ、エジプト、イスラエル、モンテネグロ、ポーランド、ルーマニア、シリア、トルコの総主教レベルの指導者が署名した。
◎全インド・キリスト教協議会がテロ非難声明
【CJC=東京】インドのキリスト教共同体は、「銃、剣、火災、略奪という試練に直面している。これはキリスト教が最初に広まった国の一つであるインド2000年の歴史の中で最悪の危機だ」と全インド・キリスト教協議会(AICC)の共同声明が指摘している。米国のキリスト教専門ASSIST通信が報じた。
ジョセフ・デスーザ議長とジョン・ダヤル総幹事によって作成された声明は、「世界ヒンズー協議会(VHP)とその青年組織『バイランダル』などの残虐なギャング集団による暴力が8月24日の発生以来、45日も続いているオリッサ州は、キリスト者に対する民族浄化」という。
デスーザ議長とダヤル総幹事は、オリッサ州でキリスト者への民族浄化を、同州の政党『ビジュ・ジャナタ・ダル』と人民党(BJP)連立政権が阻止出来なかったと指摘、「これまで300の村でキリスト者が浄化され、キャンプにいる難民約1万7000人は、ヒンズー教徒になれば家に戻れる、と言われている。家屋4000戸以上、教会100カ所以上が焼かれ、3万人以上、その半数以上は子どもが森林に隠れているか、"内部難民"(IDP)として扱われている。生きながら焼かれるなど虐殺された人も50人を超えた」と述べている。
修道女を始め、多数に性的暴行を受けた女性は数え切れない。2007年12月にオリッサ州で広範囲に発生した暴力事件の際にも性的暴行が行われたとされている。
「実際的には、オリッサ州は、法令主義が行われ、憲法が有効なインドの一部ではないようだ」と声明は指摘する。
暴力は、人民党(BJP)が支配しているカルナータカ、チャッティースガル、マディヤプラデーシュ、ウッタラーカンドの諸州に広がった。暴力行為はそれ以外のジャールカンド、タミル・ナードゥ、アーンドラ・プラデーシュ、デリー州に広がり、教会が破壊されたり、聖職者が襲われ、殺害される例も出ている。
さらに声明は次のように指摘している。
「議会の野党第一党党首として、また自党の最高指導者として人民党のラル・クリシュナ・アドバニ氏は、各州政府に、暴力阻止を命じることが出来たはずだ。ところが彼は40日以上も沈黙の観測者であり続けることに決めた。ついにオリッサ州での修道女強姦を非難する発言をした時、彼はキリスト教指導者との会談で、"強制、不正な改宗"について言及することで、重大事件から関心をそらした。
「人民党やヒンズー至上主義集団『民族義勇団』(RSS)との対話で、殺人犯、放火犯、強姦犯人を浮かび上がらせることはなかった」
「暴力は誰の責任か、犠牲者を救うこともせず、キリスト者に対する暴力に加わったとして有罪である暴力集団や警察と共謀した政治指導者の責任を問うこともほとんどなかった」
「わたしたちの苦しみは深い。今回のような"対話"への試みは、人民党の責任や、オリッサ州などで政権を保持しているテロ集団を救うための手段ではないか、と見ている」
ただ全インド・キリスト教協議会は、「日常生活とキリスト者としての証しの基礎」として対話を歓迎する、と言う。。
「対話は互恵、理解、同等なものとして互いを認め合うことを通じて、自由意志、平和的な基盤、明確な議題、共通の目標を前提とするものだ」と声明は指摘、さらに「人民党側の"対話"は、共同体を分裂させ、少数派を孤立させるねらいがある。キリスト教に関しては、『ビリーバーズ教会』と『ニューライフ。フェローシップ』が狙い打ちされている。わたしたちはこれを非難し、カトリックから、聖公会(英国国教会)、福音派、ペンテコステ派までの諸派の一致を確認する。キリストを信じる人はみなキリスト者だ」と述べている。
◎教皇、バチカンでインドの修道女ら4人を列聖
【CJC=東京】教皇ベネディクト十六世は10月12日、バチカン(教皇庁)のサンピエトロ広場でミサを行い、その中で列聖式を行った。
バチカン放送(日本語電子版)によると、新たに聖人に加えられたのは、アルフォンサ・デル・イマコラータ・コンチェツィオーネ修道女(インド、1910〜1946、本名=アンナ・ムッタトゥパダトゥ、聖クララ会修道女)ら4人。
ミサの後半行なわれたアンジェラスの祈りで、教皇はこの日列聖されたアルフォンサ・デル・イマコラータ・コンチェツィオーネ修道女の類まれな徳が、現在困難な状況を生きるインドのキリスト者たちの慰めとなるようにと祈り、同国のキリスト者を迫害する人々に対し、暴力を止め、平和と和解、愛の文明の構築に加わるよう呼びかけた。
◎カトリック女性が差別撤廃求めローマで行進
【CJC=東京】聖職者になることを願うカトリック女性が、バチカンで世界司教会議(シノドス)の開かれている最中の10月15日、ティベレ川対岸からサンピエトロ広場まで、女性聖職を認めないのは性差別的で、不公平だと抗議する行進を行った。
世界中のカトリック女性組織の代表による少グループは「女性を聖職に」と声を上げ、バチカン宮殿で請願書をスイス衛兵に手渡そうとしたが、受け取られなかった。
米国の『女性叙階会議』のアーイシャ・テーラー代表は、司教253人が集まっているシノドスの間に、問題へ関心を持ってもらうことが狙いだ、と語った。しかしバチカンは、長年にわたる女性聖職禁止を解く姿勢は見せていない。
この5月、バチカンは、女性を聖職から除外することはキリスト教伝統に沿っている、と強く主張、叙階に関係した女性は破門される、との新たな警告を出している。
◎カストロ首相がロシア正教会大聖堂献呈式に参列
【CJC=東京】キューバのラウル・カストロ国家評議会議長(首相)が10月19日、首都ハバナにこのほど完成したロシア正教会大聖堂の献呈式に参列した。最近のロシアとの関係改善を示すものとして注目された。
当日はキューバで「ロシアの日」と呼ばれ、コンサートやロシア映画の上映も行われている。また1962年10月のキューバ危機記念日と重なった。
ロシア正教会の最高会議「聖シノドス」のメンバーであり、モスクワ総主教座対外教会関係部門の責任者、キリル府主教は、「大聖堂は、ロシアとキューバの友好の記念碑であり、冷戦下の最も難しい時も含めわたしたちの関係を維持して来たすべての努力への記念碑である」と語った。
《メディア展望》
=カトリック新聞(10月19日)=https://www.cwjpn.com
★聖書について シノドス開会=アジアから司教41人出席
★教皇が自ら説明=シノドスの歴史と重要性
★カトリック司教協議会=典礼秘跡省の指示2点=全教区に通達
★京都教区=11カ国の信徒集う=三重・津市で国際ファミリーデー開催
★昨年度の国内献金額は...=27,489,612円=「世界宣教の日」
=キリスト新聞(10月18日)=https://www.kirishin.com
★北村嘉蔵召天10年=「教団形成に貢献」="痛みの神学"の意義今も=故人偲び記念会に300人
★登録有形文化財にルーテル市川教会="地域の心のより所に"
★金融破綻で波紋広がる=英国国教会の財政は?
★「キリスト教書店ハンナ」が開店=旧東京聖文舎の業務受け継ぐ
★鈴木裕子氏、日キ教会「慰安婦」問題学習会で指摘=「国民基金」は被害女性分断
★イラク派兵差止訴訟原告ら署名4万筆を提出="高裁判決に従い即時撤退を"
=クリスチャン新聞(10月19日)=https://jpnews.org
★平和講演会=迫る核の脅威 非暴力訴え=広島平和文化センター理事長スティーブン・リーパー氏講演
★総勢400人クワイア熱唱=米ゴスペル界草分け エドウィン・ホーキンス氏ら指導
★インド教会迫害:今も続くヒンズー原理主義者らの迫害なお続く=1万人の平和行進で抗議=EFI総主事=米TVで政府の対応批判
★キングス・ガーデン連合研修=地域密着のトータルケア学ぶ--
★オープニングは津軽三味線費用の一部を地元教会で=ラブ・ソナタ青森
★日本バプテスト同盟第51回総会=新理事長に小野慈美氏
=リバイバル新聞(10月19日=最終号)=https://www.revival.co.jp
★言葉よりも愛の行動=BFPフェスティバル開催
★ブラジル=日系人に歌と福音を届ける=日本移民百周年記念コンサート
★インド=テロ続発、キリスト者への襲撃止まず
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