世界キリスト教情報 第921信(2008.09.08)
- 2007年に聖書2700万冊配布
- コロンビアのベタンクール氏が教皇訪問
- ボランテア殺害にYMCAがグアテマラへ調査要求
- 300万ドルの当たりくじを教会に寄贈
- イタリアの教会が鐘の音が騒々しい、と訴えられる
- 修道女の美人コンテストは中止に
- 《メディア展望》
◎2007年に聖書2700万冊配布
【CJC=東京】2007年に各国聖書協会を通じて配布された聖書(全巻)は前年より5%増の2699万6323万冊に達した。聖書協会世界連盟(UBS)が発表した「2007聖書配布レポート」で明らかになった。
各国聖書協会は、聖書全巻の他、新約、部分訳、子どもなど特定の層向けの抄訳版も多数配布しており、それらの合計は3億9100万冊に上っている。
配布の伸びは、教会の高度成長に応じて、南半球が盛ん。ただレポートでは明らかにされていないが、聖書配布の実態は想像以上に多彩だ。
倉庫や売店を持ち、さらに配布の広範なネットワークを持ち、病院や幼児のいる家などを定期的に訪問出来る協会もあれば、聖書を山積みにした車で、初めての場所に乗り込むのが常といった協会もある。道路も整備されておらず、さまざまな困難に立ち向かいながらの聖書配布は、協会スタッフにとって決意を試されているようなものだ。さらに内戦などのため、何年も目的地に到達できない国もある。
オーストラリアのNSW聖書協会は、「ルカによる福音書」の配布用作成に現地で人気のカーレースを利用、「V8版」と名づけた。レース宣教の伝道者アンドリュー・フィッシャーを支援するためのもの。フィッシャーはレースに出場する時には愛車の側面にイエスを描いている。それ以外の時は聖書協会のセミナーなどで、イエスを描いた理由を説明したりしている。
「V8版」はこれまですでに 6000冊を配布したが、フィッシャーの証しや、カーレースの紹介、さらには「信仰への導き」なども入れてある。
「話をした後で学生に、V8版を無料で配ると知らせただけだ」とフィッシャーは言う。「クイーンズランド、ビクトリア、ウエスタンオーストラリア、ニューサウスウェールズの各州で訪問した学校のほとんどで、学生の半分以上が出て来て1冊ほしいと言うのだ。無理強いしているのではないから、渡した聖書は本当の数だ」と語っている。
▼2007年聖書配布状況(NRは読みやすさを重視して訳出した「ニューリーダー」の略称)
地域別 聖書全巻 新約 部分訳 NR部分訳 抄訳 NR抄訳
アフリカ 4471358 441284 1487160 509927 6999754 141334
米大陸 11383264 2312442 6341704 3803255 242703957 15263033
アジア・太平洋 8927621 8226678 6655950 3612238 55958297 4058556
欧州・中東 2214080 2113098 1768060 222535 1162871 350004
合計 26996323 13093502 16252874 8147955 306824879 19812927
◎コロンビアのベタンクール氏が教皇訪問
【CJC=東京】教皇ベネディクト十六世は、9月1日、ゲリラ組織に誘拐され6年以上も人質生活の後、解放されたイングリッド・ベタンクール氏(46)と会見した。バチカン放送(日本語電子版)が報じた。ベタンクール氏は解放直後から教皇への訪問を強く望んできたが、この日カステルガンドルフォの離宮で行なわれた出会いで、教皇に深い感謝と親愛を表した。
コロンビアの元大統領候補のベタンクール氏は、2002年2月ゲリラ組織に誘拐され、6年以上にわたる人質生活を強いられた後、今年7月他の14人の人質と共に解放された。教皇は、コロンビアの人質解放と同国の平和を繰り返し訴え、ベタンクール氏らの解放の際にも大きな喜びを表明していた。
バチカン(教皇庁)広報局長フェデリコ・ロンバルディ神父は、両者の会見は非常に感動に満ちたものであったと述べ、ベタンクール氏の拘束生活の中で信仰と祈りが大変重要な意味を占めていたこと、またラジオを通して聞いた教皇のアピールが同氏を大きく勇気付けたことなどに言及した。
◎ボランテア殺害にYMCAがグアテマラへ調査要求
【ジュネーブ=ENI・CJC】この8月に殺害されたグアテマラのYMCA(キリスト教青年会)のボランテア3人について真相究明を要請する声明を世界YMCA同盟が9月1日公表した。
エリアザル・ベルナベ・エルナンデズ(22)、マリオ・ルネ・ガメズ・ムーン(23)、フアン・ルイス・ナバロ(19)の各氏で、グアテマラ市南方、アマティトゥランで子どもや青年たちとの活動に従事していた。3人の遺体は8月11日に発見されたが、ひどい殴打の後に、殺されたと見られる。
人権監視団体『国際アムネスティ』によると、3人が10日午後9時ごろにYMCAでの仕事を終え、エルナンデス宅に行った。
深夜に電話があり、3人は「すぐ戻る」と言って、エルナンデス氏のオートバイに乗って出掛けた。3人の遺体はアマティトゥラン南方約10キロにある農場で翌朝早く農場労働者によって発見された。遺体は長刀によって切り刻まれていた。3人はいずれも、頭部への一撃で殺害されている。
グアテマラYMCAのパブロ・プラド会長は「残念なことに、これは、グアテマラの若者(多くが貧困生活を送っている)が毎日さらされている種類の暴力なのだ」と語った。「この悲劇が、私たちに、暴力を非難し、危険にさらされる若者を守れるようにプログラムを調整する勇気を与えてくれると信じる」と言う。
国際アムネスティは、殺害の徹底調査を要求、また周辺で発生した他の殺害事件についての調査を進めている、と語った。誘拐、拷問、頭部への一撃による死、誘拐場面から離れた場所での死体遺棄などに関するもの。
YMCA世界同盟は、124カ国・地域のYMCAの連合体で、全会員は4500万人以上と推定されている。
◎300万ドルの当たりくじを教会に寄贈
【CJC=東京】米ニューヨーク州で、スクラッチ式の宝くじが300万ドル(約3億2100万円)の当たりであることが分かって、それを教会に寄贈したと言う話が伝わった。
ポートジェファーソンの単立『トゥルー・ノース・コミュニティ教会』(教会員650人)のバートランド・クラブ牧師が、寄贈者は匿名を希望したことを明らかにし、「神はそれだから当たりくじを彼に委ねた」と語った。教会は同氏が3年前に設立したばかり。
同州宝くじ社は8月27日、同教会が2028年まで毎年10万2225ドル(約1100万円)を得ることになる、と発表した。教会が非営利組織であるため、税金などが減免され、受取額は一般人より高額になると見られる。
牧師は、初年度の収入を、人身売買や奴隷制度と戦っている団体などに寄付すると言う。来年からは、少なくとも2割を慈善活動に寄付、新会堂建設にも充てたい、と語っている。
◎イタリアの教会が鐘の音が騒々しい、と訴えられる
【CJC=東京】イタリア・ジェノア近郊のカトリック教会は、鐘の音が23年間にわたって近隣のフローラ・Lさんを「精神的にも物質的にも損害」を与えたと訴えられ、裁判所から5万9000ユーロ(1ユーロは約153円)を支払うように命じられた。英紙タイムズが報じた。
フローラさんの姓はプライバシー法により明らかにされていない。フローラさんは1985年からマドンナ・デル・カルミン教会に対する抗議行動を開始、5年前にはステファノ・ケイロロ神父を相手どって提訴した。
パスクァーレ・グラッソ判事は、女性に有利な判断を行い、マドンナ・デル・カルミン教会の鐘を禁止しただけでなく、100メートル離れたサント・ステファノ教会の鐘の音も小さくするよう命じた。
ただ住民が皆判決に合意したわけではない。地区観光局のマウロ・アルマニーノ所長は「鐘の音は、昔から生活のリズムを刻んで来た。それは信徒にもそうでない人にも同様だ」と語る。子どものころ、「アベマリアを告げる鐘の音は、家に帰る時間だと教えるものであり、鐘を黙らせたり、この伝統に弁償金を課すのが正しいのか疑問だ」と言う。
しかし、フローラさんの弁護士は、教会の鐘の音は許された騒音レベルより3デシベル上回っている、と主張した。フローラさんは、絶えず頭痛に悩まされており、客を迎えるのも「難しく、当惑する」ようになった、として「事態は支持できない」と言う。
判事は、マドンナ・デル・カルミン教会が日曜日のミサ、クリスマスと復活祭に20秒間だけ鐘を鳴らすことができると言い渡した。
罰金は「生物学的な損害」のための9000ユーロ、「道徳的な損害」のための4000ユーロ、「社会生活の権利の侵害」のための4万6000ユーロからなっている。
イタリアでは教会の鐘は、時を告げるだけでなく、ミサや結婚式、葬儀に来るよう呼び掛けるために鳴らされる。
◎修道女の美人コンテストは中止に
【CJC=東京】イタリア南部モッドラゴン教区のアントニオ・ルンギ神父が、修道女の美人コンテスト開催を発表したところ、司教や同僚司祭など教会関係者からの反対に中止することになった。
このコンテスト、8月からネット上で投票も始まり、世界各地からのエントリーを受け付けていた。神父は「肉体的なものだ、と皆誤解している。すでに申し込みもたくさんあったのに」と残念がっている。
《メディア展望》
=カトリック新聞(9月7日)=https://www.cwjpn.com
★日韓合同中高生キャンプ=違い超え、喜び合えた=ゲームや祈り、分かち合い通して
★教皇、現代の人種差別克服へ教会の貢献と祈り促す
★キリスト者への暴行に国内全土で教会が抗議=インド
★パウロ6世使徒的勧告=『福音宣教』に学ぶ=日本カテキスタ会が信仰養成講座
★「信者に政治教育を」=インドネシア=神学者が提言
=キリスト新聞(9月6日)=https://www.kirishin.com
★"平和願い 続く模索"=63回目の敗戦記念日=各地で祈りの集い
★「教会世界奉仕」=小美野剛氏がミャンマー現状報告=軍事政権下の支援に苦心
★キリスト教出版界に衝撃=東京聖文舎が破産
★日本聖書協会=『新共同訳』9点を贈呈=海外の日系人教会へ
=クリスチャン新聞(9月7日)=https://jpnews.org
★イムマヌエル初の全国青年大会=互いの悩み分かち合えた=若者たちが作り上げた大会
★米・サドルバック教会=米大統領候補の初顔合わせ実現
★アジアの平和とキリスト者の責任=「人権守り、苦しむ者の友に」=韓・台民主化運動の旗手が講演
★カルト集団「摂理」の鄭明析教祖に懲役6年
★高麗博物館講演会=韓国民主化運動と日本の関係問い直す=「日本は政府に眠らされている」
=リバイバル新聞(9月7日)=https://www.revival.co.jp
★自給伝道の新境地を語る=現代のテントメーカーたち
★レイクランド=集会は続行へ 監督役の3人も声明発表
★サウジアラビア=キリスト者15人が国外退去処分
★アドベンチスト女性=米海軍従軍牧師に
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