世界キリスト教情報 第900信(2008.04.14)
- 米宗教の自由委がブッシュ大統領に五輪開会式欠席を要請
- 脱北者一掃作戦で中国、国境近くの教会への監視も強化
- 米国人が好きな本のトップは「聖書」=ハリス調査
- 米大統領年収の2割強を教会や福祉団体に寄付
- 独カトリック教会がナチスに協力し強制労働を利用
- バグダッドで正教会司祭射殺される
- スリランカの自爆テロでカトリック信徒閣僚も死去
- 米の一夫多妻制教団施設から子ども・女性534人保護
- モルモン教会がモンソン大管長を正式指名
- 《情報レムナント》
- 《メディア展望》
◎米宗教の自由委がブッシュ大統領に五輪開会式欠席を要請
【ニューヨーク=ENI・CJC】宗教の自由を調査する米独立連邦機関『国際宗教の自由委員会』は4月4日発表した声明で、中国のチベット政策に変化が見られない場合は北京で開催されるオリンピック大会の開会式に出席しないようジョージ・W・ブッシュ大統領に要請している。
同委員会は、大統領が五輪出席を決めるなら、まずチベットの省都ラサか別のチベット地域を、「チベットや他の増加している宗教社会の宗教の自由に対する米国の関わりを確認するため」訪問すべきだ、としている。
◎脱北者一掃作戦で中国、国境近くの教会への監視も強化
【CJC=東京】北朝鮮からの脱出住民(脱北者)を支援する「北朝鮮難民救援基金」(東京)は4月10日、北朝鮮に隣接する中国吉林省延辺朝鮮族自治州が脱北者の一掃作戦に乗り出し、情報提供者への報奨金を脱北者1人につき8000元(約11万円)以上に引き上げたと明らかにした。自治州政府の宗教局関係者らの話として共同通信が報じた。
自治州当局者は脱北者保護の拠点になってきたキリスト教会への監視を強め、韓国や米国など外国からの支援が発覚した教会が強制閉鎖の対象になっている。
◎米国人が好きな本のトップは「聖書」=ハリス調査
【CJC=東京】ロイター通信が米オンライン世論調査『ハリス・ポール』として伝えるところでは、米国の成人2513人を対象に実施した好きな本に関する調査で、大半の人が一番好きな本に「聖書」を挙げたことが分かった。
ハリス社は声明で「聖書がすべての属性グループで首位にあがった一方、2番目に好きな本に関しては大きくばらついた」と説明している。
たとえば、男性ではJ・R・R・トールキンの「指輪物語」、女性ではマーガレット・ミッチェルの「風と共に去りぬ」となった。居住地域や人種でも異なる傾向が見られたという。
◎米大統領年収の2割強を教会や福祉団体に寄付
【CJC=東京】米ホワイトハウスは4月11日、ブッシュ大統領夫妻の昨年の課税対象所得が71万9274ドル(約7300万円)だったと発表した。
大統領としての報酬は約40万ドル。昨年の所得の約29%は投資の利益。ローラ夫人と娘ジェンナさんが共著した児童向け書物の前渡し料15万ドルも含まれるが、すべて教育事業に寄付したとしている。税額は22万1635ドル。
大統領夫妻は16万5660ドルを教会や福祉団体に寄付した。
夫妻の06年の所得額は76万5801ドル。
◎独カトリック教会がナチスに協力し強制労働を利用
【CJC=東京】英国営BBC放送によると、独カトリック教会は、第二次世界大戦の間、強制労働の行使に関わったことを認める報告書を発表した。700ページに及ぶ報告書は、捕虜1000人と約5000人の民間人が、戦争協力へナチスのために働くことを余儀なくされた、と記している。
その人たちは800に及ぶカトリック教会運営の病院や修道院などの施設で動員されたもの。教会はすでに、ナチスが強制労働に使用した外国人労働者に数億円規模の補償を行っている。
「カトリック教会が長い間、欧州全土から強制労働者としてドイツに移送された男性、女性そして子どもの運命と苦難に目をつぶっていたことを隠すべきではなかった」と、マインツ司教のカール・レーマン枢機卿は語った。
同枢機卿はこの1月、独司教会議会長を退任したが、教会が使用した強制労働者の数はナチスが動員した約1300万人のごく一部に過ぎなかった、と指摘している。
報告がテレビで放送された際、枢機卿は、病院、家庭、修道院などカトリック団体で強制労働に従事させられた人たちの事情は他の場所より悪くはなかった、と語った。
独プロテスタント教会はすでに、ナチス時代に同様の強制労働を利用したことを認めている。ドイツ銀行、フォルクスワーゲン、シーメンスなど主要企業も、自らの関与について調査を進めている。
※参考
カール・レーマン=Karl Lehmann
◎バグダッドで正教会司祭射殺される
【CJC=東京】イラクのシリア正教会のアデル・ユシフ司祭が4月5日、バグダッド中心部の自宅付近で射殺された。
カルデア典礼カトリック教会の指導者エマヌエル三世デリ枢機卿が同司祭の身元を明らかにしたもので、同枢機卿はロイター通信に、同派のモスル大司教パウロス・ファライ・ラホ氏が2月29日誘拐、殺害されたほかキリスト者への迫害が続発している中で、今回の事件にキリスト者は衝撃を受けており、「神に祈り、イラクの保安を求める以外に、なすべきことがない」と語った。
イラクでは少数派のキリスト者は2003年以来の抗争激化から距離を置くようにしているものの、バグダッドやモスルでは狙われることが多い。
※参考
アデル・ユシフ=Adel Yousif
パウロス・ファライ・ラホ=Paulos Farraj Rahho
◎スリランカの自爆テロでカトリック信徒閣僚も死去
【CJC=東京】スリランカでは、タミル人の独立を求める反政府武装組織『タミル・イーラム解放のトラ』(LTTE)と、シンハラ人主体の政府との内戦状態が80年代から続いているが、4月6日朝にコロンボ近郊ガンパハ県で行われたマラソン大会のスタート時に自爆テロとみられる爆発があり、カトリック信徒のジェヤライ・フェルナンドプレ高速道路・道路開発相(55)と92年のバルセロナ五輪男子マラソン代表K・A・カルナラテネ氏(47)を含む14人が死亡、負傷者も50人以上に上った。
治安当局は、LTTEの自爆攻撃部隊『ブラック・タイガー』の犯行と見て捜査している。マラソン大会は、人口の約7割を占める仏教徒主体の多数派シンハラ人と、同約2割のヒンズー教徒主体の少数派タミル人との交流を促進するイベントの1つだったという。
フェルナンドプレ氏は首相候補とも目される与党幹部で、強硬なLTTE批判派だった。
スリランカの教会は、フェルナンドプレ氏が殺害されたことに危機感を抱いている。
英国国教会(聖公会)のデュリープ・ドチッケラ監督は、「共同体を作るためのスポーツ計画が、突然、乱暴にも粉砕された。挑発的暴力行為は恐怖、疑念、そして怒りを広げる。共同体の溝を広げ、平和な対話への可能性を小さくする」と悲しみを表明した。
超教派の『社会的行動のためのキリスト者連合』のアインスリー・ジョセフ氏(カトリック)は「このような殺害は戦争商人を強めるだけ。政府にとって大損失だ」と語った。
この1月には、タミール族との休戦停止直後にD・M・ダッサナヤケ国家建設相が殺害され、閣僚殺害はフェルナンドプレ氏で今年2人目。
※参考
ジェヤライ・フェルナンドプレ=Jeyaraj Fernandopulle
K・A・カルナラテネ=K. A. Karunaratne
デュリープ・ドチッケラ=Duleep de Chickera
D・M・ダッサナヤケ=D.M.Dassanayake
◎米の一夫多妻制教団施設から子ども・女性534人保護
【CJC=東京】AFP通信によると、米テキサス州エルドラドで、児童虐待や性的暴行などの容疑で捜査対象となっている『末日聖徒イエス・キリスト教会原理派』(FLDS)の信徒らが、施設として使用している農場内に立てこもっていた事件で、4月4日から7日までに子ども401人と、同伴を希望した女性133人の計534人が保護された。地元当局が7日発表した。
当局は、施設内に残っている人数については明らかにしなかったが、施設からの移動および立ち入りを禁止している。
◎モルモン教会がモンソン大管長を正式指名
【CJC=東京】末日聖徒イエス・キリスト教会(モルモン教会)のトーマス・S・モンソン=新大管長(80)が4月5日、米ユタ州ソルトレークシチーの本部にある会議センターで初めて公式に演説した。男性信徒の宣教師任命式の席上行ったもの。座席数2万1000の会場は満席だったが、同派では女性の出席は認められていない。ただ式典の模様は世界各地に衛星中継された。
モンソン氏は、ゴードン・B・ヒンクリー大管長の死去に伴い2月に就任していたが、同派の慣例により、『荘厳会議』での指名が必要で、同日の会議で信任された。この前の会議は1995年4月に行われ、ヒンクリー氏を大管長に指名している。
《情報レムナント》
▽ザビエル教会旧聖堂「再生」へ第一歩 福岡県宗像市に移築 基礎工事終え立柱式
鹿児島市の鹿児島カテドラル・ザビエル教会から、福岡県宗像市名残の御受難修道会・宗像修道院に移され、「再生」を図っている旧聖堂の基礎工事と、出入り口を飾っていた石柱の復元作業が終わり、記念の「立柱式」が6日、現地であった。今後、傷んだ部材修理などに取り組み、年末に建物本体の復元に着手。2011年春の完成を目指す。
旧聖堂は1949年、宣教師フランシスコ・ザビエルの日本渡来400年を記念して建設。約50年後に新聖堂の建設に伴い解体され、同修道会が「ザビエルが布教の途中に宗像市に寄った縁がある」と申し入れ、移築先に決まった。(西日本新聞4月8日)
《メディア展望》
=カトリック新聞(4月13日)=https://www.cwjpn.com
★「霊的土壌」に豊かな召命=「世界召命祈願の日」教皇メッセージ
★鹿児島教区=中高生が「春の巡礼」=殉教者の強い信仰に驚き
★名古屋教区=ブラジル日本移民100年祭=移住者の過去と今 再認識
★正平協=チベット問題で中国大使に声明文
★変わる上智大神学部=多様な志望に門戸開く
=キリスト新聞(4月12日)=https://www.kirishin.com
★"歴史を担う"志望者集う=教職員要請プログラムが本格始動=キリスト教学校教育同盟
★「日の丸・君が代」=不起立で新たに20人処分=東京都=根津公子さんは停職6カ月で免職回避
★世界各地で復活祭=緊迫する情勢下でも 革新・平和・希望のメッセージ
★m-flo="ライブ前には祈る"=バーバルさんがバイブル・スタディに出演
★「行き場のない子こそ」=北星学園余市高が相談会
=クリスチャン新聞(4月13日)=https://jpnews.org
★第5回日本伝道会議=危機の時代にフォーカス=課題の具体化継続化のためプロジェクトを軸に
★「ネガティブな心 救われた」=VIPクロスカルチャー=ゲストにVERBAL
★共同体が翻訳の型を決める=聖書翻訳ワークショップ=スコポス理論を紹介
★日本宣教の門は拡大している=イエス・ビジョン=第3期宣教師派遣式礼拝
★キリスト教性教育研究会=深刻な性の問題を考察
=リバイバル新聞(4月13日)=https://www.revival.co.jp
★渋谷で教会開拓=グレイス東京=若者への伝道願って=都心で灯るリバイバルの火
★舟喜信氏が召天=元JEA理事長
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