世界キリスト教情報 第899信(2008.04.07)
- 世界福音同盟が米紙に「ユダヤ人に福音を」の全面広告
- イランでコーラン批判映画に対抗版制作
- ロシアでカルト団体が終末間近、と穴に立てこもる
- 米で一夫多妻制の教団から少年少女ら「救出」
- 「神のいつくしみ」テーマにローマで国際使徒会議
- ゴルバチョフ氏「神を信じたわけではないが...」
- 「葬儀」に地球の裏側からもネットで参列、英国で新サービス
- 『プレイボーイ』誌フィリピン版創刊、カトリック教会は調査要求
- 《情報レムナント》
- 《メディア展望》
◎世界福音同盟が米紙に「ユダヤ人に福音を」の全面広告
【CJC=東京】世界福音同盟(WEA)が、声明「福音とユダヤ人」を米紙ニューヨーク・タイムズ3月28日付けに全面広告として掲載した。ユダヤ人への福音伝道がなおざりにされて来たとして、ユダヤ人に対する尊敬と友好関係を表す一方、「救いはイエス・キリストを通してのみ」と語るもの。
声明には、ローザンヌ世界宣教委員会のダグラス・バーゼル委員長、韓国ヨイド純福音教会のパウロ・チョー・ヨンギ牧師、欧州福音同盟のゴードン・ショーウェル・ロジャース総主事ら45人が署名している。
「福音主義に立つキリスト者として我々は次の点を明らかにしておきたい。我々は、声明によって我々の友人であるユダヤ人の感情を害することを願ってはいない。しかし、我々は、我々の信仰から、また聖書に対する献身から、聖書の原理に立たずにはいられない」と言う。
WEAのジェフ・トゥニクリフ国際ディレクターは声明について、ユダヤ人伝道への意識が低下しているとして、「声明は、わたしたちの信仰をユダヤ人を含めたあらゆる人々と分かち合うために、聖書的な根拠を語ろうと試みるもの」と指摘した。
一方、反ユダヤ運動を監視する『反誹謗連盟』(ADL)は、声明がユダヤ人改宗を目指すものであり「不快で侮辱的」とする新聞発表を行った。
広告が、ユダヤ教からキリスト教に改宗した人を、そのユダヤ人としての宗教的文化的経験をユダや人改宗に使うために活用し守ろうとしている、と言う。
ナショナル・ディレクターのエイブラハム・H・フォックスマン氏は『ユダヤ人をキリストへ』や『メシアニック・ジュウ』などのグループによる二枚舌的な改宗を擁護することを特に不愉快、としている。
また「聖パウロがローマの信徒への手紙で示したように、神は常にユダヤ人との間に特別な関係があったと信じる」と語ったビリー・グラハム牧師と対極的な立場にある、と指摘した。
グラハム氏は「福音伝道の中で、私は、ユダヤ人だけを対象に召されたと感じたことは一度もない」とし、2000年には、所属する南部バプテスト連盟のユダヤ人改宗方策に反してユダヤ人を擁護する姿勢を示している。
※参考
世界福音同盟(WEA)=World Evangelical Alliance
「福音とユダヤ人」=The Gospel and the Jewish People
『反誹謗連盟』(ADL)=Anti-Defamation League
エイブラハム・H・フォックスマン=Abraham H. Foxman
ビリー・グラハム=Billy Graham
◎イランでコーラン批判映画に対抗版制作
【CJC=東京】イランの団体が、聖書を批判する自主映像の制作を始めた。オランダの極右政党党首がイスラム教の聖典コーランを批判する短編映画『フィトナ』をインターネット上で公開したことに対抗したもので、タイトルも『ビヨンド・フィトナ』。同国のFARS通信が伝えた。
団体名は『NGOイスラムとキリスト教』ということだけ知られている。
聖書の教えに沿ったとして行われたキリスト者の残虐行為の映像を編集し、教皇ベネディクト十六世の発言も取り上げる。
読売新聞がモハンマド・カリミ副代表によるとして報じるところでは、「米国など、西側諸国で台頭するシオニスト(ユダヤ人民族主義者)が支配するキリスト教」を描く内容になるという。映像は15~20分で、4月中に完成予定。「反イスラム」のビデオ同様、ネット上での公開を検討している。
◎ロシアでカルト団体が終末間近、と穴に立てこもる
【CJC=東京】ロシア正教系カルト団体のメンバー35人が、「最後の審判」の日付を独自に計算した結果、2008年5月に終末が訪れると判断、昨年10月からモスクワの南東約500キロにあるペンザ州ニコルスコイェ村で丘に穴を掘って立てこもった。
メンバーは、洞穴内から強制的に排除されるようなことがあれば、ガスボンベを爆発させ自殺を図ると警告していたが、洞穴の一部が崩壊、洞穴の外にとどまっていた同団体指導者ピョートル・クズネツォフ氏と当局が交渉、女性7人が穴から脱出した。
また当局は、ヨハネの黙示録の専門家ヘルモゲン神父を呼び寄せ、31日、洞穴の通気口を通じてカルト教団のメンバーと会話させている。
※参考
ニコルスコイェ=Nikolskoye
ピョートル・クズネツォフ=Pyotr Kuznetsov
ヘルモゲン=Hermogen
◎米で一夫多妻制の教団から少年少女ら「救出」
【CJC=東京】米テキサス州の教団『FLDS』(末日聖徒イエス・キリスト教会原理派)は一夫多妻制を主張することで知られているが、同州西部サンアントニオの北西約260キロにある施設内で16歳少女が暴行され、別の16歳少女が出産、子どもが生後8か月になるとの情報を受け、州の児童保護局などは4月3日、施設を調査した。
教団側は、信者以外の教会への出入りを禁じる教義に則り、州職員らが教会施設に接近することを拒んでいたが、当局は4日夜に強制捜査に入り、6日までに未成年の少年少女137人と女性46人の計183人を保護した。少女18人は虐待を受けていたとして、州当局の保護下に置かれている。
これら少女は長期間、外界との接触を絶つ生活をしており、州では養育を引き受ける家庭を探している。
施設の関係者の逮捕者は出ていないが、指導者(年齢不詳)は昨年11月、いとこと2001年に結婚した14歳少女に対するレイプの共犯の罪で禁固10年から終身の不定期刑の判決を受けていた。
FLDSは、末日聖徒イエス・キリスト教会(モルモン教会)が1890年に一夫多妻制を放棄したことから分派した。
施設は、2004年に70万ドル(約7000万円)で購入、建設を始めていた。敷地の広さは約6・9平方キロ。高さ約24メートルの教会が建つ。
モルモン教会は現在、一夫多妻制を実行する信者は破門し、FLDSとの関連を一切否定している。
※参考
『FLDS』(末日聖徒イエス・キリスト教会原理派)=Fundamentalist Church of Jesus Christ of Latter Day Saints、FLDS
◎「神のいつくしみ」テーマにローマで国際使徒会議
【CJC=東京】前教皇ヨハネ・パウロ二世の帰天3周年を機に、「神のいつくしみ」をテーマにした初めての国際使徒会議が4月2日から6日までローマで行なわれた。
ヨハネ・パウロ二世は在位中、神のいつくしみの神秘を熱心に証し続けた。教皇ベネディクト十六世は、前教皇の使徒職と生涯にこれまでたびたび言及している。
バチカン放送(日本語電子版)によると、会議は2日午前の教皇司式によるヨハネ・パウロ二世追悼ミサに続いて、同日夕方、ローマ市内のラテランの聖ヨハネ大聖堂で開会した。会議の推進者であるクリストフ・シェンブルン枢機卿はじめ、ローマ教区教皇代理司教のカミッロ・ルイーニ枢機卿、ヨハネ・パウロ二世の元秘書で現クラクフ大司教のスタニスラウ・ジヴィッチ枢機卿が挨拶した。シェンブルン枢機卿は、「神のいつくしみに対するヨハネ・パウロ二世の預言的洞察」をテーマとした開会講演を行なった。
3日は「神のいつくしみの神秘、教会の宝」、4日「教会の交わりのための神のいつくしみ」、5日「教会の宣教のための神のいつくしみ」をテーマに会議が続けられた。
※参考
国際使徒会議=World Congress on Divine Mercy
クリストフ・シェンブルン=Christoph Scho"nborn
カミッロ・ルイーニ=Camilo Ruini
スタニスラウ・ジヴィッチ=Stanislaw Dziwicz
◎ゴルバチョフ氏「神を信じたわけではないが...」
【ワルシャワ=ENI・CJC】旧ソ連時代の最高指導者で開放政策「グラスノスチ」を実施したミハイル・ゴルバチョフ氏は、カトリック修道会『フランシシコ会』の創設者アッシジの聖フランシスコを称賛することで知られている。3月26日には聖人の墓詣もした。
しかし神を信じたわけではないとして「昔も今も無神論者だ」とインターファクス通信に語った。「宗教は社会にとって重要だ。そこで旅行の際には教会、ユダヤ教会堂、イスラム教のモスク訪問を心掛けた。しかし、それは信じているからそうしたのだ、とは言えない」と述べている。
アッシジで働いているミロスラヴォ・アヌスケヴィシウス司祭は、伊紙『ラ・スタンパ』にゴルバチョフ氏が3月19日、墓所のある聖堂を訪れた際、令嬢イリナさんと共に、30分もひざまずいて祈っていた、と語った。
ゴルバチョフ氏は、「私にとって聖フランシスは第二のキリスト。その物語は私を魅了し、生涯に重要な影響を受けた。教会に縁が出来たのは、聖フランシスを通じてであり、墓を訪ねることが大事だった。カトリック信者だけでなく、全ての人間にとって重要な場所に来られて感動した」と言う。
※参考
ミロスラヴォ・アヌスケヴィシウス=Miroslavo Anuskevicius
◎「葬儀」に地球の裏側からもネットで参列、英国で新サービス
【CJC=東京】ロイター通信によると、海外に居住しているなどの事情があって葬式に参列できない人も故人の葬儀に「参列」できるよう、式典の模様をインターネットで中継する有料サービスが4月1日、英国で始まった。
ウェズリー・ミュージック社が運営するもの。教会に設置したカメラによって葬儀をウェブ中継し、視聴ごとに課金する『ペイ・パー・ビュー』方式で75ポンド(約1万5000円)の料金が必要。英国で行われる葬儀には、カナダや豪州の知人友人は参列が間に合わないところ、せめて同時中継で式典に参加した気持ちにもなれる、と同社。
イングランド南部サザンプトンの葬儀社が3回、遺族に提案したところ、いずれも好評だった。「遺族にして見れば、葬儀の時に共にいてくれると感じるのでは」と言う。
ただ葬儀は「見せ物」ではないとして、遺族が参列を希望する人に、同社から付与されたパスワードを教えることで見られる仕組み。
※参考
ウェズリー・ミュージック=Wesley Music
◎『プレイボーイ』誌フィリピン版創刊、カトリック教会は調査要求
【CJC=東京】米男性誌『プレイボーイ』のフィリピン版が4月2日、創刊された。国民の大半がカトリック教徒で保守的な国柄から、他国版より「控えめ」な内容に調整し、全裸ヌード写真は掲載しない方針だが、教会からは抗議の声が上がっている。
1953年9月に米国で創刊されたプレイボーイ誌の海外版が創刊されるのは、フィリピンが25か国目。
一方、フィリピン・カトリック司教会議のペドロ・キトリオ司祭は、AFP通信に「貧困から汚職まで多くの問題が山積しているフィリピンに、さらに別の道徳的問題を抱える余裕はない」と指摘。道徳観を崩壊させるプレイボーイ誌については、当局による調査が必要だとつけ加えた。
※参考
ペドロ・キトリオ=Pedro Quitorio
《情報レムナント》
▽輝き取り戻し里帰り 鶴岡カトリック教会「黒い聖母マリア像」修復作業終え1年ぶり
鶴岡市の鶴岡カトリック教会に安置されている「黒い聖母マリア像」が4日、東北芸術工科大での修復作業を終え、約1年ぶりに同教会へ里帰りした。信者たちは美しくよみがえった姿に新たな祈りをささげた。
マリア像は1903(明治36)年、同教会の天主堂建設を計画した初代主任司祭のダリベル神父の生まれ故郷・フランス北部のデリヴランド修道院から献堂の記念に贈られたもの。
正確な制作年は不明だが、1895(明治28)年の聖母像戴冠式で同修道院のある町を行列した像であるとの言い伝えもあり、同年にはすでに存在していたとみられる。
同教会では27日に修復記念式を予定している。(荘内日報4月6日)
《メディア展望》
=カトリック新聞(4月6日)=https://www.cwjpn.com
★復活こそ神の子の証し=教皇 復活節の50日間祝う重要性を強調
★東ティモールの司祭来日=記憶、和解、ゆるし、正義=紛争解決と平和維持に必要
★ブラジルから日系人巡礼団=中村神父ゆかりの地へ
★ベトナム第3の神学院=入学者数の制限を解除
★福岡教区司教 着座式5月18日に
=キリスト新聞(4月5日)=https://www.kirishin.com
★日本聖書協会・日本ウィクリフ聖書翻訳協会ワークショップ=翻訳に主眼置き初の共催=日本語の変化も視野に
★バルト神学の受容問い直す=日本基督教学会関東支部=大木英夫、加藤常昭、鈴木正三各氏が講演
★イエス・サリ共同体を訪問=松浦司教ら=日韓交流で平和貢献を
★独自のバッハ理解展開=出版記念会で川端純四郎氏
★"チベットに自由を"=中国大使館前で宗教者ら抗議
=クリスチャン新聞(4月6日)=https://jpnews.org
★脱北者インタビュー=早紀江さんの気持ち「痛いおどわかる」=北朝鮮・人々の意識に変化も
★「アスの宣伝者になろう」=若者らに伝道のスピリットを訴え=「J+Passion Tokyo 2008」開催
★舟喜信氏逝去=聖書信仰による一致に尽力=JEA理事長、聖書宣教会会長など歴任
★元爆撃機パイロット デシーザー牧師死去=獄中で回心 日本宣教に従事
★カタールに最初のキリスト教会
=リバイバル新聞(4月6日)=https://www.revival.co.jp
★英国発 癒しと解放の働き=エレル・ミニストリーズ初来日
★フィリピン=拡大するG12運動=初の全国大会も
●世界キリスト教情報●ご案内
☆活動のご紹介は https://homepage2.nifty.com/cjc-skj/
☆既刊号をご覧頂くには https://cjcskj.exblog.jp/
☆記事検索は『教会と神学』(小原克博氏制作)をご利用願います。
https://www.kohara.ac/news/