世界キリスト教情報 第891信(2008.02.11)
- カンタベリー大主教の「シャリア法を一部導入」発言に批判相次ぐ
- 米でオンラインの創造論専門誌創刊
- 韓国、テレビ報道をきっかけに宗教法人課税論高まる
- ギリシャ正教会首長にテーベのヒエロニモス府主教
- 聖書に基づくファイナンス・セミナーが米で人気
- 比カトリック教会が携帯アニメで聖書の言葉
- トーマス・S・モンソン氏がモルモン教会新大管長に
- 《情報レムナント》
- 《メディア展望》
◎カンタベリー大主教の「シャリア法を一部導入」発言に批判相次ぐ
【CJC=東京】英国国教会の最高指導者カンタベリー大主教ローワン・ウィリアムズ氏が2月7日、英BBCラジオの番組『ザ・ワールド・アット・ワン』で、英司法制度に部分的にシャリア法(イスラム法)を導入することは「避けられないと思う」と述べた。「過剰な刑罰」や女性差別は認められないと強調しつつ、イスラム法に対して偏見を持つべきではないとしたことが政治問題化し、また宗教上の寛容に関し論争を引き起こしている。
大主教は、自身の発言が一部から驚きを持って受け止められるであろうと認めた上で、英国内の移民が持つ抑圧感を和らげるためには、すべての移民社会が公的手続きに参加できるようにすることが重要との認識を示した。
2001年の国勢調査によると、英国には人口の2・7%に相当する約160万人のイスラム系移民が地域社会を形成、離婚や結婚ではイスラム独特の手続きを取っている。現実にイスラム法廷も存在しており、結婚や金銭取引から暴力集団同士の争いの仲裁まで務めている。
今回の論争の根底には、2005年7月のロンドン地下鉄爆破テロの犯人がイスラム教徒の若者4人だったことから、イスラム社会に対し激しくなった偏見や差別がある。
英首相官邸の報道官は、1国2制度を認めると法の支配を根幹から揺るがしかねないとして、「英国の法律に違反する行為をシャリア法で正当化することは認められない」と即座に反論した。「ゴードン・ブラウン首相は、英国の司法制度は英国の価値観に基づくべきだと考えている」と言う。大主教周辺からも「彼の発言は英国を驚かせた」などと批判的な意見が相次いだ。
8日、大主教府はウェブサイトに釈明文を掲載、「大主教はシャリア法の適用を一切提言していない」と主張、マンチェスターのスティーブン・ロー主教も「大主教は2制度などとは言っていない。反論の中には人種差別的な色彩も見られる」と語ったが、批判は収まらない。公に辞任を求める声が少なくとも2件あがった。
政府が共通の価値観に基づく結束した社会作りを目指しているのに、大主教の発言は英国内の民族的コミュニティーの分断につながりかねないという点に非難が集中している。
国教会総会代議員のアリソン・ロフ氏は9日、BBCラジオに「ウィリアムズ氏は計り知れないダメージを与えた。彼はきちんとした助言を受けてこなかった点は同情するがこういう事態になった以上、辞任すべきだ」と述べた。
◎米でオンラインの創造論専門誌創刊
【CJC=東京】米国の『アンサー・イン・ジェネシス』が、創造論に関するオンライン専門誌『アンサーズ・リサーチ・ジャーナル』(ARJ)を創刊、1月にインターネット上に登場した。「論文審査のある専門誌で、天地創造や世界規模で起こったノアの洪水について、聖書の枠組みの観点から行なわれた、科学その他の関連分野にまたがる研究成果を発表する」場と言う。
『アンサー・イン・ジェネシス』は、創世記の6日間創造物語を様々な形で紹介しようとする博物館『クリエーション・ミュージアム』を2007年にケンタッキー州ピータースバーグに創設したことで知られる。
編集長はオーストラリアの地質学者アンドリュー・スネリング氏。「聖書的な枠組みの中で、(数億年前ではなく)近年に地球が創造された、また世界的規模でノアの洪水が起こったという視点に立つ、科学およびその他の関連分野にまたがる研究成果を発表する場」として提供され、すべての論文を無料で閲覧、ダウンロードすることが出来る。
論文は、「天地創造説を支持し、おのおのの分野で天地創造説研究の優れた思索を行なっている一流の研究者、科学者、および神学者の大規模なネットワーク」による審査を経ており、「科学と神学の最高水準」を満たしたものばかりだという。
、創刊号には「天変地異による花崗岩の形成」「微生物と天地創造の7日間」などが掲載されている。
◎韓国、テレビ報道をきっかけに宗教法人課税論高まる
【CJC=東京】韓国文化放送(MBC)のテレビ番組で宗教指導者らの豪華な暮らしぶりが紹介されたのがきっかけで、宗教法人への課税を求める声が高まっている。
牧師や僧侶らがぜいたくな家に住み、高級車を乗り回し、さらには寺院内で投資行為を行う姿を報道したところ、同局のウェブサイトには宗教指導者らへの課税を求めるコメントが殺到した、とAFP通信が報じている。
英字紙コリア・タイムス2月4日付けは、1994年にキリスト教会の一部関係者が自発的に所得税を払うことを決めて以来、宗教法人への課税を求める声は高まっていると報じた。しかし政府は、宗教法人側の顔色をうかがうあまり、これまでなんの決定を下していないという。
「宗教法人の財政を透明化させ、課税すべき」との声がある一方、「高収入を得ているのはごく一部の宗教家」などの意見もあり、世論は二分している。
◎ギリシャ正教会首長にテーベのヒエロニモス府主教
【CJC=東京】ギリシャ正教会は、首長クリストドゥロス大主教が1月28日死去したのに伴い、聖会議を2月7日開催、テーベのヒエロニモス府主教(70)をアテネと全ギリシャの大主教(首長)に選出した。アテネの大聖堂で開かれた聖会議には府主教74人が出席、2回目の投票で45票を獲得したヒエロニモス府主教が選出された。
ヒエロニムス府主教は、正教会の霊的首長とされるイスタンブールのエキュメニカル総主教バルトロメオス一世と良好な関係にあることで知られている。
1938年、ギリシャ南部オイノフィタ生まれ。アテネ大学卒業後、オーストリアとドイツで学んだ。
◎聖書に基づくファイナンス・セミナーが米で人気
【CJC=東京】聖書は信仰生活の規範というに止まらない。生き方から悩みごと解決、さらには金儲けに至るまで、ハウツー本に聖書を利用して稼ごうとする人が絶えない。最近では、飲食業界や不動産業界で働いた経験を持つハワード・デイトン氏が説く聖書を基にしたファイナンス・セミナーが全米で人気を集めている、とUSフロントライン(電子版)が報じた。
ABCニュースによると、デイトン氏の番組は現在、全米で1000局以上で放送され、視聴者数は1週間に約200万人にも上る。著作も数十冊に達するという。また聖書を基に、米国始め世界49カ国の何万もの教会で、個人・事業の財政管理について指導している。同氏が運営する『クラウン・ファイナンシャル・ミニストリーズ』(本部アトランタ)は、いまや"福音主義金融界"の花形となっている。
デイトン氏は、負債にあえいでいた時、聖書に救いを求め、見つけた金・財産に関する2350を超える文章をすべて抜き出し、夫人とともにそれを順守する生活を心がけるようにしたという。ローンを完済した後も所有するクレジットカードは1枚のみ。
重要なアドバイスの1つは「借金は良くない」という同氏は「あなたの所有物は、あなたではなく、神こそが管理主であると指導する人は少ない」と強調する。また、所得の10%を地元の教会に寄付するよう指導していることだ。
◎比カトリック教会が携帯アニメで聖書の言葉
【CJC=東京】フィリピンのカトリック司教会議は、携帯電話向けのアニメで聖書の言葉を伝える「アニメバイブル」の配信を始めた。共同通信が報じた。聖書を読まなくなった若い世代を狙ったものと言う。
フィリピンは国民の85%がカトリック教徒。しかし2006年の調査で、聖書を読まない信者は若者を中心に60%に上ることが分かり、司教会議は「憂慮すべき状況」だとして対策を検討していた。
そこへマニラでアニメ制作の会社を経営する河本明さん(47)が携帯配信の「アニメバイブル」を提案、教会が受け入れたもの。
登録すると、聖書の一節がキリストやその使徒らを描いたアニメとともに週に1度、配信される。
◎トーマス・S・モンソン氏がモルモン教会新大管長に
【CJC=東京】末日聖徒イエス・キリスト教会(モルモン教会、本部=米ユタ州ソルトレークシティー)では、最高責任者であるゴードン・B・ヒンクレー大管長の死去に伴い、後任者として十二使徒定員会のトーマス・S・モンソン会長(80)が2月4日就任した。
《情報レムナント》
▽江袋教会再建に役立てて 上五島高生が募金を寄付
昨年二月の火災で焼失した新上五島町曽根郷の江袋教会の復元に役立ててもらおうと、募金活動をした同町浦桑郷の県立上五島高(宮内博己校長、六百二十六人)の一年生十二人が二日、同教会の所有者のカトリック長崎大司教区に募金を寄付した。
生徒は、総合的な学習の時間の一環として、同校でのポスター掲示、町内のイベントでの募金活動に取り組み、十万二千二百八十六円が集まった。
同教会は有形の町指定文化財。現在日常的に使用されている木造教会の中で県内最古だった。カトリック長崎大司教区は、教会復元に向けて取り組んでいる。(長崎新聞2月5日)
《メディア展望》
=カトリック新聞(2月10日)=https://www.cwjpn.com
★聖公会・カトリック=対話進展 ともに祈る=合同声明『マリア』邦訳の刊行を記念
★カトリック信者は苦しむ人と共に=世界病者の日=教皇メッセージ
★第4回修道会・宣教会フォーラム="共に"宣教を推進=福岡
★ヒト・ゲノム研究率いる国立遺伝研究所の五條堀教授 教皇庁科学アカデミー会員に
★祈りの場、新体制へ=イエズス会 信徒団体に依頼=鎌倉の修道院
=キリスト新聞(2月9日)=https://www.kirishin.com
★信教の自由が危ない=2・11=改憲論議に緊張高まる=反省に立つカトリック教会=「政教分離の原則堅持を...」
★21世紀半ばにも"聖餐一致"を期待=WCC総幹事 教皇とも会見
★袴田さん救う会=冤罪の根絶訴え 元特捜検事田中森一氏が講演
★医療支援ネット="義理の愛大作戦"=チョコでイラクの子どもを支援
★ギリシャ正教会=フリストドゥロス氏死去
=クリスチャン新聞(2月10日)=https://jpnews.org
★「スポーツネット」がISCに加盟=北京五輪伝道に連携強化
★JEA神学委員会:第5回日本伝道会議に向けアイヌ問題の学び会
★神のかたちの回復としての宣教=9月に名古屋で第5回東海宣教会議
★東京・国立市=各教会が市政のため祈祷会=関口市長 新年度の政策語る=「いのち」重視し予算計画
★新約聖書ギリシア語小辞典編纂=織田昭氏逝去
=リバイバル新聞(2月10日)=https://www.revival.co.jp
★新改訳、著作権が移行=財産権もSSKに返還=今後は日本の教会で
★メビックが韓国でセミナー=プサンなど4箇所で=「原則捕えると成長する」
★米レイクウッド教会のイスラエル・ホートン2月来日