公開講演会「ツタンカーメン王と信仰復興」
10月19日、日本オリエント学会と一神教学際研究センター共催の公開講演会を神学館礼拝堂で行いました。私はいつものごとく司会進行を務めました。
今回、河合 望先生(早稲田大学高等研究所准教授)をお招きし、「ツタンカーメン王と信仰復興──アマルナ以後のエジプト第18王朝」と題して講演をしていただきました。
副題にある第18王朝は古代エジプトの黄金時代である新王国時代に属していますが、その時代、アクエンアテン王(アメンヘテプ4世)が人類史上はじめてとも言える一神教崇拝の宗教改革を行いました(アマルナ革命)。そして、その子・ツタンカーメン王の治世において、一神教から再び伝統的な多神教への「信仰復興」を行うことになります。
河合先生は、以下のようなテーマについて、考古学的な裏付けを適宜示しながら、話してくださいました。
1)なぜアマルナ革命は失敗したのか?
2)伝統的な多神教への復興はどのようなものだったのか?
3)アテン信仰は完全に否定されたのか?
エジプト史の中でも一番おもしろい部分だと思います。日本では、40年ほど前にツタンカーメン展が催され、黄金のマスクがやってきた頃から、ツタンカーメンは広く知られることになりました。その頃、小学生低学年であった私も、あの黄金のマスクにはひどく心引かれ、当時はやったピラミッド・パワーなるものにも興味津々でした。エジプト関係グッズをいくつも持っていたことを懐かしく思い出します。
こうしたテーマに関心をお持ちの方は、河合先生の近刊『ツタンカーメン 少年王の謎』(集英社新書)をお薦めします。