アフガニスタンへの支援とタリバーン
アフガニスタン支援国際会合(いわゆる東京会議)は7月8日、参加国や国際機関が今後4年間で160億ドル(約1兆2800億円)の援助をすることを「東京宣言」に含め、閉幕しました。しかし、骨格がお金の話に終始した今回の決定は、果たしてアフガニスタンに平和と和解をもたらすのでしょうか?
最大の問題の一つは、アフガニスタンの将来を語る重要な場であるにもかかわらず、タリバーン側の代表者は誰も招かれていない、ということです。タリバーンをどのように評価するにしても、タリバーンを蚊帳の外に置いて、国際社会がアフガニスタン問題を論じることに、どの程度の現実的実効性があるかのかと考えてしまいます。
汚職の問題については、今回の会合でもチェック体制が話し合われました。しかし、これはかなり根の深い構造的問題なので、数年で解決するとは到底思えません。問題は、これまで大量の国際支援が投入されながら、それが十分に生かされていないことです。都市部への支援と地方への支援の大きな格差も深刻です。こうした点を批判的に検証していかなければ、早晩、国際社会からの関心も減退していくことになりかねません。ただ巨額の国際支援をする、というだけでは、同じ失敗を繰り返すことになるでしょう。
アフガニスタンのGDPの半分を国際支援が占めています。こうした依存体質を脱却していくための、経済基盤の強化がどのようになされていくのかは、今回の東京宣言からは具体的にはうかがうことができませんでした。
今回の会議のレセプションに参加された内藤先生によれば、その中で、カルザイ大統領をはじめ、多くの方が「同志社」の名前を言及されたとのこと。それは、タリバーン側と政権側とが同席し、話し合うだけでも画期的であることを示しています。2014年度以降の米軍の駐留をめぐっては、政権側とタリバーン側とは完全に対立しています。しかし、歩み寄れる部分もあります。
先日、CISMORとグローバル・スタディーズ研究科の共催で行った国際シンポジウム「アフガニスタンにおける和解と平和構築」の動画と一部資料をアップしました。タリバーン側および政権側の肉声を伝える、かなり貴重な映像だと思います。関心のある方はご覧ください。説明に Islamic Emirate of Afghanistan とあるのは「タリバーン」として理解していただいてよいです。政権側は、大統領顧問のシュタネクザイ氏が話しています。