KOHARA BLOG

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CISMOR講演会「変化するエジプトと宗教」

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 6月11日、エジプト大使のアブデルナーセル氏を講師として CISMOR 講演会「変化するエジプトと宗教」を開催しました。
 一般に大使というと、政治学や外交の専門知識を持っているという印象ですが、この大使は何とイスラームや宗教を本格的に学んでおり、講演では古代エジプトの宗教からイスラーム、そして、現在のエジプトの様子、中東外交まで非常に幅広いテーマに触れられました。
 エジプトの憲法第2条には、イスラームがエジプトの公式の宗教であることと同時に、宗教に基づいた政党を作ることの禁止が記されています。つい最近、ムスリム同胞団が母体
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となった「自由公正党」が公認されたばかりですが、やはり、この2条を踏まえて、宗教色を極力抑えています。ただし、この2条をどのように解釈するか、改訂すべきなのかという問いをめぐって、すでに激しい議論が交わされているとのことでした。

 講演会には160名ほどの来場者がありました。1時間に及ぶ質疑応答の時間があっという間に終わってしまうほど、次々に質問が出され、関心の高さをうかがうことができました。

 講演終了後、場所を変えて、研究会を持ちました。エジプトから Mohamed Hawary教授(Ain Shams University)、シリアからWahbeh al-Zuhili教授(Damascus 
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University)を招き、エジプト革命後のイスラエルとの関係や、イスラームの寛容論などについて話を聞いた後、ディスカッションをしました。

 研究会終了後、京都駅のグランヴィアに移動し、夕食を共にしました。大使をお迎えしたということで、同志社を代表して、野本理事長にも同席していただきました。
 一神教研究にとってエジプト、中東は最重要地域の一つですが、エジプト革命(エジプトでは「1.25革命」と呼ぶらしいですが)以降、ますますその重要性が高まっています。政治改革の中に、宗教がどのような形で関与していくのか、新しい民主化モデルの模索に目が離せません。
 同志社大学はカイロ大学やアレクサンドリア大学と協定関係がありますので、来年度は、エジプトで共催の国際会議をしたいと考えています。

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