雑誌 Pen 特集「キリスト教とは何か」(続)
前回の記事を書いた後に、実物がアメリカの自宅に届きました。あけて、びっくり。いや〜、実に盛りだくさんの情報です。美術・芸術の視点からキリスト教を理解するという試みは、かなりの程度成功していると思いました。これだけふんだんにカラー写真を使って、600円というのはお買い得だと思います。
編集者の方に郵送していただいたことに対するお礼のメールを書いたところ、発売当日の売り上げが、最近の中では最高記録を出したとのこと。ヨーロッパなどの美術館や教会に関心はあるけれども、キリスト教のいろはがわからないという一般読者にアピールしたのだと思います。
「キリスト教とは何か」という特集タイトルを見て、それが教義や歴史のことばかりだったら、たぶん、多くの人は購入にまでは至らないでしょう。色鮮やかなキリスト教美術や教会建築がちりばめられた紙面を見ると、よくわからないけど、おもしろそう!と思うかもしれません。ビジュアルは大事ですね。
ちなみに、カトリックで絵画が発展したのも、まさにビジュアル志向だったからです。たとえ文字が読めなくても、絵画はメッセージを伝えることができます。プロテスタントがビジュアルなものから背を向けて、どちらかというとロジックの世界へと分け入ったのは、その時代の決断としては意味があったと思うのですが、多くのものを棄てすぎたような気もします。
手元に届いた実物を眺めながら、ふと思ったことの一つは、これならキリスト教概説の教科書としても使えそうだ、ということです。もちろん、学問的な説明をきちんと付け加えていかなければなりませんが、教材としてはなかなか魅力的です。ちょっとカトリックに寄りすぎているかな(プロテスタントの教会建築の紹介が少ない)という印象はありますが。
いずれにしても、いいものを作ってくれました。あらためて、おすすめします。