Gadget of the Year: jailbroken iPhone
ガジェット好きの私が選ぶ「今年のガジェット」を二つ発表したいと思います。まずは一つ目。
何はともあれ、iPhone が一番利用度の高いガジェットです。今、私が所有している iPhone は昨年の夏前に買った iPhone 3G であって、今年の夏に発売された最新の 3GS ではありません。
その意味では「今年の」ガジェットではないのですが、アメリカに来てから iPhone を jailbreak(脱獄)し、かなりのチューニングを施してきましたので、今や別物と言えます。そういうわけで、jailbroken iPhone が私にとっての Gadget of the Year です。
iPhoneに関心のない人には多少どうでもよい話ですが、関心のありそうな人向けに、少しばかり iPhone 回顧録を記してみたいと思います。
1)jailbreakについて
iPhoneは特定のキャリア(日本ならSoftbank、アメリカならAT&T)と結びついており、さらに Apple は iPhone のファームウェアに簡単には干渉できないような OS の設定をしています。
しかし、jailbreak し、さらに unlock することによって、Apple が認定していないようなアプリをインストールしたり、また、Apple 指定キャリア以外の SIMカードを利用することができるようになります。
日本で買った iPhone はアメリカで利用することができません(超高額なローミングサービス料を払えば別ですが)。しかし、これではあまりにもったいないと思い、アメリカ到着後に、日本では躊躇していた jailbreak を実行し、AT&T のプリペイド SIM カードで動作するようにしました。
2)jailbreak アプリについて
いったん jailbreak に成功すると、Apple 非公認の各種きわものアプリを利用することができます。画面上にフォルダーを作成したり、iPhone 内部のファイルにアクセスしたり、YouTube動画をダウンロードすることもできます。標準の iPhone ではできないアプリの背景画像やアイコンの変更は、手軽にでき、人気のある分野です(→一例)。また、最近のインストールした ProSwitch というアプリを使えば、複数のアプリを同時に起動し、マルチタスクで画面の切り替えができます(上写真参照)。
こういった芸当は、通常の iPhone OS ではできないので、やはり jailbreakの醍醐味であると言えるでしょう。
ここまで言うと、jailbreakはいいことずくめのように聞こえるかもしれませんが、失敗すると、iPhone であれ iPod Touch であれ、ただの文鎮と化してしまいますので、すべて自己責任で、ということになります。
3)公式アプリについて
jailbreak アプリは、あくまでも非公認の裏世界。王道は、やはり iTunes Store にアップされているアプリ類です。
この一年を振り返って、あらためて思うのは、アプリの質・量ともに飛躍的に向上したこと。iPhone や iPod Touch を使うことの最大のアドバンテージは、良質・大量のアプリにあると言っても過言ではないでしょう。
サーチ関係、ニュース・雑誌閲覧、辞書、各種ユーティリティ類などを、私も多用していますが、パソコンとは異なる独自のインターフェイスで、単に使い勝手がよいだけでなく、遊び心をくすぐるようなアプリがたくさんあります。
学問的に使えるようなアプリも続々と出てきています。ODEなどの本格的英語辞書のほか、日本語聖書のアプリもあります(上写真参照)。授業で聖書を使うときにも、もう重たい聖書を持って行く必要がありません。便利な時代になりました。
4)日米の違いについて
アメリカに来てから、アメリカの iTunes Store をよく見るようになりました。実際に、たくさんのアプリもダウンロードして使っていますが、日米の間で人気アプリにけっこう違いがあるようです。アメリカで人気のあるアプリでも、日本語化されていないという理由だけで、日本では非常にからい評価がつけられている場合が多々ありますが、これはもったいない話です。
残念ながら、アメリカの iTunes Store のアプリを日本のクレジット・カードでは購入することができませんが、多くは日本の iTunes Storeでもダウンロード可能です。
5)iTunes U について
今年、大きく変化したことの一つは、iTunes U のコンテンツの増大です。当初、Stanfordをはじめ、数えるくらいしかなかったコンテンツと大学数でしたが、今や、高度なアカデミック・コンテンツ(授業や講演)が数え切れないほどあります。YouTubeもエデュケーション部門に力を入れ始めていますが、iTunes U がアカデミック・コンテンツの共通プラットフォームを形成していることは評価してよいと思います。
現在、英語圏に限定されている iTunes Uが、今後、どのようにして非英語圏で展開されていくかのかが、私の関心の一つです。アップル・ジャパン、がんばってください。
次回、二つ目の Gadget of the Year を紹介したいと思います。