天使と悪魔
新学期の慌ただしさの中で、ブログの更新がすっかり滞ってしまいました。
今月15日の映画公開にあわせて、新聞・雑誌・テレビなどで、やたらと宣伝されている「天使と悪魔」ですが、ゴールデンウィーク中に、ずいぶん前に購入しておきながら放置していた文庫本3巻を読むことができました。
映画はまだ見ていませんので、何とも言えませんが、原作と細部が違うらしいので、本をあらかじめ読んでおくと、そのあたりも楽しむことができるかもしれません。
小説の著者は、ダン・ブラウン。博覧強記の人物です。彼は、(新島襄と同じ)Amherst大学の出身ですが、リベラル・アーツ教育の体現者と言ってもよいでしょう。非常に幅広い教養に裏打ちされたストーリー展開が、彼の作品の魅力になっています。
「ダ・ヴィンチ・コード」が2006年に世界中で話題になりましたが、推理小説としては「天使と悪魔」の方がおもしろいと思いました。「ダ・ヴィンチ・コード」では、聖杯伝説からイエスの生涯にまで立ち返るという壮大な物語が組み込まれていましたが、「天使と悪魔」においても、カトリックという巨大組織とその歴史を舞台とした物語が組み込まれています。
「天使と悪魔」のテーマは、一言で言えば「宗教と科学の対立」となりそうですが、具体的には、巨大宗教勢力のバチカンと、それに敵対的な科学者集団イルミナティの抗争として描かれています。
主人公は、ハーバード大学の宗教象徴学者ロバート・ラングドン教授。ハーバードには宗教象徴学という学問分野は実際には存在しませんが、宗教学と芸術学と神話学を掛け合わせたような設定になっています。
小説は上・中・下の三巻構成で、少々ボリュームはあるように感じられますが、一気に読ませる魅力があります。なかなか、途中でやめることができず、私は三日ほどで読み終えました。
コンクラーベという教皇選出の場面が、小説の中心になっています。カトリックの内部事情を垣間見る、という意味でも、知的刺激を与えてくれます。ただし、あくまでも小説なので、事実とフィクションが入り交じっていることは言うまでもなりません。