命カエシテ
先日のユースキャンプで訪ねた栗生楽泉園の納骨慰霊塔に、昨年3月28日につくられたばかりの碑がありました。
ハンセン病患者の妊婦が強制堕胎させられた出来事を記憶するための碑です。今から70年近く前の出来事が、長い時を経てようやく公に告知されるに至ったことは、その出来事にまつわる悲嘆の深さを感じさせます。
20世紀になってから、さらに戦争の足音が迫り来る中で、世界の各国で優生思想が吹き荒れ、国策にも大きな影響を与えました。日本も例外ではなく、戦時下においては、優良な生命と劣等な生命の分別は当たり前のように行われました。
小さい命、弱い命が切り捨てられていくことは、すべての戦争に通じる普遍的な惨劇であると言えるでしょう。
左の写真は、この碑の裏側に記されている碑文です。
遺伝子工学などの生命科学が発展していくと、今後、新たな装いをした優性思想が出てこないとも限りません。
命の等価性は、理念としては叫ばれても、その実現にはまだ遠く及んでいないことを、私たちは心にとめておくべきでしょう。