博物館めぐり
今日(2月29日)は、博物館をめぐりました。いずれの博物館においても、たくさん写真を撮りましたが、ここでは代表的なものに限定し、残りはいずれ違う形でお見せしたいと思います。
最初に行ったのが、イラン国立博物館。ここは紀元前6000年前からの考古学的資料を集めた、イラン最大の博物館です。
足下に見える壺などを見ると、紀元前5000年、6000年とあります。今から、8000年前のものですよ。皆さん、想像できますか? イランというか、メソポタミア文明が遠大な歴史と遺産を持っていたことに、あらためて驚かされます。
右の石柱が何かおわかりでしょうか。教科書にもよく記載されている、かのハムラビ法典です。
ついにルーブルから戻ってきたのか、と感嘆しつつ、説明を読むと、フランス政府から送られてハムラビ法典のレプリカとのことでした。
フランス政府が気が利くというか、ずるいというか、いずれにしても、本物はルーブルに置かれています。もう20年ほど前になりますが、私もルーブルでハムラビ法典を見た記憶があります。
ペルシア遺産の一級品は、フランス、ドイツにごそっと持って行かれています。ベルリンにあるペルガモン博物館では、神殿が丸ごと展示されたりしています。これらの国が、そういった歴史的遺産を元の国に返すことは、やはりあり得ないでしょうね。
さて、おもしろいものを一つ。左の写真の説明文には"Salt Man" (塩人間)と記されています。関心のある人は拡大して読んでみてください。
先日、ゴム市に行く途中に近くを通ったのですが、この展示は、塩の湖で発見された塩漬けの人間です。1400年ほど前の人物だそうです。写真に見えるのは、その人物が身につけていたものですが、その隣には、その人自身が展示されています。あまりにも生々しくて撮影をためらってしまいました。髪の毛はふさふさ、指の爪もしっかりと残っています。塩漬けにすると、人間も長持ちすることがよくわかります。
しかし、たまたま塩の湖でおぼれ死んでしまったがために、1400年たって大衆の視線にさらされ続けるとは「塩人間」さんに同情を禁じ得ません。
ツタンカーメン王などもそうですが、長い歴史を経てこの世に存在し続けると人権も何も認められないということですね。こういうのを見ると、土に戻るのが大事だとつづくづ思います。
さて次に訪ねたのが、アーブギーネ博物館。ガラスと陶器の博物館です。息をのむような美しいガラスの器がたくさんありました。
右の写真は、鳥の形をした壺です。
あとで撮影した写真を見ると、鳥や猫や犬や、動物の形をした器を好んで撮していることに気づきました。美しすぎる高級品より、こうした愛嬌のあるものの方に関心を引かれているようです。
最後に、絨毯博物館を訪れました。ここは文字通り、ペルシア絨毯を展示しています。ただし、かなりすごいものばかり。さすがに、土産物屋で売っている絨毯とは格が違います。
左の絨毯はよく見るとおもしろいです。たくさんの種類の動物が描かれています。これは20世紀初頭に作られた絨毯ですが、この頃の絨毯は非常に自由なデザインが採用されています。
イスラム革命以降は、絨毯のデザインもかなり変わってきたようです。イスラムでは、人間や動物など具象的なものを描くことは偶像崇拝として戒められるからです。したがって、イスラム的な観点からは抽象度の高いデザインが推奨されることになります。
しかし、個人的には、この絨毯のように人間も動物も同じ絵の中で生き生きと描くモチーフに関心を寄せられます。そういったことをザルヴァーニ先生に言うと、20世紀初頭までは、イランでも動物をはじめ自然と人間の関係が近かった、それがどんどん変質してしまったと嘆いておられました。
今回の博物館めぐりは、すべてザルヴァーニ先生が連れて行ってくださいました。自分で行けるから、いいよ、と断ったのですが、ザルヴァーニ先生はいうことを聞いてくれません。
私が京都でザルヴァーニ先生にしてあげたことは、本当にささやかなことに過ぎなかったのですが、何十倍にもして返してもらっている感じです。人間関係を大事にする人情深いイラン人のメンタリティを感じさせられています。
最初に行ったのが、イラン国立博物館。ここは紀元前6000年前からの考古学的資料を集めた、イラン最大の博物館です。
足下に見える壺などを見ると、紀元前5000年、6000年とあります。今から、8000年前のものですよ。皆さん、想像できますか? イランというか、メソポタミア文明が遠大な歴史と遺産を持っていたことに、あらためて驚かされます。
右の石柱が何かおわかりでしょうか。教科書にもよく記載されている、かのハムラビ法典です。
ついにルーブルから戻ってきたのか、と感嘆しつつ、説明を読むと、フランス政府から送られてハムラビ法典のレプリカとのことでした。
フランス政府が気が利くというか、ずるいというか、いずれにしても、本物はルーブルに置かれています。もう20年ほど前になりますが、私もルーブルでハムラビ法典を見た記憶があります。
ペルシア遺産の一級品は、フランス、ドイツにごそっと持って行かれています。ベルリンにあるペルガモン博物館では、神殿が丸ごと展示されたりしています。これらの国が、そういった歴史的遺産を元の国に返すことは、やはりあり得ないでしょうね。
さて、おもしろいものを一つ。左の写真の説明文には"Salt Man" (塩人間)と記されています。関心のある人は拡大して読んでみてください。
先日、ゴム市に行く途中に近くを通ったのですが、この展示は、塩の湖で発見された塩漬けの人間です。1400年ほど前の人物だそうです。写真に見えるのは、その人物が身につけていたものですが、その隣には、その人自身が展示されています。あまりにも生々しくて撮影をためらってしまいました。髪の毛はふさふさ、指の爪もしっかりと残っています。塩漬けにすると、人間も長持ちすることがよくわかります。
しかし、たまたま塩の湖でおぼれ死んでしまったがために、1400年たって大衆の視線にさらされ続けるとは「塩人間」さんに同情を禁じ得ません。
ツタンカーメン王などもそうですが、長い歴史を経てこの世に存在し続けると人権も何も認められないということですね。こういうのを見ると、土に戻るのが大事だとつづくづ思います。
さて次に訪ねたのが、アーブギーネ博物館。ガラスと陶器の博物館です。息をのむような美しいガラスの器がたくさんありました。
右の写真は、鳥の形をした壺です。
あとで撮影した写真を見ると、鳥や猫や犬や、動物の形をした器を好んで撮していることに気づきました。美しすぎる高級品より、こうした愛嬌のあるものの方に関心を引かれているようです。
最後に、絨毯博物館を訪れました。ここは文字通り、ペルシア絨毯を展示しています。ただし、かなりすごいものばかり。さすがに、土産物屋で売っている絨毯とは格が違います。
左の絨毯はよく見るとおもしろいです。たくさんの種類の動物が描かれています。これは20世紀初頭に作られた絨毯ですが、この頃の絨毯は非常に自由なデザインが採用されています。
イスラム革命以降は、絨毯のデザインもかなり変わってきたようです。イスラムでは、人間や動物など具象的なものを描くことは偶像崇拝として戒められるからです。したがって、イスラム的な観点からは抽象度の高いデザインが推奨されることになります。
しかし、個人的には、この絨毯のように人間も動物も同じ絵の中で生き生きと描くモチーフに関心を寄せられます。そういったことをザルヴァーニ先生に言うと、20世紀初頭までは、イランでも動物をはじめ自然と人間の関係が近かった、それがどんどん変質してしまったと嘆いておられました。
今回の博物館めぐりは、すべてザルヴァーニ先生が連れて行ってくださいました。自分で行けるから、いいよ、と断ったのですが、ザルヴァーニ先生はいうことを聞いてくれません。
私が京都でザルヴァーニ先生にしてあげたことは、本当にささやかなことに過ぎなかったのですが、何十倍にもして返してもらっている感じです。人間関係を大事にする人情深いイラン人のメンタリティを感じさせられています。