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「宗教と科学」に見る近代化の諸相

 最近、金城学院大学キリスト教文化研究所編『宗教・科学・いのち――新しい対話の道を求めて』(新教出版社)が出版されました。
 私も一文を寄稿しています。タイトルは「「宗教と科学」に見る近代化の諸相―進化論を中心にして」です。導入部分を読むことができます。出版されたばかりなので、続きを読みたい方は本を購入するか、図書館で借りて読んでいただきたいと思います。
 本の全体テーマの一つは「宗教と科学」なのですが、その問題設定が前提としているフレームワークを批判的に問うことを、拙稿の中では試みました。以下、そのポイントなる文章を引用しておきます。

宗教と科学の相補的な関係を問うことは、知的好奇心を鼓舞する魅力的なテーマである。しかし、その組み合わせが繰り返し語られる前提には、科学分野における西欧キリスト教世界の圧倒的な勝利宣言があるということを認識すべきであろう。この自己省察を欠いたまま、宗教と科学の関係を問うことは、結果的に、キリスト教こそ、他のすべての宗教に先立ち、またそれらを代表して、近代科学と対になり得る唯一の宗教であるという優越感と、他の宗教や文化に対する差別感情を増長させることになりかねない。
 この課題をより自覚的に受けとめていくために、本稿では宗教と科学の関係を批判的に問う事例として進化論を取り上げることにする。

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