KOHARA BLOG

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夕凪の街 桜の国

041210 『ダ・ヴィンチ・コード』に続いて、もう一冊おすすめの本を紹介します。本というよりマンガです。しかし、これは、かなり考えさせられるマンガでした。こうの史代『夕凪の街 桜の国』です。
 ヒロシマを描いているのですが、原爆を直接に描いているわけではありません。しかし、柔らかなタッチで描写されるストーリーの背後に、ヒロシマが語りかけてくるメッセージが明瞭に浮かび上がっています。
 たった100ページほどの短い作品ですが、しんみりと考え込まされました。

 本の帯には、漫画家・みなもと太郎氏による次のような文章がありました。

実にマンガ界この十年の最大の収穫だと思います。これまで読んだ多くの戦争体験(マンガに限らず)で、どうしても掴めず悩んでいたものが、ようやく解きほぐせてきた思いです。その意味でこの作品は、多くの記録文学を凌いでいます。マンガ史にまた一つ、宝石が増えました。こうの史代さん、ありがとう。

 読む前にこの帯の文章を見ると、ずいぶん大げさに感じましたが、読んだ後は、それがあながち誇張ではないと思わされました。

 わたしの祖父は、ヒロシマでの被爆者でしたが、その関係で、わたしもヒロシマ関係の本は、普通の人以上に意識して読んできました。わたしの限られた経験の中においても、この作品は飛び抜けて印象に残るもののひとつだと言えます。
 マンガは好みが別れるので、普通、わたしはマンガを人に勧めることはあまりないのですが、このマンガは、多くの人にお勧めしたい一書です。

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