複合領域科目1-81「良心学」
科目担当者
小原克博(科目代表、神学部教授)
村田晃嗣(学長、法学部教授)
木原活信(社会学部教授)
内藤正典(グローバル・スタディーズ研究科教授)
位田隆一(グローバル・スタディーズ研究科教授)
概 要
本講義は、同志社の建学の理念、とりわけ「良心」を中心とした教育理念の歴史的背景を理解した上で、「良心」が現代世界の中で、どのような応用可能性を持ち、また、それをどのように実践できるのかを学際的に探求していきます。また本講義は、創立150周年を視野に入れた同志社が、良心教育の現代的使命を明確にしていくための「良心学」入門となります。
良心教育が同志社における教育の根幹をなしていることは言うまでもありませんが、新島襄が「良心」をどのような意味で使ったのかについては、十分な理解がなされているとは言えません。一般的には、良心碑に刻まれた「良心の全身に充満したる丈夫の起り来らん事を」や、「同志社大学設立の旨意」に登場する「良心を手腕に運用するの人物」という表現くらいしか知られていません。しかし、新島はかなり初期の頃からconscienceという言葉を使っており、「良心」という言葉によって、具体的に何を考えていたのかを整理する必要があります。
そのような学問的作業を踏まえた上で、新島の理念を現代に生かすとするならば、「良心」は現代世界が抱えている諸課題をどのように照らし出すだろうか、という点にまで、本講義では踏み込んでいきたいと考えています。以上の点をまとめるなら、本講義は次の二つの柱から構成されていると言えます。
(1)同志社教育にとって「良心」とは何か(基礎的・歴史的探求)
(2)「良心」は現代社会にどのように適用可能か(応用的探求)
世界の困難な現実と付き合わせる形で、旧来の「良心」理解を鍛え直す意欲的な講義を展開する予定です。また、この「良心学」の講義が、これから社会に出て行く学生諸君に対し、時代の激流の中にあっても「ぶれない」精神的基軸の一つを提供することを願っています。
到達目標
学生が、同志社の建学の理念、とりわけ、良心を中心とした教育理念の歴史的背景を理解した上で、その良心を現代世界の中で、どのように実践できるのかを考えることができるようにします。授業計画
1(04/07)導 入(全員)
2(04/14)新島襄と良心 ── その生涯をたどる(小原) ☞ 良心学02.pdf
3(04/21)同志社と良心教育 ── 未来を展望するための原点(小原) ☞ 良心学03.pdf
4(04/28)総括・評価(1)(小原) ☞ 良心学04.pdf
5(05/12)グローバル化の中の同志社と良心(村田) ☞ 良心学05.pdf
6(05/19)国際政治における良心(村田)
7(05/26)総括・評価(2)(村田)
8(06/02)社会福祉における「良心」①──Jane Addamsの福祉思想(木原) ☞ 良心学08.pdf
9(06/09)社会福祉における「良心」②──同志社社会福祉の群像:山室、留岡、石井(木原) ☞ 良心学09.pdf
10(06/16)総括・評価(3)(木原) ☞ 良心学10.pdf
11(06/23)向こう岸から良心を考える──イスラーム世界の良心、西欧世界の良心(内藤) ☞ 良心学11.pdf
12(06/30)総括・評価(4)(内藤)
13(07/07)科学技術の良心──国際生命倫理から見た人間の価値と良心(位田) ☞ 良心学13.pdf
14(07/14)総括・評価(5)(位田) ☞ 良心学14.pdf
15(07/21)総合討議(全員)
成績評価基準
・平常点(出席) 25%
10分以上の遅刻は出席としませんのでご注意ください。交通遅延等,不可避の事情があった場合には証明書を出していた だければ考慮いたします。
・中間評価 75%(各回15%×5回=75%)
中間評価では, 各回の講義内容を理解しているかどうかを確かめるための基本的な問題を出します。
参考文献
同志社編『新島襄の手紙』岩波書店、2005年。
同志社編『新島襄 教育宗教論集』岩波書店、2010年。
同志社編『新島襄自伝-手記・紀行文・日記-』岩波書店、2013年。