小原克博『ビジネス教養として知っておきたい 世界を読み解く「宗教」入門』日本実業出版社、2018年
第1章 今こそ必要とされる「宗教」の知識──グローバル時代を生き抜くために
第2章 現代の宗教地図──今、世界で何が起こっているのか
第3章 一神教を理解する──グローバル・アクターとしての宗教とビジネス
第4章 日本宗教のユニークさ──宝は足元にある!?
第5章 ビジネスの課題と宗教の役割──これからの時代をどう生きるか
はじめに
『ビジネス教養として知っておきたい 世界を読み解く「宗教」入門』というタイトルを見て、何を想像したでしょうか。
そもそも、この世の実際的なこと、特に利益を上げることを目的とするビジネスと、一見、浮世離れした「宗教」と、どのような関係があるのかと、いぶかしく思われた方もおられるに違いありません。しかし、反対方向を向いているかのように見える二つのもの、ビジネスと宗教は、かなり、おもしろい組み合わせだということを、本書では述べていくつもりです。
この世には無数のビジネス書が出回っています。それらの多くは、いかに仕事を効率的にこなしていくか、あるいは、成功するビジネスの秘訣は何かを語っています。似たようなものをたくさん読む中で、考えさせられ、身につくことも、きっとあるに違いありません。しかし、本書は、むしろ、ビジネスという営みそのものを外部の視点から対象化し、そこに異質なものの見方を持ち込むことを目指しています。
毎日のように繰り返している「日常」に百パーセント満足している人には、本書は不要かもしれません。しかし、「日常」のしんどさに向き合い、あるいは、慣れきった「日常」を再活性化したいと願っている人には、「非日常」の視点が時として役立ちます。本書は、宗教という素材を駆使して、その視点を提供したいと考えています。
もちろん、「ビジネス教養として知っておきたい」というタイトルを掲げている以上、「ビジネスの役に立つ知識」も十分に意識しています。第一章から、早速、なぜビジネスパーソンにとって、宗教の知識が必要なのかを語っていきますが、実は、本書は現役のビジネスパーソンのためだけの本ではありません。
本書が想定する第一の読者は確かにビジネスパーソンですが、将来のビジネスパーソンである学生にも、ぜひ読んで欲しいと願っています。また、職業の種類・有無にかかわらず、人生を新しい角度から見直してみたいという人にも、本書は考えるヒントを多数提供できるはずです。
近年、多くの企業が研修の一環としてリベラルアーツ型の学びを取り入れるようになってきました。リベラルアーツの重要性については第三章で述べますが、一般に「教養教育」と訳されることの多いリベラルアーツは、その訳語に到底収まりきらない歴史的なダイナミズムを持っています。それぞれの企業が、自分たちの専門領域を極めるだけでなく、持続可能な成長のために、より広い知識と「気づき」を求めようとしていることは、時代の要請に適っています。本書が、そうした新しい取り組みの一助としても用いられることを願っています。
■『世界を読み解く「宗教」入門』に関するインタビュー記事
ブックバン(前編)
https://www.bookbang.jp/review/article/560288
ブックバン(後編)
https://www.bookbang.jp/review/article/560293
Yahoo! ニュース(前編)
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20181106-00560288-bookbang-soci
Yahoo! ニュース(後編)
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20181106-00560293-bookbang-soci
【書評】
◎『週刊ダイヤモンド』2018年11月17日号
◎『京都新聞』2018年11月18日、朝刊
◎『中外日報』2018年11月23日