科学研究費補助金(若手研究(B))「宗教多元社会における正戦論の考察――比較宗教倫理学の視点から」(2002-2003年度)
研究の目的
第一に、「正義」概念をセム的一神教の中で比較宗教学的に考察する。そして、それがそれぞれの宗教の中でいかに「正戦」(just war)や「聖戦」(holy war)と結びついていったのかを歴史的に考察する。第二に、20世紀に起こった様々な戦争がどのように正当化されてきたのか、特に宗教思想との関係に注目する。第三に、非キリスト教圏において正戦論がどのように論じられてきたかを、文献上で、また取材を通じて考察する。特にイスラム圏における実情は、まだ十分に知られていないので、重点的に資料収集する。また、日本においても戦時下においては正戦論に相当するものが存在していた。西欧的近代と対峙しながら、日本的な正戦論がどのような表現形式を獲得していたのかを考察し、正戦論の文化的類型を見いだしていく。