世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1164信(2013.05.13)

  • 米『国際宗教の自由委』が日本の「拉致と強制改宗」に言及
  • キリル総主教訪中、習近平国家主席と会見
  • キリル総主教が教皇フランシスコに関係強化期待
  • 教皇フランシスコがコプト正教会教皇と会見
  • 教皇がミサで長崎の殉教者に言及
  • 教皇がリオデジャネイロを7月訪問
  • オブライエン枢機卿に現地での生活認めず
  • アルバニアのキリスト者が激減?
  • ビリー・グラハム氏が今秋テレビ伝道展開
  • ボーイスカウトの同性愛禁止撤廃を米市民支持
  • 《短信》
  • 《メディア展望》

◎米『国際宗教の自由委』が日本の「拉致と強制改宗」に言及

 【CJC=東京】米国の独立組織『国際宗教の自由委員会』は、2013年の年次報告書で初めて「日本における拉致と強制改宗」という項目を設けた。
 日本は、一般的に信教の自由が保護されているものの、過去数十年にわたり、統一教会、エホバの証人や他の新宗教運動に属している数千人が、自身選択した信仰を放棄することを強制しようとする家族によって拉致された、としている。拉致された人たちは、家族と「職業的脱会屋」双方により精神的な嫌がらせや身体的な虐待を受けたという。
 さらに、強制改宗の実態を明らかにしようとする宗教的権利団体や人権保護団体が、このような拉致件数が継続的に減少し、将来には警察と司法当局が、統一教会や他の新宗教運動の信徒に対し拉致や虐待を行う家族や「職業的脱会屋」を刑事告発するよう期待している、という。
 同委員会は、大統領、連邦議会、国務省に報告書を提出、政策発動を勧告する。


◎キリル総主教訪中、習近平国家主席と会見

 【CJC=東京】ロシア正教会の最高指導者モスクワと全ロシアのキリル総主教が5月10日、初めて中国を訪問、北京の人民大会堂で習近平国家主席と会見した。
 ロシアのRIAノボスチ通信は、習主席がキリル正主教を「中国を初めて訪問したロシア最高の宗教指導者」とし、訪中をハイレベルで質的にも最高な中ソ関係を明確に示すものと語った、と報じている。総主教は、「近年に出現したロシアと中国の特別な関係の徴」と応じた。
 今回の訪問は、ロシア正教会を認め、教会がロシア社会で果たす役割を評価しようとする中国共産党政権の意図の表れと見る向きもある。
「長い間、中国は正教会がロシア政界に大きな影響を与えている事実を無視してきた。今回の会談で、ロシアや他の正教会が優勢な諸国との関係発展のために宗教の役割を模索することを中国が出来るようになろう」と言う。
 北京空港では、今回訪中を招待した国務院宗教局の関係者が出迎えた。総主教は、中国公認の仏教、天主教(カトリック)、イスラム教、道教、プロテスタントの代表とも会談、その後、ロシアの影響の強いハルビンを訪問、上海で6日間の日程を終える。
 今回の総主教訪問で、中国の正教会が完全に認知されるまでにはなお至らないが、双方の宗教、文化交流がさらに活発になるものとの見方も出ている。


◎キリル総主教が教皇フランシスコに関係強化期待

 【CJC=東京】「ロシア正教会は、カトリック教会との対話に窓を開いており、教皇フランシスコの下でもさらに発展することを期待している」とロシア正教会の最高指導者モスクワと全ロシアのキリル総主教が、テレビ・インタビューで語った。インターファクス通信が5月6日報じた。
 「社会的に重要な問題に対する評価に関してわたしたちの混乱はもう終わらせるべきだ」と言う。
 対話は教皇べネディクト16世の時に始められたとキリル総主教は語り、社会問題に向き合い社会的不公正に敏感な現職の教皇のもとで、、これまでの流れは「発展、改善されよう」と期待を表明した。


◎教皇フランシスコがコプト正教会教皇と会見

 【CJC=東京】コプト正教会のアレクサンドリア教皇および聖マルコ大主教区総主教タワドロス2世がバチカンを訪問、教皇フランシスコと5月10日会見した。
 ローマ教皇とコプト正教会教皇の会見は、1973年5月10日のパウロ6世とシェヌーダ3世の会見以来40年ぶり。当時からカトリック教会とコプト正教会の神学対話が始まり、88年にはキリスト論をめぐる共同宣言が行なわれた。
 教皇フランシスコは、タワドロス2世を歓迎、出会いの恵みに大きな喜びを表明し、両教会が祈りと対話、相互の愛のうちに絆を構築することが、完全な一致への歩みを促すことになると述べた。
 タワドロス2世は、この会見が両教会の長く継続する愛と友情の出会いの一歩となることを願い、5月10日をカトリック教会とコプト正教会の愛と友情の記念日とすることを提案した。
 会見後、教皇フランシスコとタワドロス2世は、バチカン宮殿のレデンプトリス・マーテル礼拝堂で、「主の祈り」と平和を願う祈りを共に唱えた。
 タワドロス2世は、昨年11月にシェヌーダ3世の後継者としてアレクサンドリア教皇に選出されて以来、初のエジプト国外訪問。


◎教皇がミサで長崎の殉教者に言及

 【CJC=東京】教皇フランシスコは5月7日、サンタ・マルタ宿舎内の礼拝堂でのミサで、キリスト者の忍耐と喜びをテーマに説教したが、その中で長崎の殉教者らについて言及した。
 バチカン放送(日本語電子版)によると、教皇は、苦難の中でもキリスト者は決して嘆いたりせず、むしろ喜びにあふれていると強調した。
 教皇は、殉教者たちが苦難の中でもキリスト教的喜びに満ちていたことを指摘する中で、特に長崎の殉教者たちを模範として挙げた。
 教皇は、長崎の殉教者たちは死を待つ間も互いに助け合い、ある者たちは、殉教に行くにもかかわらず、婚姻の祝いに向かうかのようであったと話し、この忍耐の態度は自虐的なものではなく、キリスト者としてあるべき態度、「イエスの道」に導かれるための態度であると説教した。


◎教皇がリオデジャネイロを7月訪問

 【CJC=東京】教皇フランシスコ7月22日から29日までブラジルのリオデジャネイロを司牧訪問する。同地で開催される第28回世界青年の日大会(WYD)への参加を目的としたもの。教皇フランシスコとしては最初の海外司牧訪問。
 バチカン放送(日本語電子版)が報じる公式日程では、教皇は7月22日(月)朝ローマを出発し、リオデジャネイロに現地時間の同日夕方、到着予定。
 28日(日)午前、教皇はグアラティバで第28回世界青年の日のための記念ミサを行い、夕方、リオデジャネイロ空港での送別式を経て、ローマへ向け出発、29日(月)正午頃、バチカンに戻る予定。


◎オブライエン枢機卿に現地での生活認めず

 【CJC=東京】スコットランド・カトリック教会のキース・オブライエン枢機卿は、神学生との不適切な関係を問題にされ、この2月に聖務を離れ、エジンバラ近郊で引退生活を送ることにしていた。ただバチカン(ローマ教皇庁)が、スコットランドから離れるように指示したことが明らかになった。
 『ヘラルド・オブ・スコットランド』紙によると、同枢機卿の辞任に伴い使徒座管理者に任命されてフィリップ・タルタグリア大司教が、バチカンに介入を要請し、指示が出された。


◎アルバニアのキリスト者が激減?

 【CJC=東京】アルバニア統計研究所が発表した2011年国勢調査で同国正教会信徒は総人口の6・75%。ただキリスト者全体では前回の31%から17%に激減している。
 この結果に、アルバニア正教会が質問状を公表した。ティラナ、デュレスなどで行われた典礼参加者に配布された質問状は、調査方法と最終結果算出に重大な問題がある可能性を示唆している。


◎ビリー・グラハム氏が今秋テレビ伝道展開

 【CJC=東京】米国の著名な大衆伝道者ビリー・グラハム氏が今秋、「私の希望」キャンペーンを開始することが明らかになった。
 『ビリー・グラハム伝道協会』(BGEA)が、「ビデオ・プログラムのインパクトを個人的関係の力と結び付ける」ビデオ伝道コース「わたしの希望アメリカ、ビリー・グラハムと共に」を展開する。
 ただグラハム氏は、すでに一連のメッセージを収録しているという。BGEAは、高齢のグラハム氏にとって最後の正式イベントとする計画。


◎ボーイスカウトの同性愛禁止撤廃を米市民支持

 【CJC=東京】『ワシントン・ポスト=ABCニュース』調査によると、『米ボーイスカウト』の同性愛者の加盟禁止撤廃提案を、米市民の63%は支持していることが明らかになった。さらに同性愛者の成人がスカウト指導者として活動することは引き続き禁止とするとの計画にも反対が多い。
 ただスカウトの7割はキリスト教など宗教団体が設立しているだけに、全国協議会での投票結果が注目されている。


《短信》

◎バスケット・ボールのデニス・ロッドマンが、北朝鮮の金正恩第1書記に、韓国系米国人ケネス・ペ・ジュンホ氏の釈放訴え。
◎シリアとレバノンの正教会は復活祭の行事を延期、誘拐された主教2人の安全釈放へ祈り集中。
◎ハンブルグで5月1日から10日まで「キルヘンターク」。テーマ「あなたの欲しいだけ」。
◎仏合同プロテスタント教会は第1回総会を5月8日から12日までリヨンで開催した。同教会は昨年、仏改革教会と仏福音ルーテル教会が合同して発足した。
◎「トリノの聖骸布」はやはり2000年前のもの、と伊パドゥバ大学ジウリオ・ファンティ教授が新説。
◎バチカン諸宗教対話評議会が、ローマで仏教徒と対話。
◎タンザニア北部のオラシティでカトリック教会奉献の際に爆弾が破裂、1人が死亡、10人以上が負傷した。
◎聖職者の性的虐待で米カトリック教会は2004年以来の負担額26億ドル(約2600億円)超す。
◎デヴィッド・ボウイがイエス役のビデオ「ザ・ネクスト・デイ」がユーチューブ上に公開されたが、過激な内容から一時削除、18歳以上に限定して再公開。
◎コロンビアでカトリック司祭殺害。今年4人め。2009年以来19人目。
◎グアテマラに銀山開発による水質汚染に抗議する住民に当局が憲法上の権利否定。カトリック司教が抗議。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(5月12日)=https://www.cwjpn.com
★貧しい人への奉仕で最後の審判に備える=教皇フランシスコ、一般謁見で
★宮城県内の支援活動評価=カリタスジャパンに感謝状
★ベナンに診療所=日本で学ぶオボス神父
★仮設住宅でみそ作り="つながり"が支える活動=宮城・塩釜教会
★「教会内いじめ被害者の会」=信徒の有志らが発足=東京

 =キリスト新聞(5月11日・休刊)=https://www.kirishin.com

 =クリスチャン新聞(5月12日)=https://jpnews.org
★新連載=フクシマの声を聴く=お母さんを悩ます不安、分断、麻痺
★日本ホーリネス教団第50回総会=「教師倫理綱領」を可決=不祥事防止へ互いに支え、正す
★トイレで女性盗撮し逮捕=牧師を解任=JECA・高松聖書教会
★被災印刷工場から全国発信=気仙沼市民ら震災復興絵本プロジェクト=記憶風化に危機感「若い世代に伝えたい」
★「主権回復」記念式典は沖縄・在日に屈辱=同盟基督「教会と国家」委が中止要請


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