世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1126信(2012.08.20)

  • 「繁栄の福音」に魅せられるアフリカのキリスト者
  • 反プーチンバンドにモスクワの裁判所が禁錮2年判決
  • 米国務省がロシア女性バンド有罪に「懸念」
  • ロシア正教会は女性バンドを「許している」
  • ロシアとポーランド教会首脳が和解声明に調印
  • エチオピア正教会総主教逝去、教皇「対話推進に感謝」
  • 「カトリック」ドメインにサウジが反対
  • プレスリー愛用の聖書を英で競売
  • トルコで史跡教会堂をモスクに転換計画
  • 《短信》
  • 《メディア展望》
◎「繁栄の福音」に魅せられるアフリカのキリスト者

 【ラゴス(ナイジェリア)=ENI・CJC】「繁栄の福音」というものが、アフリカで成長しつつある。
 セグン・イロリ氏は2005年、米国永住権を抽選で取得した時は、ラゴスで『フォースクエア・ゴスペル教会』の清掃にほとんどの時間を使っていた。今では2010年産のトヨタ・カムリを運転し、自動車6台を故郷に送るなど、米国での快適な生活を楽しめるようになった。その幸運を神の恩寵だ、としている。
 一方、テディウス・マクワリ氏は、ジンバブエの『合同家族国際教会』に出席している時に、健康と富につながる信仰の約束を聞いた。しかし苦労して稼いだ金を献金の名目で失ったこと以外に、教会に通う利益は決してなかった、と言う。
 多くの教会が、物質的と霊的の双方に信仰の利益があると強調することで成長している中で、イロリ氏とマクワリ氏の例は、霊的リバイバルと幻滅の両面を浮き彫りにする「宗教運動」の異なった側面を表している。
 教会など宗教団体は、世界中で、信仰が物質的快適を大きくもたらす、という課題に直面している。アフリカだけでなく、どこでも人々が教会に行く理由は様々だが、神の加護による経済的向上もその一つだ。
 住民の大部分が1日1米ドル(約80円)で生活するナイジェリアでは、宗教の現実的な利益を推進する教会は満員だ。
 ジンバブエでは、預言者エンマヌエル・マカンディワとかトレバー・マンハンガ監督といった牧師は、贖罪と、霊的なまた物質的富の双方を求める人たちには良く知られている。
 マカンディワ氏の『合同家庭国際教会』は、現地チニョイで使われているショナ語で、普通の人の日常生活に関わる問題に触れることで、多くの人の心をつかんできた。
 「2010年に合同家庭国際教会に加入した際、悪霊に悩まされていたが、預言者マカンディワが、わたしと同様の悩みを抱えている人のために説教し、祈った時にすぐに決断し、それで救われた」と語るのはグレイス・ウラヤイさん。同教会の人たちと一緒に祈ることで、自分にも家族にも大きな進展があったと言う。
 一方、マクワリ氏は、かつては同じ教会に属していたが、語ることは違っている。
 「この教会に通っていたが、苦労して稼いだカネを献金として払い、それも強制されたこともあり、それ以外に役に立ったことは何もなかった」と言う。
 ナイジェリアの『救世主キリストの神の教会』のトニー・エグベ牧師は、教会が全ての問題を解決する場所ではなく、「そこに行き、キリストを見出し、キリストが平和をもたらす場所」だと語る。
 教会はこのような求めにどう応えるのか。ラゴスの『ターニング・ポイント教会』を主宰するエグベ牧師は、失職し悩んでいる人の例を挙げた。「教会が為すことは、『もしもあなたが神を信じ、その子イエス・キリストを知って彼を受け入れれば、問題はキリストに委ねられる」と保証することだ。神は、時が満ちれば、あなたの問いに応えて何事かをなされる、と言う。
 「時が満ちるまで、教会の役割は、一人一人に平和を与え、仕事については、神の約束が果たされる前に、もっと意義のあることに関心を向け指すことだ」とエグベ氏。
 米国に移住して以来の成功についてセグン氏は、恵みは信仰と結び付いている、として、「教会と人々に仕えてきた全てを神が償われてくださったと、心から感じている。自分のキャリアと学問に集中している間にも、時間など全てを主に献げる」と、テキサス州ヒューストンからスカイプ電話インタビューで語った。そして自分のキリスト教信仰がこれまでになく強まり、教会での働きも続けている、と付け加えた。
 セグン氏は、現在礼拝を守っているヒューストンの『レディームド・クリスチャン教会』で園芸係長を務め、プレヤー・バンドのメンバーでもある。


◎反プーチンバンドにモスクワの裁判所が禁錮2年判決

 【CJC=東京】モスクワのハモヴニキ地区裁判所マリーナ・シロワ裁判長は8月17日、パンクグループ『プッシー・ライオット』のメンバー3人に、禁固2年の自由剥奪刑を言い渡した。これは正教会の総本山とも言える、モスクワの『ハリストス救世主教会』で3人が行ったパフォーマンスをフーリガン行為であり有罪と認めたもの。被告マリーナ・アリョーヒナ、ナジェージダ・トロコンニコワ、エカチェリーナ・サムツェヴィッチの3人は『一般コロニー』で服役することになる。ただ弁護側は控訴する方針。
 3人は2月末、大聖堂で「聖母様、プーチンを追い出して」などと歌い、当時、大統領への復帰を目指していたウラジミール・プーチン氏を批判した。覆面をした3人は祭壇近くで、来会者に対して、その場に似つかわしくない踊りを行い、反プーチン的スローガンを叫んだ。警察はフーリガン行為の刑事事件として立件、検察は「教会に対する冒涜」と主張し、フーリガン(乱暴)行為の罪で禁錮3年を求刑した。
 3人は、パフォーマンスを「プーチン大統領とロシア正教会の密接な関係を批判するため」と説明。正教会信者に謝罪したが、「刑事犯罪にはあたらない」と主張していた。
 判決は「宗教への敵意による乱暴な行為で、社会秩序を乱した」と有罪理由を明らかにしている。反政権パフォーマンスは罰金で済む場合が多いロシアでは異例の厳しさ。
 国内のリベラル派は「政治的な弾圧だ」と反発し、同日に裁判所付近で抗議集会を開催した。その際、野党指導者など約30人が拘束された。


◎米国務省がロシア女性バンド有罪に「懸念」

 【CJC=東京】米国務省は8月17日、ロシアの女性バンド『プッシー・ライオット』のメンバー3人が、ウラジミール・プーチン大統領を批判するパフォーマンスで社会的秩序を乱したとして有罪判決を受けたことに「懸念」を示す声明を発表した。
 声明は、罪に問われた行為に比べ裁判所が下した禁固2年の判決内容も「不均衡だ」と指摘している。国務省は、ロシアにおける「表現の自由」の権利を後退させる恐れがあるとの認識を示した上で、ロシア当局に対し事件の扱いを再検討するよう求めた。
 欧州連合(EU)のキャサリン・アシュトン外務・安全保障政策上級代表(外相)も「深く失望している」とのコメントを発表した。


◎ロシア正教会は女性バンドを「許している」

 【CJC=東京】ロシア正教会の幹部2人が8月18日、モスクワの教会でウラジミール・プーチン大統領を批判する演奏を行い、乱暴行為の罪で実刑判決を受けたロシアの女性バンド『プッシー・ライオット』のメンバーを許していると述べた。
 モスクワのスレテンスキー修道院のトップで、プーチン大統領の宗教上の相談相手とされているティホン・シュフクノフ司祭は国営テレビに出演し、ロシア正教会はバンドが演奏を行った直後にこのバンドのメンバーを許したと述べた。
 AP通信によると、シュフクノフ司祭は「教会は彼らを許していないと非難されることがあった。われわれは実際には当初から許していた。しかし、こうした行為は社会や権力者によって止められるべきものである」と述べた。
 マキシム・コズロフ主席司祭も国営テレビに登場、同意したが、教会はバンドのメンバーとその支持者が行動を改めることを望むとも述べている。


◎ロシアとポーランド教会首脳が和解声明に調印

 【CJC=東京】ロシア正教会とポーランド・カトリック教会の指導者が両国市民間の和解を呼び掛ける共同声明に8月17日調印した。
 ロシア正教会モスクワ総主教座のキリル総主教は16日、ポーランドを4日間の日程で初めて訪問した。調印はワルシャワの王宮で行われた。
 キリル総主教とポーランド司教協議会ヨーゼフ・ウィチャリク会長(プルゼミスル大司教)は信仰者に向けて「双方が関わってきた過ち、不正、全ての悪について赦しを求める」よう呼び掛けた。
 声明は、キリル総主教のポーランド訪問を機会に署名されたもの。両国とカトリック・正教会信徒の間の何世代にもわたる敵意に終止符を打つことを目的にしている。
 今回の共同声明で、1965年のポーランド司教によるドイツ・カトリック教会指導者宛の書簡を想起する向きもある。書簡は第二次大戦の際に行われた最も苦痛に満ちた両国間の過ちを自ら赦し、また赦しを求めるものだった。


◎エチオピア正教会総主教逝去、教皇「対話推進に感謝」

 【CJC=東京】エチオピア正教会の指導者アブネ・パウロス総主教(カトリコス)が8月16日死去したことに、教皇ベネディクト16世は弔電を送り、深い哀悼の意を述べた。
 教皇は、パウロス総主教のバチカン訪問の中でも、特に2009年10月開催の『第2回アフリカのための特別シノドス』で、総主教がオブザーバーとして参加したことを想起、エチオピア正教会とカトリック教会の対話を総主教が積極的に推進したことにも感謝を述べ、総主教の冥福を祈った。


◎「カトリック」ドメインにサウジが反対

 【CJC=東京】インターネットを利用するには住所氏名に当たる「ドメイン」が必要。その最後をローマ字で「カトリック」することを、バチカン(ローマ教皇庁)が管理団体ICANNに申請した。これに反発したのがサウジアラビア。
 イスラム教国家の同国情報技術委員会は、「カトリック」という言葉をバチカンが独占するのは認められない、と言う。正教会や東方正統教会なども「カトリック」という用語を使っている、ことを反対理由に上げた。
 同委員会は、さまざまなドメイン名申請に際し、これまで150件以上に反対を通知している。


◎プレスリー愛用の聖書を英で競売

 【CJC=東京】英オークション運営会社『オメガ・オークションズ』が8月15日、「ロックの王様」と呼ばれた米国の歌手エルビス・プレスリーが死去するまで愛用していた聖書を9月8日に競売にかける、と発表した。死後35年を記念し、ステージ衣装やアクセサリーなども出品される。聖書は英国の収集家が所有しているという。
 多数の書き込みや下線があり、プレスリーの内面を知る資料として、オメガ社は2万ポンド(約250万円)以上の値が付くと予想している。競売にはインターネット経由での参加も可能。
 プレスリーは1977年8月16日、42歳で急死した。


◎トルコで史跡教会堂をモスクに転換計画

 【CJC=東京】トルコ政府が東北部トラブゾンの史跡教会堂をイスラム教のモスクに転換する計画を打ち出した。ビュレント・アルンチ副首相が、トラブゾンの史跡教会『アギア・ソフィア』が提案した。
 コンスタンチノープルのエキュメニカル総主教バルトロメオス1世が、提案に反対、会堂はキリスト教がそこに存在したことを示す建築的証拠であったが、イスラム教勢力の勝利によって損なわれたのだ、と言う。
 トラブゾンのイスラム教指導者は、同市に新たにモスクの必要はない、と語っている。


◆短信◆(CJC)

▽『風と共に去りぬ』の権利がカトリック教会に=米カトリック教会アトランタ大司教区は8月16日、国際的なベストセラー「風と共に去りぬ」の商標権や出版権、著者マーガレット・ミッチェルの遺品などの一部を、著者の甥ジョセフ・ミッチェル氏から遺贈されたと発表した。総額で数百万ドルに上ると見られている。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(8月19日)=https://www.cwjpn.com
★平和を祈る 広島=3・11とのつながり心に 長崎=強い意志を持って
★震災、原発に宗教者は=比叡山宗教サミット25周年記念=「世界宗教者平和の祈りの集い」=比叡山
★福島から神戸へ=夏休み、地元教会が母子招待=神戸地区
★日本カトリック幼稚園連盟=旭川で研修大会
★全国カトリックスカウトキャンポリー=1000人超す参加=4年ぶり 富山で

 =キリスト新聞(8月18日)=https://www.kirishin.com
★AIDS文化フォーラムin横浜「宗教とエイズ」=性の問題・死生観を議論=カトリック・プロテスタント・浄土真宗が参加
★「ノアの箱舟プロジェクト」被災幼稚園に壁画を制作=バイブル・アンド・アートミニストリーズが中心に
★五十嵐弘志さんら「マザーハウス」設立=受刑者の更生と社会復帰支援
★盲伝全国修養会「呼びかける声がある」="今こそ十字架の救いの原点に"
★米国務省=世界の宗教規制に関する年次報告書="少数派が危険に直面"

 =クリスチャン新聞(8月19日)=https://jpnews.org
★67年目の「原爆の日」=被爆者も脱原発願う=「被造物のうめき」聞く責任
★福井で教会キャンプ 川遊び中に水難=流された子助け 信徒ら犠牲に
★戦後5番目の礼拝公用=『教会福音讃美歌』発刊=創作賛美歌生む受け皿に
★JEA心のオアシスリトリート=被災地に身を寄せ祈り合い=震災、非難、支援...女性の思い共に
★「100年でも続けたい」=平和の継承 英連邦戦没捕虜追悼


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