世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1053信(2011.03.28)

  • 残るべきか去るべきか、悩む宣教師
  • ノルウェー教会協議会議長に修道女
  • エルサレム爆発の被害者はウイクリフ聖書翻訳協会スタッフ
  • 米アップルが同性愛を「治す」アプリ配信
  • 洞窟で発見された鉛板が初期キリスト教に関連か
  • 《短信》
  • 《メディア展望》

◎残るべきか去るべきか、悩む宣教師

 【CJC=東京】日本に宣教師を派遣している団体指導者は、スタッフが留まるべきか、東京電力福島第一原子力発電所の事故で放射線被害が拡大するに伴い、宣教師を遠隔地に避難させるか、それとも日本から出国させるか、判断に苦慮している。
 米RNS通信によると、『OMFインターナショナル』(国際福音宣教会)の日本での宣教活動に協力している独バプテストのウォルフガング・ラングハンス宣教師は3月18日、宣教活動の継続と安全確保の判断が今なお重大課題だ、と電子メールで伝えている。
 「最新のニュースを得て、宣教師に助言している。また東京が放射線危機にさらされた時のために、東京より西寄りに避難所を用意した」と言う。避難の決定は各個人に委ねられ、7人が日本を離れることを決めた。
 『末日聖徒イエス・キリスト教会』(モルモン教会)は仙台と東京にいた宣教師187人を日本内で移動させ、さらに滞日期限がほぼ満了していた45人を帰国させた。キム・ファラ報道担当は、原発の放射線だけが決定の要因ではない、として、「当該地域の生活基盤が危うい。現地の人たちが自分の家族のために力を尽くさなければならない時に、宣教師支援にまで、その力を使わせたくない」と言う。
 『南部バプテスト連盟』国際宣教会も東日本にいたスタッフを東京の西南方に移動させた。ウェンディ・ノーヴェル報道担当は「人命安全は非常に重要だ。日本人のことも念頭にあり、出来る限り助けたい」と語った。
 『ルーテル教会ミズーリ・シノッド』は、宣教師3人を東京から神戸に移動させた。「これは、核危機により事態が悪化してきたため、万一のためのこと」とヴィッキ・ビッグス報道担当。新潟の2人は現地に留まっている。
 福島原発から十分に離れている、として避難しないところもある。『アトンメントのフランシスコ女子修道会』(本部・米ニューヨーク州ギャリソン)のナンシー・コンボイ総長は、派遣した修道女6人の所在地は被災地域から500マイル(約800キロ)離れているので、「そこにいても本当に安全と思っている」と語った。
 ゴードン=コンウエル神学校世界キリスト教研究センターのトッド・ジョンソン氏は、今なお続く危機は宣教師にとって前例のない挑戦だと言う。
 「宣教師は普通、現地の状況に密接に関わっており、脱出する最後の人間になることもしばしばだ。津波と地震、さらに戦争とか疫病でさえも、宣教師は歴史的にも離脱する最後の人だった。それはそこが家であり、働き場だったからだ。しかし放射線は全く別のものだ」
 同センターは、日本にいる宣教師を8000人と推測している。


◎ノルウェー教会協議会議長に修道女

 【CJC=東京】ノルウェー・キリスト教協議会はトロンハイムで開催した総会の席上、新議長にエルセ=ブリット・ニルセン修道女(64=仮訳)を選出し」た。ルーテル派が国教とされる同国で、カトリックのしかも女性が議長に就任するのは初めて。
 協議会は、同国500万市民の78%が所属するルーテル派国教会を始め正教会からペンテコステ派教会までが加盟している。
 これまで議長にはメソジスト2人、バプテスト1人、ルーテル派1人が就任していたが、いずれも男性。
 ニルセン修道女は長らく協議会理事会のメンバーだったが、「エキュメニズム(教会一致運動)と近年のノルウェーにおけるキリスト教一致の働きの中で生まれたもので、ほとんど奇跡」と語っている。
 ニルセン修道女は20歳の時にルーテル派から転会した。『恩寵のノートルダムのドミニコ修道女会』会員で、オスロ大学で神学博士号を取得、ルーテル派の神学校で社会学を講じてもいる。

※関連短信
▽ノルウェー国教会(ルーテル派)総監督にヘルガ・ハウゲランデ・ベイェフグリーエン監督(60)が3月25日任命された。


◎エルサレム爆発の被害者はウイクリフ聖書翻訳協会スタッフ

 【CJC=東京】エルサレム中心街で、3月23日、路上に放置されたスーツケース内の爆弾が爆発し、バスを待っていた1人が死亡、30人が負傷した。死者はスコットランドからヘブライ大学に留学していたメアリー・ガードナーさん。
 ガードナーさんは1989年からアフリカのトーゴでウイクリフ聖書翻訳協会のスタッフとして新約聖書のイフェ語への訳出に参加、2009年に完成した。旧約の訳出準備のため6カ月前からヘブル語を学習していた。


◎米アップルが同性愛を「治す」アプリ配信

 【CJC=東京】米フロリダ州に本拠を置く、「宗教を通じ、同性愛から自己を解放する」ことを提唱するキリスト教団体『エクソダス・インターナショナル』(EI)が、同性愛を「治す」アプリ(ソフト)を、アップル社の携帯端末向けソフトウエア配信サービス『iTunes』に提供している。
 このアプリはフリーソフトで、ユーザーがダウンロードすると、同団体が提供する情報ソースにリンクする仕組み。EIは、同性愛者の性的指向を変える「回復セラピー」も支援している。
 このアプリを削除するよう要請する署名が、オンライン署名サイトで呼び掛けられ、3月21日までに電子署名した人が11万人を超えた。これに対しEI側は、「言論の自由に対する攻撃であり、アプリの目的を不適切にゆがめて捉えたものだ」とする声明を発表した。
 一方、署名活動を訴えた側は「脅迫的な手法やデマ、ステレオタイプ化や歪曲などの使用で悪名高い反同性愛団体」が提供するアプリが承認されたことに衝撃を受けた、と表明している。


◎洞窟で発見された鉛板が初期キリスト教に関連か

 【CJC=東京】ヨルダンの辺境の洞窟で5年前に発見された鉛板が2000年前のもので、イエスの最後期に関係しているのではないか、と英シェフィールド大学のフィリップ・デイビース教授が主張している。サンデー・タイムズ紙が報じた。
 ただ聖書がらみの出土品は、『死海文書』の発見以来、高価で取り引きされることが世界的に知られ、偽物も横行するようになったことから、学者の中にはクビをかしげる人もいる。
 報じられた鉛板はクレジットカード大。古代ヘブル語で「メシア」(救世主)と復活についての記述がある。
 英旧約学会のマーガレット・バーカー前会長は、真正なものか鑑定に慎重だが、もしも本物なら最初期のキリスト者の存在を示す「重要、唯一」の証明になる、と語った。


≪短信≫CJC通信速報(Twitter:cjcpress)から。

≪アジア≫
▽「パーパス・ドリブン」運動で知られる米カリフォルニア州サドルバック教会系の救援活動家が3月22日、東京で「キリスト教救援・災害情報交換」という会合を開催、指導者100人が集まり、政府関係者も出席した、と米アシスト通信が報道。
▽世界教会協議会(WCC)のオラフ・フィクセ=トゥヴェイト総幹事が3月23日、日本の諸教会および日本キリスト教協議会に宛て、支援の書簡を送った。
▽英救世軍のジャネット・ギルソン少佐は香港で行方不明になっていたが3月20日、親類宅のソファの後ろで死体が発見された。頭部に傷があり、香港警察は容疑者を逮捕した。

≪欧州≫
▽ウクライナ・カトリック教会会議は3月23日、首座司教にブエノスアイレスのスヴィアトスラフ・シェブチュク司教を選出、教皇ベネディクト16世は25日に確認した。
▽バチカン(ローマ教皇庁)は、欧州人権裁判所が、イタリアの公立学校で十字架掲示を禁止した決定を3月18日却下したことを歓迎した。
▽「異邦人の中庭」と名付けられた会議をバチカン(ローマ教皇庁)が、非信仰者との対話を目指して、3月24〜25日、パリで開催した。
▽英政府の緊縮財政と公費支出削減に抗議するデモが3月26日、ロンドンであり、25万人以上が参加した。キリスト者のグループがバークレー銀行トテナムコート・ロード支店内で礼拝しようと押し掛けたところ、銀行は通常より早く閉店していた。

≪北米≫
▽2001年の同時多発テロへの対抗策としてコーラン焼却を昨年9月に宣言して話題となった、テリー・ジョーンズ牧師。世論の反対の前に断念したと思われていたが、米フロリダ州ゲインズビルで、イスラム教の聖典を「有罪」として3月20日焼却式を行なった。AFP通信報道。
▽フロリダの牧師がコーランを焼却したことに、米福音連盟(NAE),南部バプテスト連盟などが非難の声を上げている。
▽カトリック修道会イエズス会の米オレゴン管区が先住民の児童教育の中で性的虐待を行っていたことで、このほど犠牲者に1億6600万ドル(約135億円)を支払うことになった。
▽米イリノイ州クリスタル・レイクのプレイリー・リッジ高校は、授業中に仏教の行為として瞑想を生徒に行わせていたが、民権擁護団体『ルサーフォード・インスティチュート』が、政府の特定宗教宣伝に当たる、と抗議、学校側が瞑想を中止した。
▽世界福音同盟(WEA)とカナダのキリスト教コミュニケーション組織『クロスローズ』が提携して、キリスト教の観点から国際問題を報じる市民ジャーナリストを組織する。
▽米大衆伝道者ルイス・パラウ氏が家庭向けの集会「アリゾナ・シティフェスタ」を3月19〜20日、フェニックスのテンピ・タウン・レイクで開催した。11万人以上が参加した、とアシスト通信。
▽米国で行われたRNS通信の最近の調査では、白人・福音派プロテスタント・共和党員には、天災を、聖書の説く「終わりの時」と見る人が、他グループより多いことが分かった。

≪中南米≫
▽ラテンアメリカ教会協議会(CLAI)青年牧会宣教部門が、今後3年で中南米での活動強化方策を探っている。調整役にコロンビア福音ルーテル教会のネルソン・フェルナンド・セリス・アンゲル氏(32)が就任した。
▽エルサルバドルの人権擁護活動家、オスカル・ロメロ大司教が1980年3月24日に殺害されて31周年。カトリック教会指導者は、同大司教の生涯を胸に刻むよう訴えている。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(3月27日)=https://www.cwjpn.com
★支援活動開始=仙台・さいたま・東京に拠点=犠牲者 信徒、園児にも
★さいたま教区・東京教区に支援拠点
★仙台教区=サポートセンター ボランティア宿泊場所に=仙台と盛岡の教会確保
★教皇=犠牲者のため祈り呼び掛ける=日本国民に連帯と励まし
★東日本大震災=世界中から連帯の声=バチカン、米国司教協、テゼ共同体

 =キリスト新聞(3月26日)=https://www.kirishin.com
★東日本大震災 教会も地域も"まず救援"=超教派の窓口が仙台に
★各教派被害情報

 =クリスチャン新聞(3月27日)=https://jpnews.org
★巨大地震 被災地教会無事か=信友ら急行=住民避難も
★福島第一原発=直近の教会...祈りを!
★歩いて、走って、その晩祈るため来た=第11回国家晩餐祈祷会に交通マヒでも81人=聖学院大学阿久戸学長=今、求められる急務語る
★有志ら国政覚えとりなす=地震対策本部から柴橋正直議員が報告
★「神の家族」は世界大=各国から「日本のため祈ってます」


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