世界キリスト教情報 第1046信(2011.02.07)
- 教皇、中国に司教任命権の独自性を誇示
- 救世軍万国総督にリンダ・ボンド中将
- 英『募金基準会』が救世軍に資金流失の疑い
- 2010年、GMOは1億1200万人以上に福音伝える
- ドイツ語圏の神学教授がカトリック教会改革呼び掛け
- 欠席目立ったダブリンの聖公会首座会議
- オバマ大統領、自身の信仰を明白に語る
- イスラエルで1500年前の教会発掘
- 《短信》
- 《メディア展望》
◎教皇、中国に司教任命権の独自性を誇示
【CJC=東京】教皇ベネディクト16世は、バチカン(ローマ教皇庁)福音宣教省局長というナンバー2の地位に任命した香港のモンシニョール・サヴィオ・韓大輝(ホン・タイ=ファイ、60)を2月5日、大司教に叙階した。
教皇は、特に中国について言及したわけではないが、中国の教会が、教皇の承認なしに司教を任命したことに対し、使徒的継承を確実なものとするため、司教任命は教皇が行う義務と必要があることを主張したものと見られる。
中国は、共産党政権成立後の1951年、カトリック教会にバチカンとの関係断絶を強制した。国家が支援する教会だけが認可されたものの、バチカンに従う聖職・信徒が非公認の地下教会を形成、そこに所属する人は数百万人に達する、と推測されている。
公認の天主教(カトリック)三自愛国会のリュー・バイニアン報道担当は、ホン氏に賛辞を送り、バチカンと中国の対話に必要だ、と語った。
しかしリュー氏は、AP通信とのインタビューで、中国政府が示している2条件を尊重することが関係改善に必要だ、と語った。それは「第一に台湾とのいわゆる外交関係を断絶し、中華人民共和国を正統政権として認めること。第二は司教任命を含め中国の内政に干渉しないこと」と言う。
バチカンは外交関係を台湾から北京に移す用意はある、としている。
◎救世軍万国総督にリンダ・ボンド中将
【CJC=東京】救世軍「最高会議」は1月31日、カナダ出身のコミッショナー、リンダ・ボンド中将(64)を第19代万国総督(大将)に選出した。
この4月に引退するショー・クリフトン大将の後任となるボンド氏は、救世軍148年の歴史上、女性大将としては3人目、カナダ出身としては4人目。
救世軍指導者で構成される「最高会議」は、ロンドン近郊のサンベリー・オン・テームズで開催された。
ボンド氏は救世軍歴42年。2008年からはオーストラリアで活動、ロンドン本営では霊的生活推進、国際・対外関係を担当していた。
◎英『募金基準会』が救世軍に資金流失の疑い
【CJC=東京】英国の慈善募金団体の自立組織『募金基準会』(FSB)が救世軍に、資金流失の疑いで説明を求めている。あるビジネスマンが、救世軍に寄贈された古着を売って500万ポンド(約6億6200万円)を自己の所有とすることを、救世軍が認めていたという。
救世軍は毎月寄贈される衣料2500トンを販売して利益を上げているが、その使途を寄贈者に明確に説明していなかった。
販売関係者は、着服したカネを競走馬や100万ポンド(約1億3000万円)のマンション購入にあてていた。
救世軍はこの3年、衣料売却で1630万ポンド(約21億6000万円)を稼ぎ出していた。
救世軍側は「何も聞いていない。ただFSBとは話し合う」としている。
◎2010年、GMOは1億1200万人以上に福音伝える
【CJC=東京】米メディア宣教団体『グローバル・メディア・アウトリーチ』(GMO)は、2010年全体では1億1200万人以上に福音を伝えた、と発表した。同団体として最高記録であるだけでなく、宣教団体の中でも新記録、とも見られる。
GMOは、2004年以来、福音をオンラインで伝えることに力を入れ、普通のキリスト者が信仰を守ることを、インターネット上で支援してきた。そのために専門の宣教師を養成もしている。
GMOが2月4日、2010年の総括を発表した。それによると、12月の1日、191国の68万7488人に福音を伝えるという記録を樹立したが、そのうち5万6854人がイエス・キリストに従う決意を示唆した。10年全体では1億1200万人以上に福音を伝え、キリストに従う決意を示した人は1500万人を超えたという。
◎ドイツ語圏の神学教授がカトリック教会改革呼び掛け
【CJC=東京】独、オーストリア、スイスのカトリック神学教授の約3分の1に当たる144人が2月4日、司祭独身制の撤廃など、カトリック教会の改革を呼び掛ける宣言を発表した。独日刊紙『シュドドイッチェ・ツアイツング』(南ドイツ新聞)が報じた。
ミュンスター大学のユディス・クネマン教授は「神経にさわったようだ」と言う。昨年明るみに出た、カトリック教会を予想もつかなかった危機に陥れた児童への性的虐待スキャンダルに直面して、もはや静かにしてはいられない、と語った。
神学者たちは、カトリック教会の将来について公開対話の開始を欲している。さらに独身強制を止め、女性聖職を認めるよう呼び掛けている。司教選任に、信徒がより強く発言すべきだ、とも言う。
ドイツでは1989年に学者220人以上が、故教皇ヨハネ・パウロ2世の専制的リーダーシップに抗議して『ケルン宣言』に署名して以来の抗議。
◎欠席目立ったダブリンの聖公会首座会議
【CJC=東京】聖公会(英国国教会)第18回首座主教会議は、アイルランドのダブリンで1月25日から30日まで開催され、同派に於けるリーダーシップ(指導力)について協議した。
今回の会議には、世界聖公会共同体を構成する管区の首座主教38人のうち、14人が様々な理由から欠席したことも注目を集めた。ただ7人は欠席の理由を女性聖職など性問題にからんでのことと認めている。
最近、同性愛をめぐる意見の不一致と米聖公会、カナダ・アングリカン教会などの自由化志向が共同体内のミゾを深めてきたことは確か。
出席者は、「共同体を構成する諸教会、また首座主教の間への聖霊の働きである多様性の中の一致を示そうと努めた、と「報告書」の中で述べている。
また、ジンバブエのムガベ大統領に、信徒迫害を即時中止するよう要求した書簡や女性への暴力、気候変動、ウガンダの同性愛活動家殺害などを取り上げ、意見を表明した書簡を多数採択した。
閉幕記者会見で最高指導者カンタベリー大主教のローワン・ウイリアムズ氏は、「欠席者の数が多かった」と認めながらも、3分の2は出席したこと、また出席の意向を示した首座主教は4分の3に達していたことを強調した。
◎オバマ大統領、自身の信仰を明白に語る
【CJC=東京】バラク・オバマ米大統領は2月3日、ヒルトン・ワシントン国際宴会場で開催された『2011年全国祈祷朝食会』の席上、自らの信仰について明白に語り、約4000人の参加者は驚きの思いをもって演説を聞いた。
大統領は、「大学卒業して数年後のことだが、シカゴの教会グループのためのコミュニティーの組織者として契約するよう、わたしを導いたのは信仰に根ざした召しだった。またその経験により、近隣を傷付けた傷を癒そうとして、牧師や信徒と働いた中で、わたし自身のためのイエス・キリストを知り、彼を救い主として受け入れるようになった」と語った。
大統領はさらに、「わたしのキリスト教信仰は、この数年間、わたしを力づけてくれて来た。その上、ミシェルとわたしがの信仰を問題にされる度ごとにそれは変わることはなかった」と語った。
◎イスラエルで1500年前の教会発掘
【CJC=東京】イスラエルの考古学者が2月2日、エルサレム西南方のヒルベトマドラスで1500年前の教会を発掘したことを明らかにした。保存状態は非常に良好で、モザイク仕上げの床にはライオン、狐、魚、孔雀などが描かれていた。現場は預言者ゼカリアの墓所と推定される場所。
ビザンチン様式の小規模教会発掘は2カ月がかりで行われた。ただ公開するための財源がないことから、保護のためにすぐに土を掛け直すという。
発掘を指揮したイスラエル考古局のアミル・ガノル氏は、床の装飾が見事で5世紀から7世紀に掛けてのもの、として「匠の技と保存技術は他に例を見ない」と語った。
発掘自体は2010年12月から行われたが、考古局はそれより早く、盗掘で埋蔵品を略奪していることを発見した。
最初の調査では、シナゴーグ(ユダヤ教会堂)だと推定されていたが、十字架が彫りこまれた石が出土して教会と確認された。建物自体は500年ほど前のローマ時代の構造物の上に建てられていた。ユダヤ人の居宅と推測されている。
≪短信≫CJC通信速報(Twitter:cjcpress)から。
≪インド・パキスタン≫
▽パキスタンではイスラム侮辱法修正に反対する野党連合がラホールで1月31日に抗議デモ。4万人が参加。
≪バチカン≫
▽アングリカン(英国国教会)とカトリック教会との第3次対話がこの5月、イタリアのボーズで始まる。
▽ヘルスケア関係のカトリック者に対し、バチカンが近く幹細胞研究、組織再生、安楽死、妊娠中絶など、生命の倫理に関する新指針を発表する。
≪欧州≫
▽教皇訪英の際、国費185万ポンドを使ったことに、英下院国際関係の委員会が疑問とする報告書を2月3日発表。
≪アフリカ≫
▽スーダン南部独立を目指して北部のキリスト者移住急増。北部の教会やキリスト教施設には閉鎖する所も。
≪北米≫
▽米カトリック教会が、聖公会に「属人区」をどう評価するか、質問書を出した、との情報。
▽不況は教会も直撃。米アトランタでは113教会が借金返せずに身売りへ。
《メディア展望》
=カトリック新聞(2月6日)=https://www.cwjpn.com
★「貧しい人、困窮する人により良い医療制度を」=教皇「世界病者の日」メッセージで
★カトリック社会活動神戸センター=15周年「感謝のつどい」開く=阪神・淡路大震災の救援本部が出発点=今も「谷間の人々」と歩む
★新設の韓国国際カリタス=北朝鮮援助を開始へ=4月から 弱い立場にある人々のため
★WYDマドリード大会日本事務局=SNSの利用開始決定=情報発信と交流の場として
★NPO和歌山ホームレス支援機構=弁護士会人権賞に=神父らが始めた活動
=キリスト新聞(2月5日)=https://www.kirishin.com
★「自死」への偏見・差別の是正向けシンポ=宗教者ら意識改革訴え
★東京・多摩いのちの電話=公開講座で細谷亮太氏=「大丈夫」に込めた祈り
★酪農学園が「東京オフィス」開所=食文化・農文化考える拠点に
★"2人の関係"ネットで診断=臨床牧会研究会が開発
★「多宗教世界でのキリスト者の証」=各派代表らがバンコクで会議
=クリスチャン新聞(2月6日)=https://jpnews.org
★こんなにいた! 夢もつ中高生=実現を牧師、友人、親ら後押し=テレビ番組「CGNTV"You are Special」
★映画「ナルニア国物語-第3章―3Dで公開=前作より霊的焦点を尊重
★「行列のできる教会」セミナー=デザイン、マーケティング、ウェブのプロが指南=福音を届くようにドレスアップ
★「富弘詩画・みつを書の世界」企画展=相田みつを美術館で再び
★冤罪訴えた元甲山学園園長=荒木潔さん逝去
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