世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第975信(2009.09.28)

  • 教皇、チェコを司牧訪問、新著作も示唆
  • カトリック大事典の新版を教皇に献呈
  • 米福音ルーテルの保守派が新組織憲章採択
  • 十字架のネックレスが看護師の行動を規制
  • 《メディア展望》

◎教皇、チェコを司牧訪問、新著作も示唆

 【CJC=東京】教皇ベネディクト十六世は9月26日、チェコ共和国への司牧訪問を3日間の日程で開始した。教皇としての海外司牧訪問は、イタリアを別として13回目。「キリストの愛は、私たちの力」をテーマに、プラハ、ブルノ、スタラ・ボレスラフの3都市を訪れる日程。
 教皇は26日午前、プラハのルズィニエ国際空港に到着、ヴァーツラフ・クラウス大統領と共に歓迎式に臨んだ。
 バチカン放送(日本語電子版)によると、青年たちから伝統的な贈り物としてパンと塩を受け取った教皇は、それに聖書的な象徴を見出しながら、チェコの文化に根ざすキリスト教の影響と、聖チリロ・聖メトジオの宣教に始まる同地のキリスト教の歴史を想起した。
 1989年11月のビロード革命からまもなく20周年を迎えることに言及、思想や文化の自由が言動共に制限された困難な時代に対し、同国が平和的に終止符を打ち、自由を勝ち取ることができたことを教皇は歓迎した。
 一方で、教皇は40年にわたる政治的抑圧の時代、聖ヴァーツラフや聖ヨハネ・ネポムクに代表されるチェコの教会の過去の殉教の歴史と同様に、前世紀に教会が受けた迫害と、それに対し勇気をもって信仰の火を守り続けた多くの聖職者・修道者・信者らを想起した。
 教皇は、宗教の自由が取り戻された今、チェコの文化を作り上げたキリスト教の伝統を再発見して欲しいと要望、新しい千年期の様々な挑戦を前に、社会の発展と人間の尊厳に欠かせない、福音の真理と希望の声を聞かせて欲しいと信者たちを激励した。
 歓迎式の後、教皇はプラハ市内の「勝利の聖母教会」を訪問、プラハ市長はじめチェコ司教協議会会長ら教会関係者、そして大勢の信徒に迎えられた。
 教皇は「プラハの幼きイエス像」の前で祈りを捧げた。教皇は、家庭の安定は社会と人類の真の発展のための重要な要素と強調、特に子どもの将来のために多くの努力をしなければならない若い家庭、病気や不和など様々な事情で苦しむ家庭など、世界中の家庭を幼きイエスに託して祈った、とバチカン放送は伝えている。
 木製の47センチの幼きイエス像は、様々な信者が寄贈した美しい衣装でも知られる。
 教皇はその後、大統領府プラハ城にクラウス大統領を表敬訪問し、大統領との個人会談の後、首相とも会見した。続いてチェコ政府関係者や同国駐在の外交官と会見、教皇は真理と自由をテーマに講演、真理だけが自由と人類の総合的な発展を保証すると述べた。
 さらにプラハ城の一角にある聖ヴィート司教座大聖堂で、教皇と同国のカトリック司祭・修道者・神学生・教会運動関係者らとの夕べの祈りが行われた。
 この集いで教皇は、チェコにおける教会の歴史と古今の殉教者たちの証しを思いおこしながら、キリストとの個人的な出会いと深い絆だけがキリスト教的召命を実現するための霊的な力を与え、キリストの愛だけが試練の中の使徒的活動を可能にしてくれると強調した。
 27日、教皇は南部ブルノを訪問、空港脇の広場で野外ミサを行った。
 会場にはチェコ国内だけでなくスロバキア、オーストリア、ポーランド、ドイツなど近隣諸国から12万人(教会側推計)が集まった。
 参加者は歌い、チェコとバチカンの国旗を振るなど、今回訪問のハイライトとも言える盛り上がりを見せた。18人が脱水症状を呈し救急隊が出動した。騎馬警官が落馬して負傷するなどの事故もあった。
 ドイツ出身の教皇は、このミサではイタリア語で演説、チェコ語に通訳された。教皇は、技術の進歩だけでは「社会の倫理的福祉は保証されない」として「人は物質的抑圧から自由にされるべきだが、より大事なことは、霊に影響を及ぼす悪から救われなければならない」と語りかけた。
 プラハに戻った教皇はキリスト教各派代表と会談した。「ヨーロッパの正義、自由、社会的責任は、文化的法律的示度と共に、自らの思想を保持し、将来の世代に継承させるためにあり、それはキリスト教という資産によって形成されたものだ」として教皇は、ヨーロッパの宗教的根源が「霊的倫理的な栄養を与え、他の文化や宗教で育った人との対話を意義あるものにする」と語った。
 教皇は、チェコでは国民的英雄とされている15世紀の宗教改革者ヤン・フスにも言及、彼が提起した問題についての議論は、キリスト教一致への探求にとってだけでなく、「全ヨーロッパ社会の利益のため」でもある、と語った。
 チェコは欧州の中では非宗教的な国家の一つ。1991年には1000万人口の中で450万人が教会に属すとしていたものが、2001年には330万人に低下している。最近の調査では回答者の半数が神を信じていない、という。
 1948年、当時のチェコスロバキアに成立した共産主義政権は徹底的に教会を抑圧、全財産を没収、聖職者多数に迫害を加えた。教会は国家の監督下でだけ活動が認められた歴史がある。
 AP通信によると、教皇は訪問途上の機中で、新たな著作を進めており、来春には完成させたい、と語った。


◎カトリック大事典の新版を教皇に献呈

 【CJC=東京】教皇ベネディクト十六世は9月23日の一般会見の際、このほど30年がかりで日本で完成したカトリック大事典4巻を受け取った。
 バチカン(ローマ教皇庁)教育省元局長のジュセッペ・ピタウ大司教(元上智大学学長)が編纂の意図を説明した。


◎米福音ルーテルの保守派が新組織憲章採択

 【CJC=東京】『ルサランCORE』を結成している米福音ルーテル教会(ELCA、信徒470万人)の保守派1200人がインジアナ州フィッシャーズで会合、新グループの憲章を9月26日採択した。またELCA内に留まるか離脱するかを1年掛けて検討、来年に態度を決定することにした。
 ELCA総会が、同性愛関係にある人が聖職につくこと、またその際に独身を保つという条件を撤回することを決定したのを受け、保守派が独自の動きに出たもので、中にはすぐにも離脱すべきだ、との強硬論も出ている。CORE議長のポウル・スプリング牧師は、すでに離脱を決定した教会もあるが、離脱する意向のない教会もある、と記者会見で語った。
 COREの集会は2008年にも行われたが、その時の出席者は300人だった。今回は参加者急増のため会場も1000人収容のカトリック教会に切り替えたが、それでも登録を1200人で締め切ったという。


◎十字架のネックレスが看護師の行動を規制

 【CJC=東京】英デヴォン州エグゼターの看護師シャーリー・チャプリン氏(54)がこの7月第一線の勤務から外されたのは、十字架のネックレスを外すようにとの指示を拒否したからだ、と言う。
 病院を運営している王立デヴォン・エグゼター・NHS財団は、健康と安全上の理由だとしていたが、チャプリン氏は自分の信仰に対する干渉だ、と反発している。


《メディア展望》

  =カトリック新聞(9月27日)=https://www.cwjpn.com
★「移住者に連帯を」=教皇=世界難民移住移動者の日に
★移住者の子どもの教育施設=閉鎖計画に現場の教会関係者ら反発=タイ南部
★日本聖公会宣教150周年=英国国教会 カンタベリー大主教来日=岡田大司教らと懇談 
★日本カトリック神学会=過去・現在の思想踏まえ 神学の可能性探る=東京
★真の信仰は愛と奉仕伴う=教皇が指摘
★環境部会が会議=正平協=活動の在り方検討

  =キリスト新聞(9月26日)=https://www.kirishin.com
★ニカイア信条の意義を再評価="多様性における一致"問う=教職者らが教派超えシンポ=日本聖書神学校
★3党連立で鳩山政権が始動
★カルヴァン生誕500年記念講演会=ヤン・ロールス教授="教会秩序"への関心に着目
★"死刑を止めよう"=『過ち訂正する余地残すべき』=寛永寺「祈りの集い」に10宗派・団体
★日本・中東アフリカ文化経済交流会=「アフリカ援助」問い直す
★ダーウィン映画上映見送り=米 進化論へ根強い批判で

  =クリスチャン新聞(9月27日)=https://jpnews.org
★牧師=裁判員に「単なる裁きではない」=青森地裁判決=被告の更正に期待込め
★カトリック聖職者は裁判員辞退=教会法に抵触、守秘義務と相容れない
★大阪から海外にも響いた=平和願う9条の鐘
★ティーンチャレンジ一般社団法人格を取得=薬物依存更正に弾み
★人生は絶望で終わらない=ベー・チェチョルさん自伝出版=『奇跡の歌』
★韓国政府、イスラム圏での改宗活動規制を検討


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