世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第970信(2009.08.24)

  • 世界福音同盟が人身売買に特別チームを組織
  • 米ルター派とメソジストが完全相互聖餐関係へ
  • 米福音ルーテル教会が同性愛教職認める、保守派に離脱の動きも
  • 聖公会共同体の『一致・信仰・職制部門』長にカナダの女性司祭
  • カナダ合同教会、イスラエル・ボイコットに踏み込まず
  • 米修道女はバチカン調査の透明性に疑念
  • 米フロリダ州南部でカトリック14教会閉鎖へ
  • キリスト教に改宗した娘殺す、とイスラム教徒の父親
  • 《メディア展望》

◎世界福音同盟が人身売買に特別チームを組織

 【ニューヨーク=CJC】世界福音同盟(WEA)が人身売買問題に対処する特別チーム(タスクフォース)を組織したことが明らかになった。全世界4億2000万人の福音派キリスト者を擁するWEA加盟教会の間に意識を向上させようという。
 タスクフォースは人身売買問題コミッショナーのクリスチーナ・マクミラン氏が長となり、加盟教会とその指導者たちが人身売買の被害者を援護するのに必要な戦略を展開し効果的に行動することで、人身売買を防ごうというもの。メンバーはWEA女性委員会から、エイリーン・スチュアート=ルード委員長の他、ジェニファー・レムヒルト・チュンハグ氏(スウェーデン)、ジョスリン・ダーストン氏(カナダ)が選ばれた。マクミラン氏は救世軍の国際社会正義委員会の委員長も務めている。
 WEA国際部門のジョフ・タニクリフ担当は「毎年、1分間に1人以上が国外に売買されている。このWEAの働きが地球社会を、意義のある、効果的で聖書的な応答が出来るよう動かすことが希望であり、祈りだ。キリストに従うものとして、世界規模の悲惨な不正を終わらせるために出来ることは何でもやらなければならない」と語っている。


◎米ルター派とメソジストが完全相互聖餐関係へ

 【ニューヨーク=CJC】米プロテスタントの2大教派、福音ルーテル教会(ELCA=信徒数460万人)と合同メソジスト教会(UMC=同1100万人)がフルコミュニオン(完全相互聖餐)関係に入ることになった。両派ともに同性愛についての内部対立が深刻化している最中。
 ELCAは8月20日、ミネアポリスで開催した大会で958票対51票で「合意」を採択した。
 教職、宣教などを「共有」することで、長年にわたる教勢退潮に歯止めがかかるものと期待されている。UMSは昨年すでに総会で「合意」を圧倒的多数で採択している。
 UMSの海外教会には他派と同様な合意に達した所もあるが、米国では初めて。一方、ELCAはすでに5教派とフルコミュニオン関係に入っている。
 フルコミュニオン関係に入ると、双方が相手方の教職を受け入れ、洗礼と聖餐を有効なものと認め、宣教などで密接に協力することになる。
 RNS通信によると、双方の指導者は、「合意」の意味は合同ではないと強調している。それぞれが別個の組織であり、自身の規則に束縛されることに変わりはない。
 ELCAのマーク・ハンソン総裁監督は、双方が主流派として「高齢化、教勢減少、多元社会の中での高すぎる評価」といった問題を抱えている、と17日語っていた。
 ハンソン氏は、これでルーテル派があらゆる共同体に教会を設け、全大学に教職を配置したり、あらゆる国に宣教師を派遣し、政治問題について首都ワシントンで大きな声を上げなければならない、ということはなくなる、と語った。
 UMSの監督協議会会長グレゴリー・パーマー氏は、「教職の互換性は、常任者の配置が難しい場所で宣教を維持するために非常に重要であり、特に教勢減少の厳しい都市部や遠隔地の教会にとっては有意義だ」と言う。
 ELCAは、聖公会(英国国教会)とフルコミュニオン関係に入ってすでに9年。双方に利益があった、として「非常に中身のある関係だ」と聖公会の指導者クリストファー・エプティング主教は語っている。


◎米福音ルーテル教会が同性愛教職認める、保守派に離脱の動きも

 【CJC=東京】米福音ルーテル教会(ELCA=信徒数460万人、1万教会)はミネアポリスで開いた大会で8月21日、生涯1対1の関係を維持するという条件で、同性愛者の教職を認める決定を559票対451票で行った。8年がかりで同性愛行為を聖書が禁じているかどうか研究、審議してきたものだけに、涙を流す議員も目立った。
 内容は、同性間の結婚に特に言及してはいないが、同性愛者を牧師として招こうとする教会は「責任のある生涯にわたり1対1の関係を維持する、同性間の関係を正式に認め、支持し、受け入れる」ように、と記している。
 ELCAは米国第7位の大教派なだけに、今回の決定は他教派の同性愛への対応にも影響しそうだ。
 マーク・ハンソン総裁監督は、長い間疎外感を味わい変革が遅すぎると思っていた側と、かつては中心課題だったが今では周辺的なものになったと思う側の双方に一致を訴え、「互いに離れ離れになったら悲劇だ」と投票直後に語った。保守派は、離脱して独自の教派を設立するかもしれない、との意向を示している。 


◎聖公会共同体の『一致・信仰・職制部門』長にカナダの女性司祭

 【トロント=ENI・CJC】聖公会共同体は、教会一致や教義上の問題を扱う『一致・信仰・職制部門』長にカナダ・トロントの女性アリソン・バーネット・ドーサン司祭を任命した。
 同司祭は1995年以来、カナダ・アングリカン教会の信仰・礼拝・宣教部門の長。
 女性聖職を認めない教派もあり、聖公会共同体内の管区にも女性教職を受け入れない所もあることから、今回の任命を大胆と懸念する向きもある。


◎カナダ合同教会、イスラエル・ボイコットに踏み込まず

 【トロント=ENI・CJC】カナダ合同教会は8月9〜15日にブリティッシュ・コロンビア州ケローナで開催した常議員会で新議長にマルディ・ティンダル氏を14日選出した。
 今回の常議員会は、イスラエルのパレスチナ人への政策を南アのアパルトヘイトに比較されるものとして、イスラエル・ボイコットを打ち出すか注目された。カナダ・ユダヤ人会議などは、反ユダヤ主義だとして教会を非難していた。
 常議員会は最終的には決議せず、加盟教会に問題を「学び、認識し、祈る」こと、中東での紛争終結に役立つものならボイコットも考慮することを勧めるに留まった。
 ティンダル氏は常議員会後、「全土の共同体に関わる目に見える存在として信頼を受けている。それを無駄にしてはならない」とカナダ通信に語った。


◎米修道女はバチカン調査の透明性に疑念

 【CJC=東京】米国のカトリック修道女団体『女子宗教者指導会議』(LCWR)は8月10日、バチカン(ローマ教皇庁)が行い、それに協力した「調査」について疑念を表明した。修道会総長・管区長など約800人で構成される同会議は、調査の「動機と経費について完全公開されていない」と指摘している。報道担当のアンマリー・サンダース修道女は「透明性がない」とAP通信に語った。
 バチカン教理省はLCWR関係者に新たに「教義的調査」を行うと2月20日、書簡で通知、同省長官のウイリアム・ジョセフ・レヴァダ枢機卿からの書簡をLCWRは3月10日受領している。レヴァダ枢機卿は、その書簡で、初め2001年に最初の教義面での関心を抱いてから調査に着手していた、ことを明らかにした。
 調査は、米国内で活動している修道女約5万9000人を対象にしたもの。教義への関わり方で不公正な質問があったなど、評価への疑念を私的に表明した人もいるものの、ほとんどはコメントには慎重だった。
 ただ8月初めニューオーリンズで開かれた同会議大会で、会長を退任するJ・ローラ・ダンブロスキー修道女が、福音を創造的に生き抜くことへの挑戦だ、と調査を評価、修道女にとって「決定的な時」だ、と語った。
 バチカンの報告書は341修道会の指導者に送付されたという。「生活の質について純粋な関わりについて建設的な評価」を目的としたものだ、とされているが、質問の中には、教会に不誠実だと推定される懸念を確認するためのものもあったという。
 バチカンはLCWR自体についても「教義上の評価」を公表した、とAP通信は報じている。


◎米フロリダ州南部でカトリック14教会閉鎖へ

 【CJC=東京】米カトリック教会マイアミ大司教区はフロリダ州南部の14教会(小教区)を閉鎖することにした。9月中に小教区を合併するという。
 ジョン・ファヴァローラ大司教が声明で、信徒の不満は分かるし、自分にとっても非常に困難な決定だった、と明らかにした。
 大司教区は、青年宣教事務所を閉鎖、教会学校も行政認可学校に切り替えるという。妊婦センターへの補助金も打ち切る。
 信徒の間では廃止反対の請願、抗議の動きや徹夜祈祷会を開いたりしていた。


◎キリスト教に改宗した娘殺す、とイスラム教徒の父親

 【CJC=東京】米オハイオ州に住む原理派イスラム教徒が、キリスト教に改宗した17歳の娘リフカ・ベリーさんを殺すと語った。経典クルアーン(コーラン)やムハンマドの言行録ハディースによると、他の信仰に改宗することは"背教"であり不名誉だから、と言う。
 リフカさんは7月に家出していたが、警察が携帯電話やコンピューターの記録から、フロリダ州オーランドにあるグローバル・レヴォリューション教会のブレイク・ロレンツ牧師のもとにいることを突き止めた。2人はインターネット上の「フェースブック・プレヤー・グループ」で知り合ったという。
 リフカさんの家族はスリランカ出身。脅迫などは絶対していない、と語っているが、フロリダ州当局は身柄を家族のもとに送り返すか、オハイオ州の社会福祉関係者に委ねるか検討中。結論が出るまでリフカさんはフロリダ州で保護下に置かれる。


《メディア展望》

  =カトリック新聞(8月23日)=https://www.cwjpn.com
★教皇、被災者のため祈る=フィリピン、台湾、中国、日本の台風、地震被害で
★魂に触れる授業目指し=宗教・倫理担当者がワークショップ
★兵庫・佐用教会 豪雨で犠牲者=焼津教会(静岡)は地震で壁にひび
★トーラン枢機卿=神社本庁も訪問
★平和旬間などでも披露=楽しく「賛美の歌」=高松教区が練習会
★教皇=「悪の極端な象徴」=ナチス強制収容所で指摘

  =キリスト新聞(8月22日・休刊)=https://www.kirishin.com

  =クリスチャン新聞(8月23日)=https://jpnews.org
★総選挙前 国のために祈る=未曾有の危機、指導者に執り成しを=病める高齢社会に焦点
★東海道、歩いて伝道スタート=Walk With Jesus=雨ニモ、地震ニモ負ケズ...
★8月6日・広島=核廃絶へ願い新た=証言・在韓被爆者に示された愛 心の傷は今なお癒されず
★同盟基督平和祈祷会=抵抗権は「神の秩序維持」=渡辺信夫氏=「君が代」伴奏拒否を積極評価
★JECA平和祈祷会で安藤肇氏=教会は「国家の良心」に=政府に反対意見言う自由必要
★もう限界だった、と知った=牧師の本音を出せる「牧会塾」後期へ


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