世界キリスト教情報

世界キリスト教情報

世界キリスト教情報 第967信(2009.08.03)

  • 国連がキリスト教団体のオブザーバー資格認可申請を拒否
  • 英で新型ウイルス流行、キリスト教会にも影響
  • 「サッカーに宗教は持ち込めないのはおかしい」
  • 教皇、聖骸布公開を機にトリノ訪問へ
  • 教皇、北伊での休暇終え夏の離宮カステルガンドルフォへ
  • 聖ピオ十世会の指導者が今秋にもバチカンと協議開始を予測
  • 「ハリー・ポッターと謎のプリンス」をバチカン紙が称賛
  • 同性愛主教を認めた米聖公会は分派になる、と英神学者
  • 南アのバス会社がキリスト教映画の車内上映強行
  • 《メディア展望》

◎国連がキリスト教団体のオブザーバー資格認可申請を拒否

 【CJC=東京】国連経済社会理事会(ECOSOC)は、ジュネーブで開催した会議で7月27日、NGO(非政府組織)『ダイナミック・クリスチャン・ワールド・ミッション』(本部・米カリフォルニア州ガーデナ)の国連オブザーバー資格認可申請を23票対22票で拒否した。
 同団体は韓国と米カリフォルニア州ではNGOとして認められている。ロシア、キルギスタンなどで教育を通じキリスト教を伝えることを目的としているという。
 国連憲章第71条では、NGOがオブザーバーとして参加することが規定されている。1946年に経済社会理事会のNGO協議制度がつくられた。開発、環境、人権等において顕著な活動をし、一定の資格要件を満たすNGOに対し、審査の上、「協議的地位」を認めるというもの。認可された団体は一般に「国連NGO」と呼ばれる。
 同団体が2007年に認可申請した際、キム・キュンスー会長は、米、露、韓、日、キルギスタンの会員数を明らかにしたが、中国の会員については「宗教活動が自由ではない」ことを理由に提示しなかった。
 中国は、同団体に中国内のメンバーの名前と所在の公表を要求したが、それに応じなかったことを「非礼」と反発、認可に反対した。
 米国のジョン・サッミス代表は、特定の国の会員の名前や住所を提示する義務はないとして、今回は認可を要求しないが、申請を非政府組織(NGO)委員会に差し戻し、条件を満たしているか再検討することを求めた。中国のワン・クン代表は、委員会の権威を損なうとして反対、同団体が質問に正面から答えないのは、無責任であり、委員会に敬意を払うものではない、として国連活動に貢献する能力があるとは思えない、と主張した。
 ロシア、エジプト、キューバ、パキスタン、スーダンなども疑念を表明、インド、インドネシア、中国、マレーシアなどが反対票を投じた。キューバ代表は、キリスト教NGOは「言い逃れ戦術」を取る、と述べた。一方、米、加、仏、独、日本などは認可に賛成した。
 キム会長は28日、韓国で通訳を通じ、社会主義国である中国の立場は理解するが、国連がそのまま同意するべきではなかった、と語った。同団体は中国に宗教的な目的で入ろうとするものではなく、「発展を助ける道を見出そう」としており、政治には関わらない関係を結びたいと言い、将来には認可されることを期待する、と語った。


◎英で新型ウイルス流行、キリスト教会にも影響

 【CJC=東京】新型ウイルス。冬場を迎え南半球で拡大が懸念されているが、英国でも衰えを見せない。7月後半の1週間で患者が10万人発生、前週の5万5000人からほぼ倍増した。死者も31人出ている。英国が国際航空路線のハブ(核心)なことが一因と見られる。
 キリスト教会の日常活動にも影響が出始めた。ミサや聖餐の実施法も変更を迫られている。
 英国国教会は23日、聖餐杯から皆が飲むことを止めるよう主教に通達を出した。保健省から飲食に際して共用食器を使わないようにとの勧告が出たのに対応した。
 カンタベリーとヨークの大主教は、新型ウイルスの爆発的流行が止むまでは、礼拝も公衆衛生の側面を考慮する必要がある、と指摘した。
 ロンドン近郊チェルムズフォード教会では、会堂に入る前にコップの水を空けるように勧めている。流行が収まるまでの措置だ、と言う。「コップの中の水は、感染源となり、ウイルスの伝染経路になる」からだ。
 カトリック教会も聖体のワインを出すのを止めた。聖杯からの伝染を防止するため。


◎「サッカーに宗教は持ち込めないのはおかしい」

 【CJC=東京】国際サッカー連盟(FIFA)のジョセフ・ブラッター会長が、カトリック教会から手厳しい非難を浴びている。カトリック通信CNAによると、同会長はこの6月に南アで行われたコンフェデレーション・カップで優勝したブラジル・チームが肩を寄せ合いながら祈ったのを受け、そのような行動は「危険」であり、「サッカーに宗教が関わる場はない」として、2010年のワールド・カップでは宗教的表現を禁止する、と語ったもの。
 これに対し『ヨハネ・パウロ二世スポーツ財団』のエッディオ・コンスタンティーニ会長が、「キリスト教信仰とカトリック教会が何世紀にもわたり護ってきた倫理価値をスポーツから奪うのは誤りだ。ブラッター会長や連盟は間違っている」と批判した。


◎教皇、聖骸布公開を機にトリノ訪問へ

 【ローマ=CJC】バチカン(ローマ教皇庁)の報道担当フェデリコ・ロンバルディ神父は7月28日、教皇ベネディクト十六世が聖骸布公開を機にトリノを訪問する可能性がある、と語った。
 教皇は2008年6月、聖骸布を10年春に公開する、と発表している。実現すれば2000年以来、10年ぶり。
 教皇は、26日、トリノ大司教セヴェリノ・ポレット枢機卿と会食した際、訪問の意図を明かした。ただ正確な日程は明らかにされていない。


◎教皇、北伊での休暇終え夏の離宮カステルガンドルフォへ

 【CJC=東京】教皇ベネディクト十六世は7月29日、北イタリアでの夏期休暇を終え、ローマ郊外カステルガンドルフォの離宮に入った。
 教皇は7月13日からヴァレ・ダオスタ州のレ・コンブで夏季休暇を過ごしていた。滞在中、教皇は右手首を骨折されたが、経過は順調だった。
 レ・コンブを後にするにあたり、最終日、教皇は関係者に心からの挨拶を述べ、トリノ経由、空路ローマに到着、同日夜、郊外にあるカステルガンドルフォに入った。


◎聖ピオ十世会の指導者が今秋にもバチカンと協議開始を予測

 【CJC=東京】カトリック保守派『聖ピオ十世会』の会長ベルナール・フェレイ司教が、今秋にもバチカン(ローマ教皇庁)当局と直接協議を始めることを望んでいる、と語った。故マルセル・ルフェーブル司教が創設した同会は、聖座との関係が絶縁しているが、教義上の問題で合意に達することを目指すと言う。
 イタリアのカトリック系通信とのインタビューで、フェレイ司教は協議をいつから行うか、日程は確定していないが、合意に到達できる、と楽観的な見方を明らかにした。
 ただ第二バチカン公会議で定められた教説についてこれまで批判して来た点で妥協するつもりはない、と語っている。


◎「ハリー・ポッターと謎のプリンス」をバチカン紙が称賛

 【CJC=東京】イギリスの児童文学作家J・K・ローリング原作の映画「ハリー・ポッターと謎のプリンス」を、バチカン(ローマ教皇庁)機関紙ロッセルバトレ・ロマノが文化欄の批評で、善が悪に打ち勝つべきであることと、「それが時には犠牲が必要」なことを明確にした、と称賛した。ただ原作者のJ・K・ローリングは超越的な存在について全く触れていない、と批判している。
 2003年に、教理省長官ヨーゼフ・ラッツィンガー枢機卿(現教皇ベネディクト十六世)は、ハリー・ポッター」シリーズには、子どもたちのキリスト教信仰を損ないかねない「巧みな誘惑」が含まれていると警告した。


◎同性愛主教を認めた米聖公会は分派になる、と英神学者

 【CJC=東京】米聖公会総会が7月14日、同性愛主教の叙階停止措置を解除することを決定したこと受け、新約聖書学者の英ダラム主教ニコラス・トーマス・ライト氏が15日、米聖公会は、、『聖公会共同体』から明らかに離脱、正式に「分派」を形成することになる、と英紙タイムズで指摘した。「貞節」はキリスト者にとって、自由に選択できるものではない、とも主張している。
 ライト氏は、イエス・キリスト復活の史実性に関する研究で知られ、信徒向けにも多数の著作がある。


◎南アのバス会社がキリスト教映画の車内上映強行

 【ケープタウン=ENI・CJC】南アの国内バス路線を運行するインターケイプ交通社が、乗客から苦情が出ているもののキリスト教映画の車内上映を継続する、と発表した。同社はバス65台を所有、月間6万〜10万人を輸送している。
 「わが社は信仰厚いし、キリスト教を基盤にした娯楽を提供すべきだと信じている」と同社のアドレ・ザンドバーグ報道担当は語った。
 車内上映を請け負っているハンブル・パイ・エンタテインメント社は、乗客15万人に調査した結果、25%は「完全に満足」ではなかったが、苦情を言った人は僅か3人だった、と言う。
 ハンブル・パイ社のピート・ルー部長は、キリスト者だという南ア市民の8割のために提供している、と語った。映画を見ることを強制されるわけではなく、家族の価値を強調する内容は性的にきわどいものや暴力的なものを避けている、と言う。現地紙スターが7月24日報じた。
 乗客は車内のテレビ・スクリーンを操作出来ない。上映されるのは、創造論者の見方に立って野生生活を記録したドキュメンタリー形式のものや、映画、音楽、広告など。
 現地のケープトーク・ラジオに7月24日電話して来た女性は、ポートエリザベスからケープタウンまでの800キロのバス旅行で、見なければならなかった「ゴスペル」番組で不愉快だった、と言う。
 インターネット・サイトにも乗客が、「旅のほとんどで、一連の過激なキリスト教宣伝、それも粗雑で不誠実なものから逃れられなかった」と書き込んでいる。
 両社の担当者が出した声明では「巨大映画会社がやっているように誰かのノドに何でも流し込むことを強制してはいない。オカルト、性、魔法を強制してもいない。それを受け入れるかどうかは自分で決めることが出来る」と述べている。


《メディア展望》

  =カトリック新聞(8月2日・休刊)=https://www.cwjpn.com

  =キリスト新聞(8月1日)=https://www.kirishin.com
★日基教団教区総会=教区内で意見対立も=「連帯金」問題など新たな争点に
★米聖公会=同性愛主教叙階停止を解除=同性間の結合も祝福へ向けて検討
★離脱8グループが新教派設立=「北米アングリカン教会」
★地域に開かれた"ミッション"を=聖トマス大「募集停止」で市民らがシンポ
★平山正実氏ら専門家「自死遺族を理解して!」="名誉回復宣言"を作成
★欧州教会会議=2010年を移住者と連帯強化する年に

  =クリスチャン新聞(8月2日)=https://jpnews.org
★シンポ地方伝道 佐渡で初開催=教会閉鎖統合の中 離島伝道の志継いで
★新潟中越沖地震から2年=今年も再起礼拝=全壊教会再建まで続ける
★バプテスト同盟=按手礼20年ぶり改訂=執行主体を教会に移行
★バラ宣教師のひ孫も祝辞=宣教150年記念晩餐会
★教会あるのは有人離島の5%だけ=過疎地平均を上回る離島の老齢化、人口減
★四川地震での再建活動=教会ボランティア拡大


           ●世界キリスト教情報●ご案内
 ☆活動をご紹介 ........................... https://homepage3.nifty.com/cjc-skj/
 ☆既刊号をご覧頂くには .............................. https://cjcskj.exblog.jp/
 ☆記事検索は『教会と神学』(小原克博氏制作)をご利用願います。
            ........................... https://www.kohara.ac/church/

月別の記事一覧