世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第953信(2009.04.27)

  • 全メキシコのカトリック教会、ミサを中止
  • 米女子修道女のリーダーシップをバチカンが調査
  • プロテスタント指導者が武器輸出者ドイツの役割を非難
  • カルヴァン記念日はプロテスタント「労働倫理」を問題に
  • 米長老教会の同性愛聖職者なお容認ならず
  • 『ワールトワイド・チャーチ・オブ・ゴッド』が改名
  • カラチYMCA不法占拠にキリスト者200人がデモ
  • カルト教団『摂理』元教祖に懲役10年の実刑確定
  • 香港に『ノアの箱舟』誕生へ
  • ラテンアメリカ教会協の新総幹事にギース氏
  • ゴスペル歌手ティモシー・ライト死去、61歳
  • 《メディア展望》

◎全メキシコのカトリック教会、ミサを中止

 【CJC=東京】豚インフルエンザの感染が拡大しているメキシコで、カトリック教会のノルベルト・リヴェラ・カレラ大司教が、全土の教会で日曜のミサや諸活動を中止するよう指示した、と現地紙が報じている。
 教会は、個人が祈りをささげる場合には扉をあけることにしているが、多数が集まって来た時の対応は未定のようだ。
 メキシコ政府は、首都圏の公立学校や公共施設を最低10日間閉鎖することを検討中という。


◎米女子修道女のリーダーシップをバチカンが調査

 【CJC=東京】バチカン(ローマ教皇庁)教理省は、米国の『女子修道女リーダーシップ会議』(LCWR)に教義的調査を開始した。バチカンは昨年12月、全米の女子修道会などの「生活の質」を評価する、と発表していた。
 教理省はLCWR関係者に新たに「教義的調査」を行うと2月20日、書簡で通知していた。同省長官のウイリアム・ジョセフ・レヴァダ枢機卿からの書簡をLCWRは3月10日受領した。レヴァダ枢機卿は、その書簡で、初め2001年に最初の教義面での関心を抱いてから調査に着手していた、ことを明らかにした。
 同枢機卿は2005年に教皇ベネディクト十六世によって教理省長官に任命されるまではサンフランシスコ大司教だった。
 LCWC幹部は4月2日、1500以上の加盟修道会に調査に関する書簡を送った。LCWCは、米国の修道女6万8000人の95%を擁している。
 LCWCは米カトリック専門紙ナショナル・カトリック・レポーターの取材に「この時にLCWRはこの評価の手続きについても、完了時期についても知らされていない。もっと情報が得られるなら、評価に参加するために適切な準備が出来る」と答えている。
 バチカンの評価が必要になったのは、レヴァダ枢機卿によると、リーダーシップ会議と教理省との2001年にローマで開かれた会合で、1994年の使徒的書簡「オルディナティオ・サセルドタリス(聖職への叙階について)」、カトリック教会以外のキリスト教共同体は不完全なものとする2000年の教理省宣言「ドミヌス・イエスス」と「同性愛問題」の受け止めについて報告するよう求められてからのもの。


◎プロテスタント指導者が武器輸出者ドイツの役割を非難

 【トリーア(独)=ENI・CJC】ドイツのプロテスタント教会の統合組織『ドイツ福音教会』を率いるウォルフガング・ユベール監督は主要な武器輸出業者としてのドイツの役割を強調し、ヨーロッパの最大の武器輸出国になった事実を非難した。「ドイツからの武器輸出は年々13%増大した」と言う。
 同監督は4月10日にベルリンで聖金曜日の説教を行った際、「私たちの国は今では武器貿易において米露に次いでおり、ヨーロッパ諸国の先頭に立っている」と述べた。
 同監督は、それなしでも財政黒字は達成可能として、ドイツの強力な武器輸出産業を非難した。
 ベルリンのターゲスピーゲル紙は、武器輸出先が126国に上っており、2007年に政府が承認した額は87億ユーロ(約1兆1200億円)に達している、とウェブサイト上で報じた。これは前年比13%増。
 ユベール監督は、世界の危険地域が武器輸出の最終目的地となり得ることは容認できず、恐ろしい結果に責任がある関係者に警告を発した。「ドイツ軍兵士が、ドイツで作られた武器を用いた暴力を阻止しようとしている国外任務に派遣されることになる」として「私たちの義務は、武器の力で死を起こさないよう危険な暴力を防止することだ 」と言う。


◎カルヴァン記念日はプロテスタント「労働倫理」を問題に

 【トリーア(独)=ENI・CJC】ドイツ福音教会のマルゴット・ケースマン監督は、16世紀の神学者ジャン・カルヴァン(1509〜1564)によるプロテスタント労働倫理を、現在の社会、経済状況下では行きすぎになると批判した。
 プロテスタント宗教改革の「揺りかご」でもあるジュネーブで果たした役割で知られるカルヴァンの生誕500年を記念して開かれたフォーラムで、「神の愛は、社会の中で強く、生産的な人々にだけあてはまるのではない」とケースマン監督はコメントした。同監督は、成果主義の業績が、社会で非常に重要とされるような時に、そのように主張することが重要だと信じると語った。独プロテスタント通信EPDが報じた。
 ベルリンのドイツ歴史博物館で4月15日、同監督は「より多く生産する人々は、より多く祝福される。燃え尽き症候群の時代に、私たちは『この倫理によって何を引き起こしたか』自問する必要がある」と語った。
 カルヴァンは、プロテスタント労働倫理とされ、資本主義の成立に大きな役割を果たし、「義務と目的」の意義を広めた。
 ベルリン討論フォーラムは、同博物館がカルヴァン生誕500周年記念に企画したカルヴァン生誕500周年記念イベントの最初の催し。ケースマン監督のテーマは規律に関するものだった。その後7月19日まで1週間ごとに金銭、抵抗、イメージ、民主主義といったテーマが取り上げられる。
 フォーラムは「カルビニズム=ドイツとヨーロッパにおける改革派プロテスタント」というカルヴァンの生涯と働きに関する展示の一環をなしている。歴史的な文書、美術品、礼拝用品など360点以上をそろえたベルリン博物館の展示は『カルヴァン年』の間ヨーロッパで最大のもの。


◎米長老教会の同性愛聖職者なお容認ならず

 【CJC=東京】米長老教会(PCUSA=信徒約230万人)で進められていた「同姓愛聖職者容認」は、昨年夏の大会で決議されたが、全米173の中会の多数が批准する必要があった。4月25日に2中会が批准しないことを決め、批准は少数に止まることが確定した。
 牧師、ディーコン、長老候補者は「1人の男子と1人の女子との間の結婚という誓約または独身の貞潔という節操を保つ」ことを必須としていたが、それを除外して同性愛聖職者を容認しようとする「同姓愛聖職者容認」が先送りされる形となった。
 同派ではこれまでにも同様な経過があったが、中会の賛否の差は縮小しているという。


◎『ワールトワイド・チャーチ・オブ・ゴッド』が改名

 【CJC=東京】米カリフォルニア州グレンドラに本拠を置く『ワールトワイド・チャーチ・オブ・ゴッド』(WCG)が4月3日に『グレイス・コミュニオン・インターナショナル』改名した。これまでの名称は「登録商標」として保持し、個々の教会が名称使用を希望する際には今後も認める。
 WCGは1934年にハーバート・W・アームストロング氏が設立した。当初は『ラジオ・チャーチ・オブ・ゴッド』と呼ばれ、1968年に改名した。
 アームストロング氏が1986年に死去した後、独自色の強かった教説を再検討し、90年代半ばまでに正統的教義への改革を完了したとしている。現在理事長はジョセフ・W・トカッチ氏。米国福音同盟(NAE)に加盟している。会員は約4万2000人、教会は900弱。
 1886年に設立された『チャーチ オブ ゴッド教団』とは別の教団。


◎カラチYMCA不法占拠にキリスト者200人がデモ

 【CJC=東京】200人以上のキリスト者住民が4月20日、パキスタンのカラチYMCAが運営する学校の前に集まり抗議した、と米宣教専門ANS通信が報じた。同YMCAのホステルや運動場を暴力団が「不法占拠」していることに抗議するもの。暴力団は結婚式などの集会に使用している。
 抗議参加者は学童から高齢の女性に至るまでさまざまで、退去を求めるバナーやプラカードを掲げていた。YMCAバチャオ・コミッティーが主催した抗議デモの指揮者は、前シンド集会に議会議員のミカエル・ジャヴァイド氏。
 同氏によると、デモ隊はカラチ記者クラブを目指して行進したが、司法当局に阻止された。当日は日頃に増して多数の警官や兵士が出動していたが、デモ隊がYMCAのそばにある州知事公館に向かうのを警戒したものと見られる。
 ジャヴェイド氏は当局側に、デモ隊はYMCAの校門まで行き、「不法占拠を止めさせるために祈りたいのだ」と折衝、行進の許可を求めることを条件に認められた。


◎カルト教団『摂理』元教祖に懲役10年の実刑確定

 【CJC=東京】韓国大法院(日本の最高裁判所に相当)第2部(ヤン・チャンス裁判長)は4月23日、女性信者らに対し性的暴行を加えたとされる、宗教団体『摂理』(韓国名=基督教福音宣教会=JMS)の鄭明析(チョン・ミョンソク)総裁(64)に、懲役10年の実刑とした1・2審の判決を支持した。朝鮮日報(日本語電子版)が報じた。
 鄭被告は2001年から06年まで、若い女性信者5人をマレーシアや香港などへ呼び、性的暴行を加えたとして逮捕・起訴されていた。


◎香港に『ノアの箱舟』誕生へ

 【CJC=東京】大洪水に見舞われることを告げられ、箱舟を作り避難したノアの話は旧約聖書で良く知られているが、世界経済が大洪水に襲われている中で、香港に『ノアの箱舟』が登場する。
 億万長者のコク兄弟が香港港近くの島2万5000平方メートルの敷地に建設したもので、長さ140メートル弱、最上部には高級ホテルが開業するほか、レストランや子ども向けの博物館がある。ファイバーグラス製の動物67組が展示される。「金融の津波は終わるだろう」と『ノアの箱舟計画』担当のスペンサー・ルー氏は、17年も掛けて準備してきただけに、開業を控えて前向きだ。
 『ノアの箱舟』は、オランダにもあり、そこでは実際に家畜を収容した箱舟が水に浮かんではいるものの、大きさは聖書に記されているものの5分の1だ。香港の箱舟は聖書の記述に従って作られたのが売り物という。
 大洪水は考古学的にも実在したと見られ、箱舟はトルコのアララト山にたどり着いた、と記されていることから、キリスト教世界の関心をかき立て、アララト山に痕跡を尋ねる探査隊が結成されたり、気候変動への警告として環境保護団体グリーンピースがアララト山に箱舟を建造するなどの例があるほか、カナダ・ニューブランズウィック州フロレンスビルにも長さ90メートルのものが建設された。これは教会事務所や聖書学校として使われている。
 香港の箱舟の総工費は明らかにされていないが、中国本土からの観光客を呼ぶ願いが込められている。ただキリスト教のことを知らない人たちが『ノアの箱舟』に魅力を感じるかは未知数だ。


◎ラテンアメリカ教会協の新総幹事にギース氏

 【CJC=東京】ラテンアメリカ教会協議会(CLAI)は3月19〜22日、ペルーのリマで執行会議を開催したが、席上、イスラエル・バチスタ総幹事の退任に伴い、後任にブラジルのルーテル信条福音教会のニルトン・ギーズ牧師(49)が選出された。
 同氏はブラジル・サンレオポルドのルーテル神学校で学び、現在、キューバのマタンザス・プロテスタント神学校で教鞭をとっている。ブラジル、コスタリカ、キューバで牧会経験がある。
 CLAIは本部をエクアドルのキトーに置く。ラテンアメリカとカリブ海地域の主にプロテスタント教会140派が加入している。


◎ゴスペル歌手ティモシー・ライト死去、61歳

 【CJC=東京】「ゴズペルのゴッドファーザー」と呼ばれた歌手のティモシー・ライト氏が4月23日、ニューヨークのブロンクス・ベテラン病院で死去した。61歳。昨年7月、ペンシルベニア州ロガントン付近の高速道路上で自動車事故に巻き込まれ重傷を負い入院していた。同乗していたベティ夫人は即死、孫も病院に運ばれたが死去した。
 ライト氏はニューヨーク市ブルックリンのクラウンハイツにある『チャーチ・オブ・ゴッド・イン・クライスト』派のグレイス・タバーナクル・クリスチャン・センター牧師。2007年発表の最近作「ジーザス、ジーザス、ジーザス」など作曲、録音は多数に上る・
 地元の教会のために12歳の時からピアノ演奏を始め、20代初めにブルックリンのワシントン・テンプルの音楽監督に就任している。音楽業界で最も栄誉ある賞とされるグラミー賞にノミネートされたこともある。
 ライト氏らは当時、デトロイトで開催された『チャーチ・オブ・ゴッド・イン・クライスト』派の集会から帰宅の途中、事故にあった。


《メディア展望》

  =カトリック新聞(4月26日)=https://www.cwjpn.com
★景気依然減退=いのちを守れ=カリタスジャパン=緊急募金と支援続く
★「青年活動を変えよう」=新潟教区で"集い"始まる 
★教皇82歳=控えめに祝う
★タイ=反政府デモの影響で記念ミサ参加者激減
★ベトナムと使徒座外交関係=「政治的意思」で前進も
★子どもへの性的暴力に対応示す手引き発行=子どもと女性の権利擁護のためのデスク

  =キリスト新聞(4月25日)=https://www.kirishin.com
★NCC新総幹事・飯島信氏に聞く="教会に仕えるために"
★ワールドビジョン・インターナショナル=新総裁にジェンキンズ氏
★北朝鮮=救援NGOに活動中止を指示=オバマ政権の姿勢に反発か?
★「賛美歌を自分の言葉で...」=国分さん・岩本さん=メロディーのスピリット生かす
★チャイルド・ファンド=認定NPO法人に=寄付金控除など優遇措置
★「蟹工船」=装い新たに映画化=連帯の難しさも描く

  =クリスチャン新聞(4月26日)=https://jpnews.org
★長野・上田市=大学も人柄買う「学生宣教師」=韓国から留学生9人やってきた
★日朝和解キリスト者の視点語る=日朝国交促進国民協会討論=「拉致」解決に制裁強化を懸念
★9・11テロの疑問を検証=国会で追及の藤田幸久議員が出版
★日本ホーリネス教団=任命制度を再検討=新教団委員長に郷家一二三氏
★日本ホーリネス教団=牧師性加害事件検証へ=再発防止決意を実質化
★イムマヌエル綜合伝道団=信徒参画を促進=人権問題で委員会も


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