世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第950信(2009.04.06)

  • 国連の「宗教中傷」決議に懸念高まる
  • アフリカの今日の挑戦に期待、教皇一般接見
  • 米司教会議は「レイキ」を迷信、と評価
  • 米経済危機は教会にとって難局と好機の両面
  • 英で10万人以上が「洗礼破棄証明書」ダウンロード
  • 6万人がバチカンにコンドーム郵送?
  • 「プレイモ・ビベル」で聖書物語を再現した牧師は著作権侵害
  • 水道凍結、幼児洗礼にレモン味のコーラ=ノルウェー
  • 《めでぃあめも》
  • 《メディア展望》

◎国連の「宗教中傷」決議に懸念高まる

 【ジュネーブ=ENI・CJC】宗教思想を保護する国連人権理事会の新決議は、表現の自由を犠牲にする懸念がある、と非宗教、宗教、メディア関係の約200団体が表決に先立ち共同声明を発表した。
 3月26日、国連人権理事会は、悪意の発言や「宗教の中傷」に反対する決議を採択した。加盟国を拘束するものではない。決議には「イスラム教が人権侵害やテロとしばしば誤って関連付けられる」と書き込まれている。同種の提案は1999年にパキスタンが行ったのが初めて。パキスタンは今回も「宗教の中傷」決議の主要な提案国。
 「ある宗教が中傷された、と誰が、いつ決定するのか」と米セブンスデー・アドベンチスト教会法律部門のバリー・バッシー担当。発言は同派のニュース・ネットワークで3月27日報じられた。「(この決議)は権力を濫用する可能性という危険が多すぎる」と言う。来年に更新決議が出される時に、反対の声を集約することを同氏は呼びかけている。
 国連人権理事会は、人権侵害に取り組むため、国連人権委員会の後継として、2006年に設立された。
 非宗教、宗教、メディア関係団体が表決に先立ち発表した共同声明は、「宗教の中傷」決議が「特定の国では人権活動家、宗教的少数者などの独自の声を黙らせ威嚇するために」使われる、と警告している。
 ヒューマニスト、無神論者、合理主義者、教育宗教分離主義者らの組織『国際ヒューマニスト倫理連合』も共同声明を支持、「宗教の中傷」という概念には「国内法や国際法的な基盤がなく」「個人を危害から保護はするが、信仰を批判的な調査からは保護せず、人権の意味自体を変えることになる」と述べている。
 決議は賛成23、反対11、危険13票で通過したが、これまでに比べ消極姿勢が強まっている。


◎アフリカの今日の挑戦に期待、教皇一般接見

 【CJC=東京】教皇ベネディクト十六世は、バチカン(ローマ教皇庁)で4月1日、水曜恒例の一般接見を行ない、アフリカ司牧訪問(カメルーン、アンゴラ)を振り返って、独立後の政治・社会の安定、内戦の傷跡からの復興をめざす今日のアフリカが、多くの困難の中にも神のみ言葉に希望を置き、真の和解と平和ある未来を築いていけるように、との期待を表明した。バチカン放送(日本語電子版)が報じた。
 この10月、バチカンで開催する第2回アフリカ特別シノドスは、すでにアフリカの信者たちの心の中で始まっていると教皇は述べ、討議要綱発表後の司教らとの会合でも、神学・司牧の観点から見たアフリカの歴史を共に考察しつつ、シノドス準備のための率直で有意義な話し合いができたと述べた。
 戦争はすべてを失わせ、平和はすべての再生を可能にするが、一国の再興には大きな倫理的エネルギーが必要であり、そのためにも教会は教育などの事業を通して人々の意識を内面から刷新・育成するなど重要な使命を果たしていると、教皇は教会の社会における役割を指摘した。


◎米司教会議は「レイキ」を迷信、と評価

 【CJC=東京】米司教会議は、「レイキ(霊気)」療法を迷信に相当するとみなして、キリスト教信仰と相容れず、非科学的で、カトリック制度に不適当、と評価する文書「代替療法としての霊気評価のための指針」を3月25日発表した。
 米国では「ウスイ式レイキ」として知られている療法で、1800年代末に臼井甕男(うすい・みかお)氏が創始した「臼井霊気療法」を指すものと見られる。
 指針は「レイキは科学的信頼性を欠く」とし、科学界や医学界が「効果的な療法」と認めていないと付け加えている。
 指針は、レイキを「スピリチュアルな」種類の癒しと見ており、レイキ療法と神癒とには根本的相違があり、「レイキを信用するカトリック者は迷信という、信仰でも科学でもない領域で動かされている」とする。
 迷信は「人の宗教心と実践を誤った方向に向けることで、神への礼拝を破壊する」として「人々が無知から迷信に陥る中で、出来る限りそのような無知を取り除くことは、教会の名において教える人全ての責任」と述べている。
 指針(英文)はhttps://www.usccb.org/dpp/doctrine.htmに掲載された。


◎米経済危機は教会にとって難局と好機の両面

 【CJC=東京】米国の経済危機にも関わらず、プロテスタントの礼拝出席者が減らず、献金にも力を入れていることが、キリスト教関連調査会社『ライフウェイ・リサーチ』の2月の調べで明らかになった。牧師1000人に対する調査では2008年の献金額は前年より4%増加している。
 回答教会の26%では献金額が1割以上増加。逆に1割以上減少したのは12%だった。
ただ回答者の半数以上が、教会も不況の影響を受けていると回答、「猛烈に影響を受けた」との回答も7%あった。影響なかったのは3割。
 一方、失業や経済的不安などから、教会に助けを求める人々が全米各地で増えていることが明らかになった。62%が信者以外の人々からの支援要請が増えたと回答。信者からの支援要請が増えたという回答は31%だった。また4割の教会では信者に失業している人がいると答え、37%は生活に困った人への教会からの支援額が増えたと答えている。


◎英で10万人以上が「洗礼破棄証明書」ダウンロード

 【CJC=東京】AFP通信によると、英国では、キリスト教の信仰を捨てるため、ここ最近で10万人以上がインターネット上で「洗礼破棄証明書」をダウンロードしているという。
 『ナショナル・セキュラー協会』(NSS)によって立ち上げられたもので、ロンドンなど各地で行われている無神論キャンペーンに続くもの。ロンドン市内のバスの側面に「神は多分いない」との広告が出された。
 同協会の関係者は「現在、羊皮紙に書かれた証明書を発行しているが、これまでに1部3ポンド(約400円)で1500枚売れた」と語る。
 英国国教会の広報担当者はAFP通信に「洗礼を破棄することは、個人と神との問題」だとし、同教会の公式な立場として、洗礼の記録を修正しはないという。


◎6万人がバチカンにコンドーム郵送?

 【CJC=東京】伊ANSA通信によると、教皇ベネディクト十六世が、エイズ・ウイルス(HIV)感染予防策としてのコンドーム使用に反対の立場を明確にしたことに対し、イタリアのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)が3月27日までに、抗議のためバチカン(ローマ教皇庁)にコンドームを郵送するようインターネットで呼び掛けた。
 ネット上でこの提案を知ったほかのグループも同様の運動を計画、送付されるコンドーム入りの小包は最終的に数百万個に達する可能性もあるという。


◎「プレイモ・ビベル」で聖書物語を再現した牧師は著作権侵害

 【CJC=東京】聖書の中の物語を3人の娘のために、独ゲオブラ・ブランドステッター社のプレイモビベル人形に手を加え、「アダムとイブ」をはじめとする物語を再現したものを、自身のウェブサイト「プレイモ・ビベル」に2年以上にわたって写真を掲載していたフランクフルトのマルクス・ボムハルド牧師(38)に、同社が著作権を侵害している、と指摘した。
 同氏は、人形をろうそくやヘアドライヤーで溶かすなどの手を加えたことと、サイトに「プレイモビベル」と名づけていること。人形がプラスチック製で燃えやすいので、事故を引き起こしかねないという。
 同社の弁護団はこれを受け、人形を使った一連の活動をやめるよう訴えたが、著作権を侵さない範囲の対処法を検討することで合意した。サイトも「クリッキイ・ビベル」に変えた。


◎水道凍結、幼児洗礼にレモン味のコーラ=ノルウェー

 【CJC=東京】水道が凍結してしまったノルウェー・ストードの教会で、パアル・デイル牧師は幼児洗礼にレモン風味のコーラを使用した。現地紙『ヴァアルト・ランド』が3月31日報じた。
 同牧師は「コーラはすでに炭酸が抜けていた。ただレモンの香りはあった」と語っている。そこで洗礼式後に、事情を赤ちゃんの家族に説明したと言う。
 ストードは首都オスロの西方約240キロの西海岸にある。


《ですくめも》

◆カトリック新聞のウィリアム・グリム編集長(メリノール宣教会司祭)が3月末で6年間の務めを終え退任した。その昔は知らず、いわゆる外人宣教師が日本語新聞の編集長が務まるのか、との危惧を振り払って今日のカトリック新聞を作り上げたことに敬意を表したい。聞くところでは米国(コロンビア大学だったか)でジャーナリズムも勉強されたと言う。
 とにかく近頃の同紙は活気があった。新聞らしい雰囲気があった。「司教団の機関紙」としての枠内ではあっても、伝えるべきは伝えるという姿勢は明確だったようだ。今後の活動に期待する。
 司教団がグリム神父を信頼して紙面作成をまかしたとしたら、それもまた凄いこと。他教派で機関紙をそこまで評価し、編集長の人選に力を入れているか、またそれに応えるだけの人材がいるものと信じたい。(郡山)


《メディア展望》

  =カトリック新聞(4月5日)=https://www.cwjpn.com
★希望を証しするキリスト者に=教皇「世界青年の日」メッセージ
★青年司牧の課題と未来=郡山健次郎司教に聞く=青年の柔軟な心に感動=信仰の基盤養成 継続的に
★「ヤーウェ・イルエ」の読み替え=復活徹夜祭の朗読個所も
★日本人初の海外宣教者 中村長八神父=「列福調査裁判所」が発足=ブラジルのプレジデンテ・プルデンテ教区
★皆で「召命」考えた=大分教区=地区合同で子どもの集い
★フィリピン人信徒の要望に応え=教会が日本語教室

  =キリスト新聞(4月4日)=https://www.kirishin.com
★第1回日韓神学者学術会議=アジア神学めぐり交流本格化=長老会神学大学
★教皇発言に国際機関反発=「感染予防にコンドーム不可欠」
★"遺族の思い無視"と怒り=大阪「合祀イヤです!訴訟」原告が控訴
★バチカン国務省外務局長=上智大で講演="宗教の自由こそ人権守る"
★"蔦の絡まるチャペル"歌碑建立=卒業生ペギー葉山さんの「学生時代」
★キリスト教への姿勢="世俗的"市民の方が寛容=エルサレムのイスラエル研究所調査

  =クリスチャン新聞(4月5日・休刊)=https://jpnews.org


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