世界キリスト教情報 第935信(2008.12.15)
- 米聖公会ロサンゼルス教区が同性愛者の結合祝福を公認
- ロシア正教会モスクワ総主教アレクシー二世9日葬儀
- ロシア正教会、新総主教決定は1月末に
- キリスト者は"低炭素生活"を、とロンドンでデモ
- ブッシュ米大統領が「聖書と進化論は矛盾しない」と語る
- 教会所有地の返還を求めたベトナムのカトリック者起訴
- ベツレヘムのクリスマスはアラビア語の「聖夜」から
- 「神」に宛てた手紙はどこへ?
- 米キリスト教主義の投資会社がゲームを採点
- アベリー・ダレス枢機卿死去
- 中国・重慶のスー・ジシュアン司教死去
- 《メディア展望》
◎米聖公会ロサンゼルス教区が同性愛者の結合祝福を公認
【CJC=東京】米聖公会ロサンゼルス教区はカリフォルニア州リバーサイドで開いた教区会議で12月5日、J・ジョン・ブルノ主教が、同性愛者の結合祝福を認める方針を明らかにした。ただ司祭が祝福を行わないことも認めるという。
同教区は、ロサンゼルスなどカリフォルニア州南部6郡を管轄している。同性愛者の聖職叙階など性問題で保守的な4教区が米聖公会を離脱して新管区設立へ動き出した直後のことだけに関心を集めている。
ただ同教区ではこれまでも実際に祝福が行われており、パサデナのオールセインツ・エピスコパル教会のスーザン・ラッセル司祭は「公然化しただけのこと」と言う。同氏は同性愛者で、米聖公会内の同性愛者や性転換者などで組織する『インテグリティ・USA』の会長。
◎ロシア正教会モスクワ総主教アレクシー二世9日葬儀
【CJC=東京】12月5日に死去したロシア正教会の最高指導者モスクワ総主教アレクシー二世(79)の葬儀が9日、モスクワの救世主キリスト大聖堂で行われた。
葬儀は総主教代理に選ばれたスモレンスクとカリーニングラードのキリル府主教が執行した。モスクワ総主教座と緊張関係にあるコンスタンチノープルのエキュメニカル総主教バルトロメオス一世と療養中のグルジア正教会イリヤ二世総主教が列席して注目された。
葬儀にはドミトリー・メドベージェフ大統領、ウラジーミル・プーチン首相、ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領、モルドバのウラジーミル・ウォロニン大統領ら指導者のほか、カトリック教会、東方正教会、プロテスタント各派などの代表ら数千人が参列した。
メドベージェフ大統領とプーチン首相が並んで立っている傍で、遺体を前にイリヤ総主教は福音書をグルジア語で読み上げた。
メドベージェフ大統領は、9日を全国哀悼の日と宣言した。
遺体はモスクワ市街を通り、遺言に従って北東部にあるボゴヤブレンスキー教会に埋葬された。同教会は、キリスト教が弾圧されたソ連時代も活動を続けていた数少ない教会の一つで、総主教直轄の教会だった。
キリル府主教が葬儀の間に意識を失ったというニュースがロシアのメディアで広く流されたが、モスクワ総主教座は、気持ちが悪くなって座っただけとしている。
◎ロシア正教会、新総主教決定は1月末に
【CJC=東京】ロシア正教会の最高指導者モスクワ総主教アレクシー二世の死去を受け、モスクワで聖主教会議が12月10日開かれた。
総主教代理に選出されたスモレンスクとカリーニングラードのキリル府主教は、来年1月27〜29日に開く教会会議で新総主教を決定すると発表した。インタファクス通信などが伝えた。
新総主教の就任式は来年2月1日、モスクワの救世主キリスト聖堂で開かれる。
◎キリスト者は"低炭素生活"を、とロンドンでデモ
【CJC=東京】キリスト者は「現存する化石燃料」の中で「低炭素生活」を選択すべきだ、と気候変動に関するキリスト教団体『オペレーション・ノア』のマーク・ダウド氏は言う。
同団体と『クリスチャン・エコロジー・リンク』がロンドンのハインドストリート・メソジスト教会で12月8日開催した集会で語ったもので、「来年にコペンハーゲンで開かれる国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP15)に向けて、キリスト者が積極的に行動すべき」と訴えた。
ダウド氏は、バングラデシュなど途上国の多くが、地球温暖化の悪影響を受け、十分な対応策が取れないでいることを指摘した。
『オペレーション・ノア』は、「クリスマス改革」を行い、過度な消費を拒絶することもキリスト者に要求している。
参加者は集会後、パーラメント・スクエアで行なわれた1万人規模のデモに合流した。このデモは、気候変動問題への関心を金融恐慌で薄れさせることのないよう世界の指導者に呼び掛けた。
ロンドンのデモは、ポーランドのポズナニで開催された国連気候変動枠組み条約第14回締約国会議(COP14)に向けて一致行動する国際デーの一環として行なわれた。
◎ブッシュ米大統領が「聖書と進化論は矛盾しない」と語る
【CJC=東京】任期切れ間近のジョージ・W・ブッシュ米大統領が12月8日、ABCテレビのインタビューで、聖書は「1語1句正しいわけではないだろう」との見解を示し、そのうえで神が世界を創造したとの考えと進化論は矛盾しないと語った。
AFP通信によると、大統領は、聖書の考え方と進化論は「どちらも矛盾しないと思う」と述べた。さらに「こんな話をするつもりはなかったのに」と言いながらも「進化論は興味深いテーマだ。進化論では生命の神秘を完全に解明できないと思う」として、その上で「神が地球を、そして世界を創造したと思っている。世界の創造というのは非常に神秘的で、それゆえ全能の力をもつ何者かの関与が必要なのではと思う」と述べた。
◎教会所有地の返還を求めたベトナムのカトリック者起訴
【CJC=東京】ベトナムのハノイでカトリック者8人が公共の秩序を損ない、財産を破壊したとして起訴され、12月8日初公判が行なわれた。AP通信が報じた。
市内ドンダ地区にあるタイハ教会敷地が没収されたことに、信者が返還を求めて今夏、数週間にわたり徹夜の祈りを教会付近で行なったが、その際にれんがの壁を取りこわしたとして告発されたもの。有罪となると最高で禁固7年に処せられる。
敷地を公園にしたハノイ市側は、問題の土地は市有地とし、教会は権利確認書があると主張している。
◎ベツレヘムのクリスマスはアラビア語の「聖夜」から
【CJC=東京】聖地ベツレヘムのクリスマスは11月30日から12月1日まで第8回「ベツレヘム・クリスマス・マーケット」が聖誕教会前のマンジャー広場でアラビア語の「聖夜」が歌われて始まった。市内のパレスチナ人とユダヤ人は共に、観光客の増加を期待しつつ準備に力を入れていた。特に今年は2000年9月に始まった「第二インティファーダ」として知られているパレスチナ人奮起の突発以来初めて暴力行為が減少している。
巨大なサンタクロースの風船が、イエスが誕生したと伝えられる馬小屋跡の前に据え付けられた。市はイルミネーションを飾った。
「ベツレヘム・クリスマス・マーケット」は、ベツレヘム平和センターとベツレヘム商業会議所によって組織された。「地元住民と世界を結ぶ国際的な出会いであることを意図した」と平和センターのジハン・アナスタス氏は語った。
◎「神」に宛てた手紙はどこへ?
【CJC=東京】サンタクロースに願いを込めた手紙の宛て先はどこか、フィンランドだとかメディアで良く取り上げられる話題だが、神様宛ての手紙が届くというニュースがエルサレムから伝わった。
ENI通信によると、神に一番近い所とおもわれているためか、住所をエルサレムとするものが多いが、ただ宛て先を「神」とだけしてあるものも届く、とエルサレム郵便局は言う。
いつから始まったものなのか明確ではないが、イスラエル郵便のアヴィ・ホフマン局長は責任の重さを感じている。年間で2000通近くの手紙は当然「不達」扱いになるが、当局は、ヘロデ王が改築した第二神殿跡とされる「嘆きの壁」(西壁)の石の間に差し込むことにしている。神が直接答えられるという古来からの伝承のある所だ。
キリスト教のクリスマス、ユダヤ教のハヌカが近づき、今年はイスラム教の祭典イード・アル=アドハーが12月8日だったので、「不達箱」から手紙が取り出されたのは9日。
面白いのはサンタクロース宛ての手紙も届くこと。神がどう答えられるのか、は分からない。
◎米キリスト教主義の投資会社がゲームを採点
【CJC=東京】米国のキリスト教主義に基づいて投資を行う会社ティモシー・プランが、2007〜08年に発売されたゲームから「セックス」「裸」「言葉」「ドラッグ」「暴力」「ゲイ・レズビアン」「悪魔崇拝」「カートゥーンな暴力表現」などの項目で採点し高得点となったものを「最も不快なビデオゲーム」としてピックアップした。ゲーム関係サイト『INSIDE』が報じた。
『グランド・セフト・オートIV』がトップの18点。激しい暴力に加えて「攻撃的な冒涜の無数の用途と、神、キリストの誤用」があるという。『セインツ・ロウ2』が同率1位。「セックス」の項目で「ゲームパッドが挑発的に振動し、音響が何を起こっているかを明白にする」とコメントしている。
任天堂ゲームは点数が低く、『ゼルダの伝説=夢幻の砂時計』『マリオパーティ8』『マリオストライカーズ=チャージド』『スーパーマリオギャラクシー』など、いずれも1〜2点、『ポケットモンスター=ダイヤモンド・パール』『ポケモンバトルレボリューション』は0点だった。
ティモシー・プラン社はアルコールや煙草、ギャンブルなどを扱ったり、同性愛者を雇用したり支援する会社に対して投資しないと宣言している。
◎アベリー・ダレス枢機卿死去
【CJC=東京】カトリック修道会イエズス会のニューヨーク管区は、アベリー・ダレス枢機卿が12月14日朝死去した、と発表した。90歳。
長老派信徒で教会でも指導的立場にあり、後にドワイト・アイゼンハワー大統領下で国務長官を務めたジョン・フォスター・ダレス氏の息子としてニューヨーク州オーバーンで1918年8月24日生まれた。
ハーバード大学在学中の40年にカトリックに改宗した。第二次世界大戦では海軍に従軍した。46年にイエズス会に入会、10年後司祭に叙階。60年にローマの教皇庁立グレゴリアン大学で博士号を得た。ウッドストック大学、アメリカ・カトリック大学などで神学を教え、88年からこの4月までフォーダム大学の「宗教と社会に関するローレンス・J・マギンリー教授」を務めていた。
2001年に教皇ヨハネ・パウロ二世によって枢機卿に任命された。司教ではない神学者としては米国で最初。神学関係の論文は750を超し、著書も「弁証学の歴史」など多数。
海軍士官時代に発症したポストポリオ症候群に悩まされ、車いす生活を送った。話すことが出来なくなっても、読書を欠かさず、コンピュータのキーをゆっくりたたいたり、メモ帳に書き付けることでコミュニショーンを果たした。
4月にフォーダム大学教授を辞任した際、「90歳になっても、生産的に働くことができた。麻痺が進み、話すことができなくなるにつれ、福音書の中に出てくる多くの麻痺患者や言語障害者と自分が同じだということが分かるようになった。私が受けた、愛のこもり練達した世話と、そしてキリストにある永遠の生命への希望とに感謝する。神が今、弱さの間に私を召されるなら、私は、神の力が弱さにおいて完全にされることをよく分かっている。"神の名に祝福あれ!"」と記している。
◎中国・重慶のスー・ジシュアン司教死去
【CJC=東京】中国・重慶市万県のジョセフ・スー・ジシュアン司教が12月8日、多臓器不全のため死去した。92歳。
1916年、四川省生まれ。49年に司祭叙階。89年に補佐司教に任命。98年、中国政府は、アジア司教会議への出席を希望していた前任者のマティアス・ドゥアン・インミン司教とスー補佐司教(当時)の出国を禁止した。
《メディア展望》
=カトリック新聞(12月14日)=https://www.cwjpn.com
★自殺生む社会と向き合う=カリタスジャパン=公開勉強会を開始
★5小教区閉じ新教会設立=大阪教区大阪梅田教会の挑戦
★日宗連=第3回宗教と生命倫理シンポジウム=脳死からの臓器移植めぐり、いのちの問題論じ合う
★教皇庁福音宣教省長官から=新神学院、正式に承認
★インド=反キリスト者暴力=犠牲者追悼式典に諸宗教指導者が参列
=キリスト新聞(12月13日)=https://www.kirishin.com
★188殉教者を偲ぶ=各地から約3万人=国内初の列福式開催=教皇代理マルティンス枢機卿が「宣言」
★カトリック・ロシア正教会="対談実現"で食い違い
★視覚障害牧師が交流=「伝道に不可欠」=IT活用法めぐり意見交換
★青山学院・マイクロソフトが産学協同=メールなど在学生ら15万人規模で提供
★カリタスジャパンHIV/AIDSデスク="神の愛にふれられるよう"=世界エイズデーで祈り呼びかけ
=クリスチャン新聞(12月14日)=https://jpnews.org
★歳末助け合いの元祖=救世軍社会鍋100年=「1匹の羊」の友となり=目の前の失業者にクリスマスの給食から
★ドイツ教会=「ユダヤ人迫害反対できず」=キリスト者の怠慢指摘、共同声明
★「ピースリボン」裁判上告棄却=原告・佐藤美和子さん「やることはまだある」=少数者を大事にする学校目指し
★ジュネーブでカルヴァン展=来年は生誕500年
★第49回バックストン聖会=聖霊による喜び、潔め強調
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