世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第933信(2008.12.01)

  • ナイジェリアでキリスト者とイスラム教徒が衝突
  • 教皇、インドとナイジェリアの犠牲者に祈り
  • カストロ大統領がカトリックの列福式に参列
  • 教皇、来春に聖地訪問か
  • シリアで8世紀の教会を発掘
  • ジュネーブでカルヴァン展、笑いとワインに注目
  • ドイツ教会が「キリスト型チョコ」を非難
  • クリスマス商戦のニューヨークで「無買デー」デモ
  • 英アルバム・チャートで「ザ・プリースツ」が5位に
  • 《メディア展望》

◎ナイジェリアでキリスト者とイスラム教徒が衝突

 【CJC=東京】ナイジェリア中部プラトー州の州都ジョスで、キリスト者とイスラム教住民が衝突、家屋や教会、モスク(イスラム礼拝所)が放火された。11月29日までに数百人が死亡、数千人が避難生活を強いられている。
 市内最大のモスクのイスラム聖職者は、300人以上の遺体を収容、183人の遺体が埋葬待ちだ、と語っている。キリスト者の遺体はモスクに収容されないため、死者はさらに多いと見られる。政府はこれまで犠牲者の数を公表していない。
 昨年5月のウマル・ヤラドゥア大統領就任以来、宗教紛争としては最悪事態となった。ナイジェリアは両宗教の信者がほぼ半数ずつに分かれている。
 現地で約10年ぶりに実施された地方選挙の結果発表が遅れたのがきっかけで、イスラム教系の全ナイジェリア国民党がキリスト教系の国民民主党に敗北したとのうわさが流れ衝突の発端になったものと見られる。
 ジョスでは2001年9月にも同様の衝突が起き1000人以上が死亡したほか、土地や家畜をめぐり、民族間や宗教間の衝突が相次いでいる。


◎教皇、インドとナイジェリアの犠牲者に祈り

 【CJC=東京】教皇ベネディクト十六世は11月30日、インド・ムンバイでの同時襲撃事件と、ナイジェリアでのキリスト者とイスラム教徒による衝突の犠牲者に黙とうを捧げた。
 バチカンのサンピエトロ広場に集まった信徒たちを前に教皇は「インドのボンベイ(ムンバイ)でのテロリストによる残忍な襲撃で犠牲になった数多くの人びと、またナイジェリアのジョスでの衝突による多くの犠牲者のため、一緒に祈ろう」と語った。


◎カストロ大統領がカトリックの列福式に参列

 【CJC=東京】キューバのラウル・カストロ大統領が11月29日、ホセ・オラジョ・ヴァルデス修道士の列福式に参列した。キューバ人の列福は同国カトリック教会の500年にわたる歴史で初めてのこと。式典は東部のカーマグエイで行われた。
 カストロ大統領の参列は、共産主義政権とカトリック教会との関係改善が進んでいることを示すものと見られる。
 同修道士は、コレラ患者の救済に尽力し、1889年死去した。


◎教皇、来春に聖地訪問か

 【CJC=東京】イスラエルのシモン・ペレス大統領が、教皇ベネディクト十六世に、来年聖地を訪問するよう招待した。イスラエル紙『ハアレッツ』は、教皇が5月第2週の訪問を受諾した、と報じた。
 バチカン(ローマ教皇庁)のフェデリコ・ロンバルディ広報担当は11月27日の記者会見で、教皇は検討中だ、と語った。


◎シリアで8世紀の教会を発掘

 【CJC=東京】シリア中心部、首都ダマスカスの北東250キロのパルミラで、8世紀のものと見られる教会遺跡がシリア=ポーランド考古学チームにより発見された。同国では最大規模と見られている。パルミラ考古博物部門の責任者ワリド・アルハサド氏が11月13日明らかにした。
 パルミラでの発掘で大規模なものとしては4件目となるこの教会、46メートル×27メートルの規模で、柱の高さは6メートル、木製天井の高さは15メートルと見積もられている。
 小型の円形劇場が中庭部分で発見された。専門家はキリスト教儀式が行われたと見ている。「教会の南側と北側に、洗礼、式典、祈りなどのために使われたと思われる部屋が二つあった」とアルハサド氏は付け加えた。
 ソロモン王が設立したと言われるパルミラは、ローマ帝国の統治下には、メソポタミアやペルシャへ行き来する隊商で繁栄した。
 ポーランド・チームは1958年以来、パルミラで活動している。


◎ジュネーブでカルヴァン展、笑いとワインに注目

 【ジュネーブ=ENI・CJC】16世紀の宗教改革者ジャン・カルヴァンは、厳格なプロテスタントとして捉えられがちだが、ジュネーブで、彼の著作の一部を題材としたカリグラフィー(西洋書道)展示会は、これまで知られなかった改革者の一面を示すものとなった。展示会は、2009年のカルヴァン生誕500周年記念イベントの一環として世界改革教会連盟が主催した。
 展示会は、ジュネーブの書家ブリジト・ドンメンの作品13点で構成された。その一つに「笑い、腹一杯食べること、新たな所得、楽器を楽しむこと、ワインを飲むことは禁じられていない」と書かれている。
 「そのすぐ後を読めば、カルヴァンが浪費と貪欲について警告していることは分かるが、彼は人生を楽しむことについて語っているのだ」と同連盟神学・教会一致部門のドゥウェ・フィセル牧師は11月17日の開会式で挨拶した。
 展示された別のテキストには「人は正当で、適切に制御された政府を認知できる。それは苦しむものと貧しいものを正しく取り扱う」とある。フィセル氏は「テキストだけを見ると、まさに政治声明と考えられるが、それは詩篇82章の注釈で、神の前で罪とされること、恐らく今日の金融恐慌を防ぐのに役立つような自覚について述べたことなのだ」と言い、カルヴァンの言葉は思った以上にインスピレーションの源だ、と語った。
 ドンメンの作品12点は、カルヴァン生誕記念にジョン・ノックス国際改革派センターが作成した特製カレンダー2009年版にも使われている。


◎ドイツ教会が「キリスト型チョコ」を非難

 【CJC=東京】ロイター通信によると、ドイツの教会は11月25日、キリストの姿をかたどったチョコレートを販売するビジネスマンを非難した。
 「甘い神」と題されたチョコレートは金ぱくに包まれている。作者のフランク・オインハウゼン氏(54)は、クリスマスシーズンに伝統的な宗教的価値観を復活させたいと言うものの、プロテスタント教会は、今回のアイデアを「悪趣味」と非難、カトリック教会も「不快感を覚える」としている。
 このチョコレートは、100グラム当たり15ユーロ(約1880円)で受注生産となっている。


◎クリスマス商戦のニューヨークで「無買デー」デモ

 【CJC=東京】AFP通信によると、脱色したブロンドの髪をとかしつけ、白いスーツに身を包んだ「ビリー牧師」ことウィリアム・タレンさんは、米国経済の危機に対し「買い物を止める」という斬新な解決法を唱えている。
 彼は本物の牧師ではないし、その教会『チャーチ・オブ・ストップ・ショッピング(買い物を止めよう教会)』も実際には存在しない。
 しかしクリスマス商戦の幕開けとなる感謝祭明けの11月28日、いわゆる「ブラック・フライデー」の日に、タレンさんは自分の呼び掛けこそ「リアルなメッセージだ」と力を込めた。
 「ビリー牧師」はこの日、緑色のクリスマスの妖精に扮した約100人とブラスバンドとニューヨークのユニオン・スクエア周辺で「無買デー」を広める宣伝デモを行った。道行く人は楽しげに、出動した警官隊は困惑した顔で眺めた。
 ニューヨーク在住の57歳の女性は、最初は単なるクリスマスのバンド隊の一つだと思ったが、メッセージを知って一理あると感じたという。


◎英アルバム・チャートで「ザ・プリースツ」が5位に

 【CJC=東京】英アルバム・チャートで、北アイルランド出身の司祭トリオ「ザ・プリースツ」(聖職者)のデビュー作品「ザ・プリースツ」(聖職者)が5位に入った。
 マーチン・オヘイガン兄弟とデービッド・デラジーの3人の司祭が結成したトリオが同名のタイトルで発売したもの。最初の2日間で2万9000枚売り上げたという。


《メディア展望》

  =カトリック新聞(11月30日)=https://www.cwjpn.com
★188殉教者列福式=高らかに列福を宣言=教皇の書簡 マルティンス枢機卿が朗読
★「恐れるな、恐れるな」=神と殉教者が現代に呼び掛け=白柳枢機卿=説教で語る
★国内外の各地から参加=信者でないボランティアも活躍 
★4教会で祈りの集い=前夜祭=浦上・城山・大浦・26聖人
★教皇代理、平和の巡礼=長崎平和公園・原爆落下中心碑・雲仙 殉教地を訪問

  =キリスト新聞(11月29日・休刊)=https://www.kirishin.com

  =クリスチャン新聞(11月30日)=https://jpnews.org
★"模範信者"装い教会乗っ取り=韓国教会に大打撃「新天地イエス教」
★日本基督教団総会=「未受洗者配餐」問題、戒規申立決議が無効に=教団議長に山北宣久氏4選
★インド・オリッサ迫害から3か月=「襲撃対象は最下層の人々」=IGMシャローム子どもの家代表ロイ氏が証言
★WEA総会=飢餓撲滅、世界宣教、迫害下の教会、教会の公共性に焦点=新議長に金相福氏
★JEA理事長ら訪韓=韓国基督教総連合会との協力強化を


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