世界キリスト教情報 第909信(2008.06.16)
- ヨルダン北部で地下礼拝所発掘、「世界最古の教会」か
- 教皇、ブッシュ米大統領を歓迎
- 10月のシノドス討議要綱をバチカン発表
- 米出版専門誌が『絵で見る聖書の歴史』に高い評価
- オランダ救世軍の「ボシャルト少佐」が記念切手に
- 教会の告解室でイタリアのカップル性交渉
- 《メディア展望》
◎ヨルダン北部で地下礼拝所発掘、「世界最古の教会」か
【CJC=東京】ヨルダンの考古学者らが同国北部のリハブで地下洞窟を発掘したが、約2000年前の「世界最古の教会」の可能性がある遺構が見つかった、とAFP通信や英国営BBC放送が報じた。
首都アンマンの北東65キロのリハブに紀元230年に建立された聖ゲオルゲウス教会の地下で発見されたもので、イエスの死後から紀元70年の間に建造されたと見られ、礼拝所と住宅として使われたもののようだ。
ローマ帝国がキリスト教を国教に定めるまでは、迫害を逃れるためキリスト者は秘密裏に信仰を守らなければならなかった。
リハブ考古学センターのアブドル・カデル・アルハッサン所長は、洞窟には、教会成立以前の初期キリスト教儀式の跡が明確に見られると言う。礼拝堂に降りて行く階段は長さ12メートル、幅7メートル。
住居部分とは別に配置された円形の空間はアプスと呼ばれるもので、聖職者用と推定される石の椅子が置かれており、祭壇跡と見られるが、同形式のものは他に1例しかなく、それもキリスト教の礼拝に使われたものだ、とアルハッサン氏は言う。墓地も発見されたが、そこには「ゲオルゲス」と刻まれたランプや陶器の破片があった。生活用の水槽につながっていたトンネルもあった。「トンネルをきれいにし、さらに発掘を進めたい。『神に愛された70人』という記述も聖ゲオルゲウス教会の床に見つかっているし、貨幣や鉄製の十字架も出てきた」、とアルハッサン氏は初期キリスト者が居住していたことが確実と見ている。
ただ、さらに証拠が必要だとする専門家もいる。これまで最古と確認されている教会は聖ゲオルゲウス教会のように3世紀のものだからだ。
アルハッサン氏は、イエスの「70人の弟子」が、ローマ帝国による迫害を逃れるためにエルサレムを脱出、北ヨルダンに複数の教会を建てたが、地下教会に暮らし、儀式も行っていたと主張している。彼らが地下教会をあとにしたのは、ローマ帝国がキリスト教を国教にした392年以後のことだという。
◎教皇、ブッシュ米大統領を歓迎
【CJC=東京】教皇ベネディクト十六世は6月13日、ヨーロッパ歴訪中のジョージ・W・ブッシュ米大統領と会見した。
教皇がブッシュ大統領をバチカンに迎えるのは2007年6月に続き2回目。一方、教皇は今年4月の米国司牧訪問で、大統領と個人会談を行っている。
バチカン放送(日本語電子版)によると、会談は非常に親しい雰囲気の中、場所も通常の教皇宮殿内ではなく、バチカン市国の一角にある聖ヨハネの塔(トッレ・ディ・サン・ジョヴァンニ)の中で行われた。
会談で、教皇は大統領に対し、先の米国訪問時の歓迎と、基本的な道徳価値を守る努力に感謝を述べた。さらに米国とヨーロッパ・中東諸国との外交関係、聖地の平和構築への取り組み、グローバル化、食糧危機、世界貿易などの国際政治問題を話し合った。
◎10月のシノドス討議要綱をバチカン発表
【CJC=東京】世界代表司教会議(シノドス)第12回通常総会の討議要綱が、6月12日、バチカン(ローマ教皇庁)シノドス委員会より発表された。今回のシノドスは2006年10月6日、教皇ベネディクト十六世によって召集された。テーマは「教会生活と宣教における神のみことば」。バチカンを会場に今年10月5日から26日まで開催される。討議要綱は3部から構成され、第1部(全3章)「わたしたちに話しかける神の神秘」、第2部(全2章)「教会生活における神のみことば」、第3部(全3章)「教会の宣教における神のみことば」となっている。
バチカン放送(日本語電子版)によると、討議要綱発表にあたり、シノドス委員会議長ニコラ・エテロヴィッチ大司教は、聖書は世界で最も普及している書物であるにもかかわらず、実際には多く読まれず、正しく理解されていないことを指摘している。
聖書に対する正確な教会的解釈のためには、伝承と聖書、教会の教えの関係についての適切な考察が必要であり、この代表司教会議が神のみことばへの知識と愛を高めるものとなるように、と大司教は強調した。
また大司教は、このシノドスでは命のパンとしてのみことばと聖体の一致をあらためて示すと共に、みことばが交わりを育て、必要としている人々への愛の業を生み、キリスト者が無償で受け取ったものを他の人々と分かち合うために宣教へと心を開いていくように、神のみことばに耳をかたむけることの大切さを考えたいと述べた。
さらに、他のキリスト教教会や諸宗教との対話の上で聖書が持つ重要性や、西洋をはじめ多くの文化の中で真のヒューマニズム追求において共通の基礎とされている聖書の役割も考察されるだろうとしている。
◎米出版専門誌が『絵で見る聖書の歴史』に高い評価
【ポートランド(米オレゴン州)=ANS・CJC】米マルトノマ聖書大学のドナルド・L・ブレイク副学長の最近作『絵で見る聖書の歴史』(9月25日刊行予定)が米出版専門誌『パブリッシャーズ・ウイークリー』6月9日号で「高い評価」を受けた。ブレイク氏が「数千年にわたる歴史のすてきな旅に読者を連れ出し、聖書が触れなかった人間、出来事、危機を取り上げ、多彩で重大な記録に作り上げた」と同誌は指摘している。
豪華本仕立ての同書は驚異的な挿絵と広範な情報を満載、神の言葉を厳密な講壇レベルだけでなく、一般信徒も読み、理解出来るように構成されている。「聖書の重要性は、美しい芸術や、人生の指針としての文章にではなく、生きるための指針としての価値にある」とブレイク氏は言う。
◎オランダ救世軍の「ボシャルト少佐」が記念切手に
【CJC=東京】オランダで救世軍の「ボシャルト少佐」として有名なアリダ・マルガレータ・ボシャルト大佐補(1913年6月8日〜2007年6月25日)が『オランダ郵便』(TNT)記念切手に採用され、9枚セットのシートとして売り出された。1枚44ユーロ・セントでいずれも救世軍の制帽を着用した姿が写真やイラストで表現されている。
大佐補は1934年に救世軍に加わり、第二次大戦後はアムステルダムの「赤線地区」で売春女性の救済に当たるなど、貧困者や麻薬患者など弱者救援に94歳で死ぬまで救世軍で活動した。大佐補に昇進してからも「少佐」と言えば彼女を指すほどに親しまれた。
『オランダ郵便』は、記念切手入りの特製パンフレットも作成、売り出した。大佐補の写真も多数収録されている。履歴はオランダ語の他、英語でも掲載されている。表紙も2言語で「神に仕えるのは人に仕えること、人に仕えるのは神に仕えること」という言葉が記されている。
大佐補は生涯に多数の賞を受けているが、その中で、イスラエルのホロコースト博物館から、戦争中にユダヤ人の子どもを、自転車に乗せて隠れ家に連れて行くなどで救助したことで「国家間の公正」賞を得ている。
◎教会の告解室でイタリアのカップル性交渉
【CJC=東京】ロイター通信によると、6月初めイタリア北部チェゼナの大聖堂で朝のミサが行われている最中に告解部屋で性交渉を行ったとしてイタリア人のカップルが警察に拘束された。
30代前半の2人は公共の場でみだらな行為を行い宗教活動を妨げたとして警告を受けた。2人はその後、行為を行ったことを後悔し、10日夜に現地の司教と面会し、許しを得たという。
《メディア展望》
=カトリック新聞(6月15日)=https://www.cwjpn.com
★定例司教総会=列福式の公式祈願など承認=「司教の集い」公開=パウロ年に向け学ぶ
★ミャンマーサイクロン被害=教皇、軍事政権に=援助受け入れ促す
★カトリック学校フェア=15校が特色アピール=東京
★横浜教区=障がい者や病者と共に歩むため=理解と交流深める
★クルド人の夫 フィリピン人の妻=日本生まれの2人の娘=在留特別許可下りる=難民申請、長い道のり
=キリスト新聞(6月14日)=https://www.kirishin.com
★クルド人に在留許可=ムスターファさん一家=東京入管=難民不認定者へ異例の措置
★四川省大地震="援助"か"伝道"か=被災者救援で改めて浮上
★神輿巡行は「地域イベント」=「政教分離を守る」実行委へ西川将人市長=北海道・旭川
★"キリスト者も見てるぞ"=牧師が抗議Tシャツ
★横田早紀江さんの詩が歌に=「コスモスのように」=いのちのことば社がCD発売
=クリスチャン新聞(6月15日)=https://jpnews.org
★自衛官合祀拒否訴訟最高裁判決から20年=夫を私の信仰で偲ばせて=中谷康子さん「合祀いやです」今も要請
★JEA創立40周年総会=聖書翻訳準備委が最終報告=新理事長に中島秀一氏
★第5回日本伝道会議=事前のプロジェクト開始ー首都圏と道内でプレ大会
★新聖書団体=組織整う=理事長に竿代照夫氏
★四川、ミャンマー被災地支援=物資、医療、心理的ケア...=多岐に急がれる支援
=リバイバル新聞(6月15日)=https://www.revival.co.jp
★三重県=リーダーシップ集中講義=ハガイ・インスティテュート・セミナー=大宣教命令の達成を意識
★大阪=子供を"支配"しない=チア・にっぽんコンベンション
★1%の壁を越えるために=日本民族総福音化運動協議会オープンセミナー
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