世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第907信(2008.06.02)

  • バルトの『教会教義学』がデジタル化しCD--ROMに
  • カスパー枢機卿がアレクセイ二世総主教と会見
  • ミャンマー司教団がバチカン定期訪問
  • オバマ氏にまた聖職者の「白人敵視発言」
  • オバマ氏、問題続きの教会を退会
  • イスラエルで『ユダヤ人はどのようにして発明されたか』がベストセラーに
  • カルト教団から保護の子どもを親元へ、とテキサス州最高裁
  • シェークスピアの墓碑、「呪い」避けつつ改修工事
  • 《メディア展望》

◎バルトの『教会教義学』がデジタル化しCD--ROMに

 【CJC=東京】20世紀最大の神学的業績とされるカール・バルトの『教会教義学』は8000ページにも上る大作でもあるが、ドイツ語版と英語版でこのほどデジタル化され、CD--ROMとして発売されることになった。
 プリンストン神学校とT&T・クラーク出版社がデジタル化に協力した。「学士、学者、牧師は教会教義学のデジタル版を歓迎するだろう。バルトの傑作をデジタル時代に対応させることは、私たちの長年の目標だった」と、プリンストン神学校バルト研究センターのクリフォード・アンダーソン氏は言う。
 デジタル化された「教義学」は、個々の字句や文節だけでなく関連する聖書個所や引用まで検索可能だという。ギリシャ語やラテン語のものも原語がテキストと共に表示されるので、辞書をいちいちひかなくても済む。
 今回、「教義学」CD--ROM版は単独ではロゴス聖書ソフトウエア社から、またアレキサンダー・ストリート・プレス社はチューリヒのTVZ社と協力、『デジタル・カール・バルト・ライブラリー』の一環としてドイツ語と英語で発売。T&T・クラーク出版社は12月にペーパーバック31巻として、特価750ドル(449ポンド=約7万9000円)で発売の予定。eブックとしても発売する。


◎カスパー枢機卿がアレクセイ二世総主教と会見

 【CJC=東京】バチカン(ローマ教皇庁)キリスト教一致推進評議会議長ウォルター・カスパー枢機卿は5月29日、モスクワでアレクセイ2世総主教と会見した。
 同枢機卿は、モスクワ総主教庁の渉外部責任者、スモレンスクとカリーニングラードのキリル府主教の招きに応え、5月21日から30日までロシアを訪問した。
 29日、アレクセイ二世総主教と会見したカスパー枢機卿は、教皇ベネディクト十六世の書簡を手渡した。
 バチカン放送(日本語電子版)によると、書簡で教皇は、カトリックと正教会の関係推進をはじめ、他のキリスト教会や諸宗教との対話に向けての総主教の取り組みに賞賛を述べ、姉妹としての両教会の友好と接近を示す多くのしるしに喜びを表明した。そして、カトリックと正教会が完全な一致に向けての道のりの中でさらに歩み寄ることができるよう願っている。


◎ミャンマー司教団がバチカン定期訪問

 【CJC=東京】ミャンマーの司教らが5月31日までバチカンを定期訪問した。教皇ベネディクト十六世は5月26日、同国司教団の最初のグループと会見した。教皇は、サイクロンによる被害で大きな打撃を受けたミャンマーの状況に深い憂慮を示した。
 バチカン放送(日本語電子版)によると、教皇はミャンマーのカトリック教会の貧しい人々への日頃の連帯を称賛、特に今回の自然災害による非常事態の中でテントや水、食糧、医薬品の配給に尽力している教会の活動をねぎらった。
 1960年代、軍事政権によりカトリック教会の建物や教会系の病院・学校などは国有化され、239人の宣教師が追放された。国内には188人の教区司祭と60人あまりの外国人宣教師が残った。現在、ミャンマーには、マンダレー、ヤンゴン、タウンジーの3つの大司教区と、11教区がある。
 仏教徒が約9割と国民の大多数を占めるミャンマーでは、カトリック信者は1・3%とごく少数で、その活動は軍事政権の厳しい監視下に置かれている。
 同国への教皇の司牧訪問は実現していないが、84年、教皇ヨハネ・パウロ二世が隣国タイへ司牧訪問した際、また86年の南東アジア訪問の際、司教の代表らが教皇に謁見している。また司教団のバチカン定期訪問は80、85、96、01年に行なわれている。


◎オバマ氏にまた聖職者の「白人敵視発言」

 【CJC=東京】米大統領選の民主党候補指名を争うバラク・オバマ上院議員と親交のある白人のマイケル・フレガー神父が、対抗馬のヒラリー・クリントン上院議員を白人優越主義者であるかのようにやゆする発言をしていたことが分かった。
 オバマ氏が師と仰いでいた黒人牧師による白人敵視発言に続く「災難」で、即座に非難声明を出した。
 フレガー神父は、オバマ氏が通っていたシカゴのトリニティ合同教会で5月25日説教した際、クリントン議員の心境を代弁するような形で「わたしは白人。(大統領に)選ばれる資格がある。それなのに、わたしの晴れ舞台を横取りしようとする黒人がいる」と語り、涙をふくまねもした。
 共同通信によると、オバマ氏は声明で「対立をあおる後ろ向きな発言で大変失望した」とフレガー師を非難。フレガー師自身も「クリントン氏の感情を害したのであれば本当に申し訳ない」と謝罪した。


◎オバマ氏、問題続きの教会を退会

 【CJC=東京】米大統領選の民主党指名争いで優勢なバラク・オバマ上院議員は5月31日、ミシェル夫人との結婚式や娘の洗礼式も行うなど長年所属してきたシカゴのトリニティ合同教会に退会届を出したことを明らかにした。11月の本選挙に向け白人層の離反を防ぎ、共和党の攻勢に備える狙いがあるとみられる。
 オバマ氏は熟考の末に退会を決断したと明らかにしたが、問題発言についてはコメントを避け、同教会に対する追及も望まない意向。
 信仰生活の師と仰いだ同教会のジェレミア・ライト牧師が人種対立をあおる発言を繰り返したことに加え、同じく親交のあるカトリックのマイケル・フレガー神父が同教会で、大統領候補指名を争うヒラリー・クリントン上院議員を白人優越主義者であるかのように表現したため、同教会に通い続けることは今後の選挙戦で不利になると判断したとみられる。
 オバマ氏とミシェル夫人は、ライト牧師が4月28日に全米記者クラブで発言して以来、教会退会を検討していたという。ただ、米国には信仰心の厚い有権者も多く、「無所属」状態で選挙戦に臨んでは新たな問題を生じやすいところから、今後、新しい教会を探す意向だ。


◎イスラエルで『ユダヤ人はどのようにして発明されたか』がベストセラーに

 【CJC=東京】建国60周年のイスラエルで、テルアビブ大学シュロモ・サンド教授(61)の著作『ユダヤ人はどのようにして発明されたか=聖書からシオニズムまで』が、建国の原動力である「シオニズム運動」の根拠を否定するとあってかベストセラーになった。現地紙ハアレッツは3月21日、ヘブライ語の自著がイスラエルでどう受け止められるかサンド氏は悲観的だったと報じていた。アラビア語や英語、仏語、ロシア語にも訳される予定。
 著作では、今のユダヤ人の祖先は、北アフリカからのベルベル族、アラビア南部からのアラブ人、カザル帝国からのトルコ人などが4世紀から8世紀に掛けてユダヤ教に改宗した人々であり、古代ユダヤ人の子孫は実はイスラム教かキリスト教を受け入れたパレスチナ人だと主張している。
 サンド氏は「ユダヤ人は民族や人種ではなく、宗教だけが共通点」と指摘。イスラエル政府が標榜(ひょうぼう)する「ユダヤ人国家」には根拠がないと批判している。「パレスチナ人を含む全市民に平等な権利を与える民主国家を目指すべき」というのが著者の主張だ。


◎カルト教団から保護の子どもを親元へ、とテキサス州最高裁

 【CJC=東京】米テキサス州の一夫多妻制宗教団体『末日聖徒イエス・キリスト教会原理派』(FLDS)の施設から、虐待を理由に女性や子ども多数が保護された問題で、テキサス州最高裁は5月29日、同州児童保護局は権限を逸脱しており、保護されている468人の子どもたちを親元に帰すべきだと判示した。
 同州控訴裁は、保護された当時、子どもたちは急迫の危険にさらされていたとは言えないとの判断を下していたが、最高裁もそれを支持したもの。


◎シェークスピアの墓碑、「呪い」避けつつ改修工事

 【CJC=東京】英国西部ストラトフォードアポンエイボンの聖トリニティー教会には劇作家ウィリアム・シェークスピアの墓碑がある。シェークスピアはこの教会で1564年4月26日に洗礼を受け、1616年4月25日に埋葬されたと伝えられている。
 墓碑にシェイクスピア自身の作とされる、「わが骨を動かす者に呪いあれ」との警告文が刻まれている。「シェークスピアゆかりの地」を巡る英国内ツアーの目的の一つにもなっているが、老朽化が進んでいるため、改修工事が行われることになった。
 AFP通信によると、関係者は「呪い」がかからないよう、シェークスピアの遺体を移動させずに改修工事を進める予定だという。「呪い」の警告について関係者は、「われわれが改修工事で墓碑を壊すことはないし、墓所の下部にも降りることもない」として、呪いがかかることはないはずだと主張している。


《メディア展望》

  =カトリック新聞(6月1日)=https://www.cwjpn.com

★大阪・国際協力の日=「外国人を主役に」=歌い、踊り、2500人が堪能
★列福式へ 準備着々=長崎で第2回拡大実行委員会
★日本カトリック管区長協議会会長に住田神父再任
★仙台=教区青年会初の集まり=司教の働き掛けと応援のもと
★貧しい国への援助=公約守って=G8サミットに向け=カリタスジャパン=はがきキャンペーン

  =キリスト新聞(5月31日・休刊)=https://www.kirishin.com

  =クリスチャン新聞(6月1日)=https://jpnews.org
★「9条は世界の希望」=9条世界会議=各国から2万2千人参加
★日本宣教の源流 信仰ほうふつ=光輝展=バックストン愛用聖書公開
★静岡地裁浜松支部判決=損害賠償請求は棄却=牧師の暴力・セクハラ再認定=原告らが声明「悔い改め再出発を」=榊山清志氏、HCC教会原告らの要請を拒否
★「福祉文化の創造を」=TCU福祉専攻開設記念式開催=阿部志郎氏が記念講演
★NCC=中国とミャンマーに支援金

  =リバイバル新聞(6月1日)=https://www.revival.co.jp
★イスラエル建国60周年=ツカヒラ氏、シュナイダー氏が来日講演=預言成就と政治情勢を解説
★アウシュビッツとエルサレムで「いのちの行進」に2万1千人=クリスチャンも「とりなしの祈り」
★ソーシャルビジネスの可能性探る=経済産業省が報告書を公表=福祉、教育、環境などの課題で


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