世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第897信(2008.03.24)

  • 復活祭で教皇、チベットなどの平和的解決を訴え
  • 中国がバチカンで秘密会談か
  • ドイツのユダヤ教指導者、聖金曜日の祈りを非難
  • ビンラディン容疑者が声明でEUに報復を示唆
  • カイロのキリスト教書店を警察が捜索、店員逮捕
  • カタールに最初のキリスト教会
  • オバマ候補、人種問題で問題発言の牧師と一線
  • スイス改革派神学者ルーカス・フィッシャー氏死去
  • 在外ロシア正教会の指導者ラウルス府主教死去
  • 《メディア展望》

◎復活祭で教皇、チベットなどの平和的解決を訴え

 【CJC=東京】教皇ベネディクト十六世は3月23日、復活祭(イースター)の恒例メッセージ『ウルビ・エト・オルビ(ローマと全世界へ)』を発表した。
 教皇は前日夜、バチカンの聖ペトロ大聖堂で祝われた復活の聖なる徹夜祭で、教皇は復活の大ろうそくを祝別し、ろうそくを掲げて光の行列を行なった。
 明けた23日、激しい雨の中、教皇は復活の主日の荘厳ミサをサンピエトロ広場で捧げた。AFP通信によると、広場には、数百万人が集まった。
 バチカン放送(日本語電子版)によると、教皇はミサに続く復活祭メッセージの中で、イエスの復活という驚くべき出来事は、本質的に愛の出来事であると強調、今日、主の復活を祝いながら私たちは愛に回心し、憎しみや利己主義を退け、柔和で謙遜な贖い主に従うよう招かれていると述べた。
 教皇はメッセージの中でダルフール地方やソマリアをはじめとするアフリカのいくつかの地域、聖地、イラク、レバノンなど中東、またチベットに言及、これらの地域に善と平和を守るための解決策の追求を強く訴えた。
 続いて、教皇は世界の63言語で復活祭の祝いを述べた。日本語でも「ご復活祭おめでとうございます」と挨拶した。


◎中国がバチカンで秘密会談か

 【CJC=東京】バチカン専門の仏語通信『I・メディア』によると、中国政府高官がバチカン(ローマ教皇庁)で3月18日、秘密会談を行った。今回のチベット暴動を契機としたものではなく、計画は相当以前に立てられていたという。バチカンのフェデリコ・ロンバルディ報道官は、否定も肯定もせず、コメントも全て拒否した。
 教皇は19日、恒例の一般接見の際、チベット暴動に関してそれまで守っていた沈黙を破り、暴力を停止し、対話と寛容をと呼びかけた。
 イタリアの報道としてAFP通信は、中国政府がこの呼びかけを拒否し、外務省の秦剛副報道局長は20日、寛容というものは、法によって罰せられるべき犯罪人のためには存在しないと強くはねつけた、と報じている。


◎ドイツのユダヤ教指導者、聖金曜日の祈りを非難

 【CJC=東京】ベルリンのユダヤ教神学校長ラビ・ワルター・ホモルカは3月20日、カトリック教会の中で一部の教会で朗読される聖金曜日(21日)ミサの祈りについて、教会が反ユダヤ感情を増幅させることを許容している、と教皇ベネディクト十六世を非難した。AFP通信が報じた。。
 ホモルカ氏は、週刊誌『シュピーゲル』に、異教徒に改宗を促す祈り、として「ユダヤ人を侮辱するものだ」と批判した。世界中の約1600人のユダヤ教指導者が正式に抗議を表明しているという。
 問題の「祈り」は、第二バチカン公会議の典礼改革でラテン語の『トリエント・ミサ』とともに廃止されたが、2007年に教皇が、一部の教会にのみ厳格な条件のもとでトリエント・ミサを認めたため、「祈り」も再び行われるようになったもの。


◎ビンラディン容疑者が声明でEUに報復を示唆

 【CJC=東京】国際テロ組織アルカイダの指導者ウサマ・ビンラディン容疑者は3月19日、北欧の主要各紙が最近、イスラム教の預言者ムハンマドの風刺漫画を掲載したことについて、欧州連合(EU)は厳罰を受けることになるなどと警告する音声声明をウェブサイト上で公表した。イラク戦争開戦から5年となる20日を意識したものと見られる。
 メッセージはEUの「知識層」に向けられ、ビンラディン容疑者は、デンマーク各紙が前月、イスラム教の預言者ムハンマドの風刺漫画を掲載したことは「イスラム教徒の村々を標的とし、女子どもを殺害している欧州の軍隊より罪が重い」と述べて、その責任を負うべきだと警告した。
 また、「言論の自由を重視するなら、われわれの行動の自由も受け入れるべき」だとし、このような侮辱に対するイスラム教徒の反応は「敵が耳にすることではなく目にすることだ」として、暗に報復を示唆した。
 アルカイダのメディア部門アルサハブが公開したメッセージは、ビンラディン容疑者がライフル銃を構えるビデオ映像とともに音声が約5分流れ、英語字幕が付いている。
 過激派のウェブサイトを監視する米情報収集大手インテルセンターは、メッセージが大規模な攻撃が新たに行われる可能性を示唆しているがものの、攻撃時期については不明という。
 同容疑者の声明は中東の衛星テレビ、アルジャジーラが2007年11月29日、欧州各国にアフガニスタンからの撤退を求めた音声声明を放送して以来。


◎カイロのキリスト教書店を警察が捜索、店員逮捕

 【CJC=東京】被抑圧者支援団体『アドボケイツ・フォア・ザ・パーセキュテッド』によると、エジプト警察は3月15日、カイロのナイル・キリスト書店を2時間にわたり捜索、店員のシェヌーダ・アルミア・バカイト氏を逮捕、書籍、CDやキリスト教紙『タリーク・ワ・アル・ハクエ』(道と真理)を押収した。
 同書店は『エジプト・神の教会』の所有で、エジプト・キリスト教青年連合のダビド・ジョセフ会長が経営している。同氏はキリスト教紙の編集長も務めている。


◎カタールに最初のキリスト教会

 【CJC=東京】国土は小さいが、巨額の資産を保有する湾岸国家カタールに、最初のキリスト教会『ロザリオの聖母教会』(カトリック)が3月8日開設された。同国に流入する外国人労働者は数千人を超すが、キリスト教の礼拝もひっそりと行うしかなかった。
 イスラム教国カタールは2016年の五輪開催を目指しており、西側諸国に門戸開放の実態を示そうという思惑もありそうだ。
 カタール政府は、カトリックに続いて5教派に教会設立を認可、いずれも着工している。
 石油ブームで、流入労働者は総人口100万の7割を占めるまでになった。キリスト者は約15万人だが、その9割以上がフィリピンなどアジア圏からの労働者でカトリック。
 カタールはイスラム教スンニ派の中での過激な「ワハビ」の影響が強く、隣国サウジアラビアと同様、キリスト教の活動を公認していないが、1960年代から司祭が1人、非公認で活動して来た、とアラビア半島使徒座代理者のパウル・ヒンデル大司教は言う。


◎オバマ候補、人種問題で問題発言の牧師と一線

 【CJC=東京】米大統領選の民主党指名争いで、バラク・オバマ上院議員(46)は3月18日、ペンシルベニア州フィラデルフィアの国立憲法センターで、人種問題に関する演説を行った。オバマ氏が人種差別について踏み込んだ発言をしたのは初めて。
 オバマ氏自身が通うシカゴのトリニティー合同キリスト教会の黒人牧師、ジェレミア・ライト・ジュニア氏(66)が説教で、同時多発テロは米国が自ら招いたと述べ、白人を敵視する説教を繰り返していたことをメディアが大きく取り上げたことから、保守派を中心に反発を招き、オバマ氏は14日、同牧師の問題発言を非難したが、CBSテレビが16、17日に実施した最新の世論調査では、無党派層の3分の1がオバマ氏への信頼度が低下したと答えたことが明らかとなった。
 このことで、オバマ氏の「人種を越える」との訴えが冷めたものとなり、ライバルのヒラリー・クリントン上院議員との指名争いで有権者が敬遠する恐れも出て来たことから事態の収拾を図ったもの。
 オバマ氏は演説で、こうした発言を受け入れない姿勢を明言、自身がケニア出身で黒人の父と、カンザス州出身で白人の母を持ち、米国人として育った点を強調した。
 牧師の発言については、「米国の差別問題は解消できない」と考える古い世代の考え方だと指摘。「人種問題の古傷を乗り越える時が来た」と述べた。ただ米国には人種差別が依然存在するとして、「米国はこれ以上人種問題を無視できない」と明言。法的には平等でも、実際には賃金や雇用面で格差があると指摘した。
 牧師はオバマ氏の結婚式や娘2人の洗礼式を執り行うなど、同氏と家族的な付き合いをしている。同氏の著書「合衆国再生=大いなる希望を抱いて」の題名も、同牧師の説教から取ったもの。


◎スイス改革派神学者ルーカス・フィッシャー氏死去

 【CJC=東京】スイス改革派神学者ルーカス・フィッシャー氏(81)が3月11日、ジュネーブで死去した。信仰制運動の初期の指導者であり、1965年から79年まで世界教会協議会信仰職制部門のディレクターとして活躍した。


◎在外ロシア正教会の指導者ラウルス府主教死去

 【CJC=東京】在外ロシア正教会の指導者ラウルス府主教は3月16日、米ニューヨーク州ジョーダンビルの聖三一修道院内の自室で死んでいるのを発見された。数日前から体調不良を訴えていた。共産主義政権樹立以来80年に及ぶロシア正教会の分裂を修復することに貢献した。
 21日の葬儀は4時間に及ぶもの。主教、司祭ら数百人、モスクワ総主教座やウクライナ正教会からも代表が参列した。
 ラウルス府主教は1928年チェコスロバキア生まれ。11歳で修道院入りした。46年、他の修道僧と共にニューヨーク州のモホーク・バレーに移住、2年後から修道生活に入ると共に「ラウルス」を名乗った。54年に司祭叙階、67年主教、2001年に在外ロシア正教会の第5代府主教に選出された。聖三一修道院ではその後も上長を務めた。
 40日の服喪の後、主教会議が後任選考に入る。


 《メディア展望》

  =カトリック新聞(3月23日)=https://www.cwjpn.com
★松浦司教ら清貧生活の村(イエス・サリ共同体)訪問=韓国=憲法問題で記者会見も
★日本カトリック部落問題委員会=伊勢神宮で現地学習
★教会・学校で掲げよう=列福告げる垂れ幕作成=列福式実行委員会
★教皇、語気強め非難=誘拐のイラク大司教遺体で発見=「流血、もうたくさん」
★フォコラーレ創立者が逝去=キアラ・ルービックさん

  =キリスト新聞(3月22日)=https://www.kirishin.com
★"死刑"と"戦争"死語に=イタリア語文化教室主催で討論会
★「三代書き」など初公開=長崎歴史文化博物館"五島の教会群"
★"神学部と教会結ぶ"=関西学院大学神学部「神学セミナー」
★教皇ベネディクト16世 ルターの名誉回復?
★バチカンのトップ 中国の教会事情を論議

  =クリスチャン新聞(3月23日)=https://jpnews.org
★ケズィック・コンベンション各地で開催=「神は何をするかではなく、何であるかに関心をもつ」
★「あたご」海難事故に抗議=「違憲状態」の是正求める=NCC平和・核問題委員会
★イージス艦海難事故に抗議=「米軍との一体化」事故の一員=東京地方バプテスト教会連合社会委
★アルカイダがYMCA襲撃画策か
★一麦の群主幹、松原向氏逝去=夫亡き後群れまとめ500人教会を建て上げ

  =リバイバル新聞(3月23日)=https://www.revival.co.jp
★千葉=4教会が合同コンサート=若いバンドの発表の場に
★インドネシアでMEBIG=5箇所でセミナー開催=ラジオで全土に生放送も
★キリスト教出版の開拓者が死去=ロバート・ウォーカー氏


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              https://www.kohara.ac/news/

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