世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第894信(2008.03.03)

  • カトリック含めた欧州教会協議会を今後10年間で
  • ガザ地区のYMCA襲撃はアルカイダが画策か
  • 中国がバチカンとの関係改善へ会談認める
  • ベルトーネ枢機卿、キューバでの政教関係改善に期待
  • ラウル・カストロ新議長がベルトーネ枢機卿と会談
  • キューバ司教はラウル・カストロを「信任」
  • 米プロテスタントがヒスパニック系移民の急増で過半数割れ目前
  • 米ユニオン神学校が172年の歴史で初めて女性校長
  • キリスト教ロック音楽の父ラリー・ノーマン死去
  • 《メディア展望》

◎カトリック含めた欧州教会協議会を今後10年間で

 【ジュネーブ=ENI・CJC】欧州教会会議(CEC)のジャン=アルノール・ドクレルモン議長は2月21日、ロンドンで開かれたCECと欧州カトリック司教会議代表(CCEE)との会議で、各国の英国国教会、正教会、プロテスタント各派にカトリック教会も含めた『欧州教会協議会』を今後10年間に設置することを提案した。
 同議長はこのほど仏プロテスタント連盟議長を退任した。提案は、昨年9月にルーマニアのシビウで開かれた欧州エキュメニカル大会での提案に沿ったものと言う。同大会はCECとCCEEが組織したもので代表1500人が参加した。
 現在、カトリック教会はカリブ教会会議、中東教会協議会、太平洋教会会議などの地域会議やブラジル、南アなどでは国レベルの教会協議会に加盟している。


◎ガザ地区のYMCA襲撃はアルカイダが画策か

 【CJC=東京】パレスチナ自治区ガザ地区で混乱状態が続いている。世界的な聖戦を画策する国際テロ組織アルカイダがそうした現状に乗じ、「イスラエル・パレスチナ間の衝突」を新たな活動領域にしようとしている、とイスラエル側の研究機関は見る。
 その典型が、2月15日に起きた武装グループによるYMCA襲撃・爆破事件だという。
 テルアビブ近郊ヘルツェリアの『反テロリズム・イスラエル国際政策研究所』でイスラム運動を研究するルーベン・パズ氏は事件について、国際テロ組織『サラフィスト』による典型的な犯行、とAFP通信に語った。


◎中国がバチカンとの関係改善へ会談認める

 【CJC=東京】中国外務省の劉建超報道局長は2月21日の定例記者会見で、中国がバチカン(ローマ教皇庁)との関係改善に向け会談したことを認めた。しかし日時、場所やどのレベルの関係者の接触だったかは示さなかった。
 同局長は、26日の会見で、バチカンとワシントンで会談を行ったことを明らかにし、「中国は関係改善の方法を模索しており、建設的な対話の継続を望んでいる」と語った。
 会談の具体的な内容には触れなかったものの、「バチカンが台湾との外交関係を断ち、宗教事務を含む中国の内政に干渉しない」という中国の原則的立場は変わらない、と強調した。
 バチカンが中国との関係改善を図り、接触したとの報道はこれまでにもあり、その都度、中国側は原則的立場を強調するだけだったが、中国側が接触の事実を認めたのは初めて。


◎ベルトーネ枢機卿、キューバでの政教関係改善に期待

 【CJC=東京】2月20日からキューバを公式訪問中のバチカン(ローマ教皇庁)国務長官タルチジオ・ベルトーネ枢機卿は25日の記者会見で、ラウル・カストロ新政権がキューバの共産主義政府とローマ・カトリック教会との関係を改善することを期待している、と語った。
 枢機卿は「現地の教会と当局との関係が改善され、円熟してきた。教会はラウル新議長と新国家評議会と共に、前進の道を探ろうとしている」と述べ、さらに変革の「特に重要な時」に教会は「キューバ政府のそばに身を置く」と付け加えた。


◎ラウル・カストロ新議長がベルトーネ枢機卿と会談

 【CJC=東京】キューバの国営テレビによると、ラウル・カストロ国家評議
会議長(76)は2月26日、同国を訪問中のバチカン(ローマ教皇庁)国務長
官(首相に相当し、教皇に次ぐ地位と見られている)のタルジチオ・ベルトーネ
枢機卿と会談した。24日にフィデル・カストロ氏(81)に代わり新議長と
なって以来、初めての外国高官との会談となった。
 会談の内容は明らかになっていないが、バチカンは米国の対キューバ経済制裁
に批判的な立場を取っており、キューバは、カトリックとの関係強化を図り、制
裁解除に向けた機運を盛り上げたいところ。キューバ側は教皇ベネディクト十六
世を招請したとみられる。枢機卿は訪問中、教皇のキューバ訪問について前向き
な発言をしている。
 キューバ政府は前教皇の求めに応じて政治犯約100人を釈放した。今回も枢
機卿の訪問に先立ち、7人を釈放するなど、バチカンとの協調姿勢を示している。


◎キューバ司教はラウル・カストロを「信任」

 【CJC=東京】キューバ・カトリック司教会議は2月25日、国家評議会議長を退任したフィデル・カストロ氏の後任に24日就任した実弟ラウル・カストロ氏への「信任」を表明、「キューバ市民の福祉」のための変革を求めた。「この時、私たちの主と「慈善の聖母マリア」に、キューバ市民の願いと関心を満たすために、進歩的な道へ進むために光を照らしてくれるよう祈る」と司教会議は声明で述べた。
 司教会議は、最近、キューバの平和が乱されないように様々な時に祈ったことを振り返り、「今日、国の最高権威が、私たちの同胞に影響を及ぼす、あらゆる種類の最緊急課題について討論するために労働者、学生、さらに広く市民を招いていることを、神に感謝したい」と明らかにした。


◎米プロテスタントがヒスパニック系移民の急増で過半数割れ目前

 【CJC=東京】米国民の約8割を占めるキリスト者のうち、白人信者を中心に多数派を維持してきたプロテスタントの比率が過半数割れ目前にまで下がったことが、『米宗教概観調査』2008年版で明らかになった。
 改宗だけでなく、信仰そのものを捨てる人が増え、カトリックの多い中南米のヒスパニック系移民の急増により、プロテスタントの割合が相対的に低下したことになる。
 『宗教と国民生活に関するピュー・フォーラム』が2007年5~8月、18歳以上の米国人約3万5000人に聞き取り調査し、2月25日に発表した。それによると、キリスト者(78・4%)の中でプロテスタントは51・3%。1960年代には約3分の2を占めていた。
 同団体のジョン・グリーン上級研究員は、プロテスタントの縮小が、米国の文化や政治にも影響を及ぼすと予測する。市民生活における価値観や制度の多くが、プロテスタント思想に立脚したものだというのが、その理由だ。
 ルイス・ルゴ理事長は、プロテスタントの減少の要因は米国における「移民の増加」にあるとみており、「プロテスタントが減っているのではなく、中南米系のカトリックが増え続けているからだ」と説明する。中南米系人口は2050年までに3倍になり、白人は少数派になると見ている。「米国内の宗教地図はカトリック寄りに変わりつつある」と言う。
 一方、無宗教は、無神論者のほか「宗教は自分にとって重要だが教義には従っていない」と回答した人も含まれ、回答者の16・1%となった。福音派プロテスタント(51・3%)、カトリック(23・9%)、主流プロテスタント(18・1%)に次いで第4位。なお増加傾向にあるという。


◎米ユニオン神学校が172年の歴史で初めて女性校長

 【ニューヨーク=CJC】ニューヨークの米ユニオン神学校では、ジョセフ・
ホー校長の後任にセレン・ジョーンズ氏が7月1日就任する。同校のデービッ
ド・カラード理事会議長が2月25日発表した。172年の歴史で初の女性校長
となる。
 ジョーンズ氏はイェール神学校教授。イェール大学女性と性研究所長の他、ア
フリカ=アメリカ研究部門、宗教学でも講義している。


◎キリスト教ロック音楽の父ラリー・ノーマン死去

 【CJC=東京】キリスト教ロック音楽の父として知られたラリー・ノーマンが2月25日、米オレゴン州セイラムで心不全のため死去した。60歳。長らく心臓疾患で闘病生活を送っていた。
 1947年4月8日、テキサス州コーパスクリスティ生まれ。9歳の時にエルヴィス・プレスリーに魅せられ、自ら作曲と演奏を始めた。キリスト教のメッセージを娯楽と混ぜ合わせたスタイルで、教会に来ない若者の所に「教会が出掛けて行く」スタイルを目指した。
 60年代後半から、ロックファンの若者の多くが麻薬中毒や性的乱脈からキリスト教に回帰する「ジーザス・ムーブメント」が米国で起きたが、その中で1969年に出した最初のソロアルバム「アプオン・ジス・ロック」は、コンテンポラリー・クリスチャン・ミュージックの初出と見なされている。72年にロンドンで録音した「オンリー・ヴィジティング・ジス・プラネット」は、道徳を磨き上げたポップ=ロックで表現し、最も知られた作品となった。
 「ホワイ・シュッド・ザ・デヴィル・ハヴ・オール・ザ・グッド・ミュージック」は礼拝でロックンロールが用いられたことがある。長い金髪が特徴。1999年に来日している。


《メディア展望》

  =カトリック新聞(3月2日)=https://www.cwjpn.com
★「日本カトリック神学院」設立へ=2007年度 臨時司教総会=列福式前10月5日から「ともに祈る7週間」
★新神学校 来年春開校へ
★列福式のロゴ・標語決定
★全国の青年による"ロウソクリレー"=「証(あか)し灯(び)」 長崎でスタート=列福準備の一環として
★カトリック幼稚園後継者養成研修会=充実感残し終了=次回は全550園に呼び掛け

  =キリスト新聞(3月1日)=https://www.kirishin.com
★日本聖書協会「みんなの聖書・絵本シリーズ」4月より頒布=日本人画家が描き下ろし
★沖縄北谷町=「綱紀粛正より軍隊撤去を」=米兵による少女暴行事件に怒り
★2・11「信教の自由を守る日」="靖国の闇"を明らかに=『侵略神社』の辻子実氏語る=日基教団埼玉地区社会委
★「基地は人殺しの道具」=沖縄で活動する金井創氏=戦争と人権を考える市民の集い・高崎
★世界教会協議会(WCC)=コビア総幹事退任へ

  =クリスチャン新聞(3月2日)=https://jpnews.org
★基地ある限り悲劇続く=沖縄・女子中学生暴行事件=米大使館前=平和祈り抗議行動
★09年 プロテスタント宣教150周年=記念事業参加教派募る
★韓国に今も残る植民地時代=ハンセン病隔離政策の傷痕
★在日韓国人宣教の拠点=困難な時代に信仰守り通す=在日大韓東京教会が100周年
★新共同訳聖書20周年に絵本シリーズ刊行=朗読も聞ける音筆に対応

  =リバイバル新聞(3月2日)=https://www.revival.co.jp
★「テントメーカーではない」=FGBジャパン 第1回メンズ・キャンプ
★新共同訳 マンガと絵本で発行=今後はシリーズ化
★多様性で勝負を! 若手講師たちが語る福音アプローチ


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              https://www.kohara.ac/news/

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