世界キリスト教情報 第889信(2008.01.28)
- WCCのコビア総幹事「21世紀半ばまでには共に聖餐を」
- WCCのコビア総幹事が教皇と会見
- 教皇が「キリスト教一致祈祷週」第100回記念礼拝司式
- 典礼改革の「後戻り」はない、とバチカン当局者
- イエズス会新総長は教皇との確執を否定
- ベトナムでカトリック信徒が大使館の土地返還求め祈り
- 北朝鮮が韓国系カナダ人牧師を釈放
- U2のボノがダボス会議でアル・ゴア"神父"にざんげ
- 《メディア展望》
◎WCCのコビア総幹事「21世紀半ばまでには共に聖餐を」
【ローマ=ENI・CJC】世界教会協議会のサミュエル・コビア総幹事は、21世紀半ばまでにはキリスト者が一致に関し、共に聖餐(聖体)を守れるようになることを期待している。
この発言はバチカン(ローマ教皇庁)機関紙『ロッセルバトレ・ロマノ』1月25日付けの第1面のインタビューの中で行われた。「エキュメニカル運動の私のビジョンは、21世紀半ばまでに私たちは、キリスト者がどこであれ、自分の教派と関係なしに、共に祈り礼拝し、いずれの教会でも主の食卓につくことが歓迎されるまでの一致のレベルに達することだ」とコビア氏は語った。
カトリック教会と東方正教会は聖体(聖餐)に他のキリスト教会信徒が関与することを認めていない。
◎WCCのコビア総幹事が教皇と会見
【ローマ=ENI・CJC】教皇ベネディクト十六世は、世界教会協議会(WCC)のサミュエル・コビア総幹事と1月25日会談した。教皇は、東方正教会、英国国教会、プロテスタント諸教会の大部分の共同体であるWCCとの協働を称賛した。「この協働は、キリスト者の間に存在する交わりに生き生きした表現を与え、エキュメニカル(教会一致を目指す)な対話と理解の醸成を進めた」と、教皇は述べた。
カトリック教会は、WCCのメンバーではないが、多くの領域で協力し、委員会にメンバーを出している。
教皇は同日付けのバチカン機関紙『ロッセルバトレ・ロマノ』が掲載した、コビア総幹事の21世紀半ばまでには相互聖餐が実現するとの期待には言及しなかった。
教皇は、キリスト者の一致を優先課題と捉えているものの、カトリック神学者の間ではバチカンがプロテスタント諸教会との相互聖餐に向かうとする見通しは少ない。聖餐の一致が実現するなら、最初は教義的に近い東方正教会とだろうと見られている。
◎教皇が「キリスト教一致祈祷週」第100回記念礼拝司式
【ジュネーブ=ENI・CJC】1月18日から行われていた「キリスト教一致祈祷週」の第100回記念式典が25日夕、ローマの『城外の聖パウロ大聖堂』で教皇ベネディクト十六世が司式してエキュメニカル(教会一致を目指す)な礼拝を行い、閉幕した。その際、コビア総幹事はWCCを構成する347教会を代表して祈りを共にした。
20日にはジュネーブのWCC本部で、市内各派教会と国際教会組織の代表が祈祷週を憶えてエキュメニカルな礼拝が行われ、コビア総幹事は「神を共に称え、さらに多くの一致がこれから可能になるよう祈ろう」と、礼拝の冒頭で述べた。
「キリスト一致祈祷週は、40年にわたってWCC信仰職制委員会と教皇庁キリスト教一致推進評議会によって進められて来た。最初は1908年1月にニューヨーク州グレイムーアでフランシスコ会系の修道会『アトンメント会』によって始められた。
◎典礼改革の「後戻り」はない、とバチカン当局者
【CJC=東京】教皇ベネディクト十六世が第二バチカン公会議で行われた典礼改革の「後戻り」をさせているわけではない、とバチカン(教皇庁)教皇儀典室のグイド・マリーニ儀典長が1月19日、バチカン放送とのインタビューで語った。
教皇は昨年、第二バチカン公会議で実施を一定の条件下でのみ認める、とされていたラテン語ミサの規制を撤廃している。
13日、教皇は、システィナ礼拝堂でのミサの際、元来の主祭壇で執行したので、祈祷などの時には会衆に背を向ける昔ながらの様式になった。改革された現在のミサでは、聖職者は祭壇に面し、会衆と向き合う。
マリーニ氏は、教会に特別な事情がある場合には、第二バチカン公会議の路線の範囲ないで特例が許容される、と語った。「典礼の執行の正確な方向性が保存されており、たぐいまれな美と調和が保たれているといった特別な状況の下では昔の聖壇でミサを行なうことも望ましい」と言う。
◎イエズス会新総長は教皇との確執を否定
【ローマ=CWN・CJC】カトリック最大の男子修道会『イエズス会』のアドルフォ・ニコラス新総長は1月25日のメディア声明で、イエズス会士の教皇に忠誠であることに変わりはない、と述べた。両者の間の関係に「問題がある」なら、「それは正に私たちがあまりに近くにいるからだ」と言う。
新総長はイエズス会と教皇庁との関係を、愛してる関係の中でも常に緊張がある結婚にたとえた。ただ、結婚のように、イエズス会士と教皇は、教会の繁栄という同じ目標に献身している、と付け加えた。
イエズス会が教皇ベネディクト十六世と対立しているとの評判には、正面からは答えず、教皇がヨーゼフ・ラッツィンガー神父だった当時の著作を学び、霊感のあることが分かった、と述べている。
新総長は、日本で過ごした年月が、自分の宗教観に大きな影響を与えた、と述べた。「アジアで奉仕する前には、宗教信仰と実践に関して堅い見解の持ち主だったが、日本では、そのような態度は偏狭であるとみなされる。アジア的な姿勢は様々な視点を受け入れる。日本で私は、本当の宗教ははるかに深いものであることが分かった」と、新総長は明らかにしている。
◎ベトナムでカトリック信徒が大使館の土地返還求め祈り
【CJC=東京】ハノイの旧バチカン大使館前で、カトリック教会信徒が連日、大使館の土地の返還を求める祈りの集会を行っている、とAP通信が報じた。大使館は現在、スポーツセンターとして使われている。信徒側は、土地が1954年に政府に接収されたと主張、政府は自発的に返還されたものだとしている。
集会が始まったのは昨年のクリスマス前。教徒数百人が旧大使館で夜通しの祈りを行った。集会の中止を求める地元当局は門を施錠したものの、教徒らは建物前で祈り続けている。
ベトナムではこの規模の行動は取り締まりの対象になることが多いが、当局がそこまで踏み込まないのは、バチカン(ローマ教皇庁)との外交関係再開も意識されてのことと見られる。AP通信は、教会関係者が、これまで集会が取り締まりを受けなかったこと自体、関係改善の証左だとしたことを報じている。
◎北朝鮮が韓国系カナダ人牧師を釈放
【CJC=東京】北朝鮮専門のサイト『デイリーNK』によると、同国に2カ月半以上抑留されていた韓国系カナダ人のキム・ジェヨル牧師が釈放された、と同牧師が所属するカナダの『エドモントン第一長老教会』のチョン・デソン牧師が1月26日、『ボイス・オブ・アメリカ』放送に伝えた。キム牧師は釈放直後に、カナダのエドモントンに暮らしている母親に直接電話をかけ、釈放の事実を伝えたという。
キム牧師は1997年、北朝鮮の羅津に歯科病院『羅津口腔予防院』を開設、その後、高麗漢方病院、産婦人科、チャンピョン幼稚園などを設立したが、2007年11月初め頃に、北朝鮮国家安全保衛部に逮捕された。
キム氏は、北朝鮮政権を批判、人民を先導して教会を建てようとしたという内容の陳術書を作成したと伝えられた。
キム氏釈放のため、カナダ領事が2007年12月中旬から2回、北朝鮮を訪問し、韓国兼任カナダ大使も23日から25日まで平壌を訪問していた。
◎U2のボノがダボス会議でアル・ゴア"神父"にざんげ
【CJC=東京】スイスのダボスで開催された『世界経済フォーラム』(ダボス会議)年次総会で1月24日、ロックバンド『U2』のボノとアル・ゴア前米副大統領の対談が行われたとAFP通信が報じた。
ボノはロックミュージシャンでいることが環境に優しい生活に必ずしも貢献しているわけではないことを認め、ゴア前副大統領を神父に見立て、「アル神父、わたしは騒音をまき散らしているだけでなく、石油を大量に消費し、ガルフストリーム機で移動するロックスターです」とざんげした。
AFP通信によると、ボノは「悪習を悔い改めます。でも石油は大変役立つものだったのです。例えばコンサート用の大型トラックやさまざまな石油化学製品、そしてヘアージェルにも使われているのですよ!」と語り、会場の笑いを誘った。
《情報レムナント》
▽高梁で「近代化遺産巡り」 キリスト教会や市郷土資料館
高梁市内に点在する明治から昭和初期にかけての建造物などの魅力に触れる「備中高梁 近代化遺産巡り」(市青年経済協議会、高梁商工会議所主催)が27日、初めて開かれ、小西伸彦・吉備国際大文化財学部准教授の案内で、市中心部や郊外の約20カ所を巡った。
中心部では、1889年に建てられた県内最古の教会堂・高梁キリスト教会(柿木町)や、明治期の小学校舎の威厳が伝わる市郷土資料館(向町)など代表的な「擬洋風」の建物を見学。今も活字を使っている印刷所や明治期の写真館跡なども訪れた。(山陽新聞1月28日)
《メディア展望》
=カトリック新聞(1月27日)=https://www.cwjpn.com
★洞爺湖サミットに向け「G8と教会」考える=司教のための社会問題研修会
★カトリック児童福祉の日=昨年の援助金 40%がアジア諸国へ
★元日本管区長のニコラス神父 イエズス会総長に就任
★中国の聖母子像 米シカゴで展示=「現存最古の可能性も」
★啓光学園が経営統合=「今後も建学の精神生かす」=大阪
=キリスト新聞(1月26日)=https://www.kirishin.com
★"非暴力を貫いて"=毎月祈りの要請続け50回=平和を作り出す宗教者ネット
★バチカン=性的虐待被害者のため祈りを
★米聖公会=サンホアキン教区主教に聖務停止措置
★"理想型はイエス"=李次期大統領が祈祷会で=韓国
★"最も偉大な神学者"=トーマス・F・トーランス氏死去
=クリスチャン新聞(1月27日)=https://jpnews.org
★南の島の新年礼拝=小笠原の教会事情 米統治下の影響濃く
★マレーシア=イスラム教徒以外の「アラー」使用禁止=「使用は宗教権利」 キリスト者が抗議
★新共同訳の訳語「重い皮膚病」を堅持=日本聖書協会が新共同訳の翻訳訂正要望に結論ー巻末に用語解説の付記で対応
★牧会者の専門性深める研究科=聖学院大学大学院に開講=臨床死生学・グリーフケアの実務者養成
★「新改訳」聖書の著作権 名実共に新改訳聖書刊行会に移行=和解後の経過措置が終息
=リバイバル新聞(1月27日)=https://www.revival.co.jp
★ウィロークリークコミュニティ教会=弟子育成を再検証=注目集める"REVEAL"=ハイベルズ氏「間違っていた」
★香港=3万人以上が決心=フランクリン・グラハム大会