世界キリスト教情報 第886信(2008.01.07)
- 今春にもカトリックとイスラム代表会談へ
- ケニア暴動=教会に放火、避難していた50人焼死
- ポーランド語教会が英カトリック教会から「独立」?
- マレーシア、カトリック新聞の「アラー」使用を禁止
- カンタベリー大主教が『ユーチューブ』通じ新年のメッセージ
- 《メディア展望》
◎今春にもカトリックとイスラム代表会談へ
【CJC=東京】カトリックとイスラムの代表が今春にも、ローマで会談する計画が持ち上がっている。教皇ベネディクト十六世は2006年9月、イスラムの教えを「邪悪」「残酷」とするビザンチン帝国皇帝の発言を演説で引用し、イスラム諸国の反発を招いたが、138人のイスラム宗教者が昨年10月、キリスト教とイスラム教の対話を求める公開書簡を発表したことに応え、双方の関係改善を図ろうというもの。公開書簡は、キリスト者とイスラム教徒に、唯一の神を信じるという共通の基盤を発展させよう、と呼び掛けていた。
イスラム教学者が2月か3月にローマを訪問、会談の準備に当たる、と教皇庁諸宗教対話評議会議長のジャン=ルイ・トーラン枢機卿がバチカン紙『オッセルバトレ・ロマノ』に語った。同枢機卿は会談の正確な期日を明かさなかったものの、今春には行うと述べている。
教皇も出席すると見られる会談は、個人の尊厳、相互理解に基づく宗教間対話、青年層に向けた寛容の指導、の3つを主要テーマとし、イスラム側から138人全員とは言えないまでも多数の学者が参加する歴史的なもの、と枢機卿は語った。
◎ケニア暴動=教会に放火、避難していた50人焼死
【CJC=東京】ケニア西部エルドレットで1月1日、住民約400人が避難していたアセンブリーズ・オブ・ゴッド派の教会に群衆が放火、少なくとも50人が焼死した。また40人以上が重度のやけどで病院へ搬送されたという。犠牲者のほとんどがキバキ大統領と同じケニアの最大民族キクユの人々で、多くが子どもだった。
ケニアでは12月27日に大統領選挙が行われ、30日に現職のムワイ・キバキ大統領が再選して以降「選挙に不正があった」とする野党支持者らによる暴動が各地で発生、死者は1月1日までに270人以上に達したと見られている。
優遇されてきたキクユ族と、反目する民族との対立は今後、さらに激化する可能性がある。
◎ポーランド語教会が英カトリック教会から「独立」?
【CJC=東京】英カトリック教会ウエストミンスター大司教のコーマック・マーフィー=オコナー枢機卿は、ポーランド人信徒にもっと英語を学び、現地の教会に溶け込むよう促している。ポーランド語教会の数が増え、このままでは教会が民族ごとに分割する危機にさらされる、と言う。
これに対し『イングランドとウエールズのポーランド人カトリック宣教』のグラジナ・シコルスカさんは、ポーランド人社会は当惑しているとして、カトリック週刊誌『タブレット』に「ポーランド人のために祈ることを止めろ、とどうして要求出来るのか。祈ることは罪なのか。私は霊的な暴行を受け、良心が冒されたと感じる」と語った。
イングランドとウエールズのポーランド人のための司牧担当タデウス・ククラ神父も「ポーランド人としての自分自身を失ったら、全てを失うこと」と述べている。
英国では、1963年に比べ91年には4割減少していた教会出席数が、カトリックの影響が強い東欧圏からの移民流入などにより減少が止まり、2005年の91万7500人が2006年には92万7154人に持ち直した、と『テレグラフ』紙は報じている。
◎マレーシア、カトリック新聞の「アラー」使用を禁止
【CJC=東京】イスラム教徒が国民の多数派を占めるマレーシアで、当局がカトリック系週刊紙『ヘラルド』に対し、イスラム教の神「アラー」という言葉の使用禁止を命じた。ロイター通信が報じた。
マレーシア政府は先に、制限事項を撤廃するなど出版規制を改定したが、イスラム教徒以外が「アラー」という言葉を使用することは禁じていた。『ヘラルド』紙のローレンス・アンドリュー編集長は発行許可の更新の際に制限は付けられなかった、と言う。しかし、アブドゥラ・ジン首相府相(宗教問題担当)は1月4日、イスラム教徒以外が「アラー」という言葉を使用することは、許可更新後も引き続き禁止であり編集長の発言は誤解に過ぎない、と語った
マレーシアの人口はおよそ2600万人。このうち、マレー系のイスラム教徒が全体の約6割を占めている。
◎カンタベリー大主教が『ユーチューブ』通じ新年のメッセージ
【CJC=東京】英国国教会の霊的最高指導者カンタベリー大主教ローワン・ウィリアムズ氏は12月31日、新年のメッセージを動画サイト『ユーチューブ』に掲載、環境問題への意識について述べた。ユーチューブにはエリザベス女王もクリスマスのメッセージを投稿しているが、大主教が動画を掲載するのは初めて。若い世代にもメッセージが届くようにとの試みだという。
メッセージ動画はカンタベリー大聖堂とその近くのリサイクルセンターで撮影されたもの。国営BBC放送でも流される。
AFP通信によると、動画の中で大主教は、「わたしたちは非常に多くの物を使い捨てであると考え、少し古くなっただけでもすぐに最新のものに買い換えようとする。人間や人間関係までもが使い捨てであると考えるようになってしまうのだろうか」と問い、「わたしたちは変化に追いつくことにそれほどまでに固執し、安定の必要性という意識を失っているのだろうか」と付け加えた。
その上で、「神は浪費などしない」と述べ、人の命は使い捨てではないと語った。
大主教は、「神は誰をも役立たずであるなどとは考えない。人が生誕してから死を迎えるまでのいつであろうとも。たとえその人が成功していなくとも、たとえ生産的でなくとも」と述べ、「神が望む命とは、消費と使い捨ての文化に屈したり、そこに定着したりするようなものではない。人であろうと物であろうと、である」と説いた、とAFP通信は報じている。
《メディア展望》
=カトリック新聞(1月6日)=https://www.cwjpn.com
★日本司教団 アド・リミナ(使徒座訪問)=教皇、宣教強化を促す=キリスト教、「日本文化と異質でない」
★人類という家族=平和の共同体=教皇 08年「世界平和の日」メッセージ
★教会も環境に優しく=国連会議と並行で行事=インドネシア
★先進国で広がる貧困=上智大社正研=ICU社科研合同でシンポ
★司祭ら対象の新サイト=多国語聖書など公開=バチカン
=キリスト新聞(1月5日・休刊)=https://www.kirishin.com
=クリスチャン新聞(1月6日)=https://jpnews.org
★グングン裁判控訴審「合祀は耐え難い屈辱」=原告の李美代子さん来日「国の言い逃れ許さない」
★9条アジア宗教者会議=パネル討論「非暴力と平和の実践」=平良夏芽氏「平和は願いではなく決意」
★在欧・在米の教職者がセミナー=今後は共同開催の可能性も=海外に散らされた日本人宣教の神学を=アジア人教会のアイデンティティーを
★北東京シティクリスマス=年々広がる地域教会協力
=リバイバル新聞(1月1日)=https://www.revival.co.jp
★"コア・バリュー"を語る=ニュージェネレーションネットワーク初セミナー=次世代の教会形成めざす
★単立牧師たちが連携=合同伝道集会を開く=沖縄