小原On-Line

Technology: 2009年12月アーカイブ

20091230.jpg 今年のガジェット、第二弾は、Amazon Kindle です。
 これについては語るべきことが多すぎるので、その機能や特性については、ぜひ Amazon のページをご覧ください。


 初代 Kindle は米国内のみの販売でしたが、今年夏に発売された Second Generation の Kindle (Global Wireless) は世界中で発売されることになりました。
 今年は電子書籍分野で、熱い火花が散らされることになりましたが、その火をつけたのが、Kindle だといってよいでしょう。
 このマーケットには、早くから Sony が手をつけていたのですが、圧倒的な物量を誇る Amazon が本格参入することによって、電子書籍マーケットが一気に活性化してきました。
 私も当初は、本当に使い物になるのだろうかと、多少不安な気持ちで購入しましたが、今や日々手放すことのできないガジェットとなっています。ずばり、使えます!

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1)電子インク・ディスプレイ
 電源を入れて、最初に驚いたのは、液晶とは明らかに異なる電子インク・ディスプレイの視認性のよさです。まさに紙の本を読むのと変わらないような目にやさしい、それゆえに長時間読んでも疲れないディスプレイになっています。

2)Global Wireless
 Kindle は3G回線で接続されており、本の閲覧や購入を3G経由で行えるようになっています。しかも、米国内だけでなく、世界のかなり広いエリアで何の手続きをすることもなく、3G回線を利用できるというのは、かなり画期的だと言えるでしょう。
 ちなみに、私が11月にカナダに行ったときにも、何の問題もなく現地の3Gに接続されていました。

3)冊数の多さ、値段の安さ
 現在、39万冊以上の本や新聞・雑誌を Kindle で購入できます。学問的な本も、私が想像していた以上に、幅広くカバーされており、これまで数冊を購入してきました。
 数十秒で一冊の本を購入できる利便性もさることながら、価格が通常の本よりかなり安く設定されているのも魅力です。一冊の Kindle で 1500冊ほどの本を収納することができます(Kindle DX では3500冊)。
 重い本も、軽い Kindle に入れて自由に持ち運ぶことができます。私が購入したKindle 本の一つに Charles Taylor, A Secular Age があります。右上の写真がその実物ですが、実に900ページ近くある超重量級の本です。さすがに、これを持ち歩くにはかなり根性がいります。しかし、Kindle に入れてしまえば、どこにでも携帯可能となります。

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4)iPhoneやパソコンとの連携
 購入した Kindle 本のコンテンツは、iPhone やパソコンで共有することができます。iPhoneには専用のアプリがあり、画面サイズは小さくても、きちんと読めるように調整がされています。
 読んでいる箇所も共有できるので、いちいちページを探す必要がありません。
 iPhone との連携は、私にとってはありがたい機能です。

5)全文検索、ブックマーク、辞書機能
 基本的にどの書籍に対しても、全文検索ができます。これは紙媒体ではできないことなので、電子書籍の旨みが出るところです。ブックマークや注釈をつけることもできます。また、わからない単語に対しては、クリックすれば、辞書(The New Oxford American Dictionary)が意味を教えてくれます。


 Kindle の旨みは、まだまだありますが、とりあえず、このくらいにして、次に、いくつかの注意点を述べておきたいと思います。

1)基本的に英語オンリー
 Kindle は、本当にすばらしい電子書籍リーダーですが、現時点では、英語の本を多読する人向けだと言えます。日本語コンテンツも来年には出てくると思いますが、現時点では日本語は表示もされません。
 ただし!、Kindle を jailbreak して、日本語化する作法は、インターネット上にたくさんあがっています。強者がいるもんですね。気になる方は、こちらのページなどを参考にしてください。jailbreak すると jpg漫画などを入れて、最強の漫画リーダーとして使うこともできるようです。
 こうした情報には、かなりそそられるのですが、今のところ、私は英語コンテンツで十分満足しているので、まだリスクをおかして jailbreak するところまではいっていません。

2)ページの表記
 たぶん、一般ユーザにはまったく問題とならない点だと思いますが、私にとって、これは何とかしてほしい!と思うことが一つあります。それは、紙媒体の本のページ数を、Kindle 本に埋め込んで欲しい、ということです。
 というのも、学術的な本を購入し、論文などで引用したい場合、やはり紙媒体の本のページ数が絶対に必要です。Kindle 本はフォントサイズなどによって、ページ数は可変的です。したがって、今のところは、論文などに引用するためには、紙媒体の本で確認しなければならない、ということになります。

 以上、いくつか改善して欲しい点はありますが、私にとって Amazon Kindle は、今やiPhone と並ぶ、強力ガジェットになっています。

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 ガジェット好きの私が選ぶ「今年のガジェット」を二つ発表したいと思います。まずは一つ目。

 何はともあれ、iPhone が一番利用度の高いガジェットです。今、私が所有している iPhone は昨年の夏前に買った iPhone 3G であって、今年の夏に発売された最新の 3GS ではありません。
 その意味では「今年の」ガジェットではないのですが、アメリカに来てから iPhone を jailbreak(脱獄)し、かなりのチューニングを施してきましたので、今や別物と言えます。そういうわけで、jailbroken iPhone が私にとっての Gadget of the Year です。

 iPhoneに関心のない人には多少どうでもよい話ですが、関心のありそうな人向けに、少しばかり iPhone 回顧録を記してみたいと思います。

1)jailbreakについて
 iPhoneは特定のキャリア(日本ならSoftbank、アメリカならAT&T)と結びついており、さらに Apple は iPhone のファームウェアに簡単には干渉できないような OS の設定をしています。
 しかし、jailbreak し、さらに unlock することによって、Apple が認定していないようなアプリをインストールしたり、また、Apple 指定キャリア以外の SIMカードを利用することができるようになります。
 日本で買った iPhone はアメリカで利用することができません(超高額なローミングサービス料を払えば別ですが)。しかし、これではあまりにもったいないと思い、アメリカ到着後に、日本では躊躇していた jailbreak を実行し、AT&T のプリペイド SIM カードで動作するようにしました。

2)jailbreak アプリについて
 いったん jailbreak に成功すると、Apple 非公認の各種きわものアプリを利用することができます。画面上にフォルダーを作成したり、iPhone 内部のファイルにアクセスしたり、YouTube動画をダウンロードすることもできます。標準の iPhone ではできないアプリの背景画像やアイコンの変更は、手軽にでき、人気のある分野です(→一例)。また、最近のインストールした ProSwitch というアプリを使えば、複数のアプリを同時に起動し、マルチタスクで画面の切り替えができます(上写真参照)。
 こういった芸当は、通常の iPhone OS ではできないので、やはり jailbreakの醍醐味であると言えるでしょう。
 ここまで言うと、jailbreakはいいことずくめのように聞こえるかもしれませんが、失敗すると、iPhone であれ iPod Touch であれ、ただの文鎮と化してしまいますので、すべて自己責任で、ということになります。

3)公式アプリについて
 jailbreak アプリは、あくまでも非公認の裏世界。王道は、やはり iTunes Store にアップされているアプリ類です。
 この一年を振り返って、あらためて思うのは、アプリの質・量ともに飛躍的に向上したこと。iPhone や iPod Touch を使うことの最大のアドバンテージは、良質・大量のアプリにあると言っても過言ではないでしょう。
 サーチ関係、ニュース・雑誌閲覧、辞書、各種ユーティリティ類などを、私も多用していますが、パソコンとは異なる独自のインターフェイスで、単に使い勝手がよいだけでなく、遊び心をくすぐるようなアプリがたくさんあります。
 学問的に使えるようなアプリも続々と出てきています。ODEなどの本格的英語辞書のほか、日本語聖書のアプリもあります(上写真参照)。授業で聖書を使うときにも、もう重たい聖書を持って行く必要がありません。便利な時代になりました。

4)日米の違いについて
 アメリカに来てから、アメリカの iTunes Store をよく見るようになりました。実際に、たくさんのアプリもダウンロードして使っていますが、日米の間で人気アプリにけっこう違いがあるようです。アメリカで人気のあるアプリでも、日本語化されていないという理由だけで、日本では非常にからい評価がつけられている場合が多々ありますが、これはもったいない話です。
 残念ながら、アメリカの iTunes Store のアプリを日本のクレジット・カードでは購入することができませんが、多くは日本の iTunes Storeでもダウンロード可能です。

5)iTunes U について
 今年、大きく変化したことの一つは、iTunes U のコンテンツの増大です。当初、Stanfordをはじめ、数えるくらいしかなかったコンテンツと大学数でしたが、今や、高度なアカデミック・コンテンツ(授業や講演)が数え切れないほどあります。YouTubeもエデュケーション部門に力を入れ始めていますが、iTunes U がアカデミック・コンテンツの共通プラットフォームを形成していることは評価してよいと思います。
 現在、英語圏に限定されている iTunes Uが、今後、どのようにして非英語圏で展開されていくかのかが、私の関心の一つです。アップル・ジャパン、がんばってください。

 次回、二つ目の Gadget of the Year を紹介したいと思います。
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近  著

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