今日、チョン・ヒョンギョン(ユニオン神学校教授)による講演会が開催されました。わたしは司会を務めました。
「母の知恵は境界を知らない―― 韓国人女性の視点からの宗教間対話」というタイトルで話しをされました。話の内容は"Wisdom of mothers knows no boundaries"という彼女のエッセイと基本的に同じだったのですが、日本に対する彼女のイメージやその変化なども交えて、わかりやすい話しをしてくださいました。
チョン教授はラディカルなフェミニスト神学者として世界的に有名ですので、ひょっとして、すごい気の強い人ではないかと、勝手な想像をしていたのですが、事前の打ち合わせで言葉を交わすと、本当に気さくで話しやすい人であることがわかり、内心ほっとしました。(^_^;)
彼女の講演のテーマは多岐にわたりましたが、キーワードの一つは「シンクレティズム」(宗教混淆)であったと思います。彼女は、シャーマニズム、仏教、儒教、キリスト教といった宗教的伝統が彼女を彼女を構成していると語り、また、シンクレティズム的な儀礼を実践することがあり、伝統的な立場をとる人からは、シンクレティズムとして批判されてきたことを語っていました。
しかし、すべての宗教は、キリスト教をはじめ、シンクレティズムの現れである、といいます。シンクレティズムが悪いのではなく、その中身を問うことが重要だとして、よいシンクレティズムもあれば、悪いシンクレティズムもあると語っていました。
話しの端々に、小泉首相による靖国神社参拝の問題が出てきましたが、靖国神社に代表されるシンクレティズム(神道・ナショナリズム・アニミズム等の融合)は悪い例としてあげられていました。そのシンクレティズムが生命を育んでいるのか、あるいは反対に生命を傷つけたり、破壊したりしているのか、を一国家の境界を越えて、考えなければならないと言います。
シンクレティズムが決して悪いものでないことを、「言語」「薬」「食べ物」のたとえで説明してくれたのも、わかりやすかったです。
講演会終了後、同志社のすぐ近くにある「白木屋」という居酒屋で一緒に食事をしたのですが、その途中で尹東柱(ユン・ドンジュ)の詩碑に立ち寄りました。尹東柱については2005年2月13日の記事を参考にしてください。チョン先生は尹東柱の詩がとても好きだ、ということで、詩碑を見て、とても喜ばれていました。
居酒屋では、いろいろな話題で盛り上がりましたが、アメリカ滞在10年目のチョン先生は、今、ニューヨークのリーバーサイド教会の中に住んでいるとのことでした。へ~!を連発したくなるような話しがたくさん聞けて、楽しかったです。