小原On-Line

CISMOR: 2004年11月アーカイブ

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 11月27日(土)、東京駅前の朝日東海ビルの会議室で、CISMORの「アメリカのグローバル戦略と一神教世界」研究会が開かれました。
 たまたま、普段使っている同志社東京オフィス(これは東京駅前の日本ビルヂングにあります)が使えなかったので、違う会場となったのですが、ここがまた立派でした。ビルの27階で見晴らしが、すばらしくよかったです。

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 次のようなスケジュールで研究会が進められました。

1:00-2:00 発表:中山俊宏(日本国際問題研究所主任研究員)
「米国保守派の支持基盤と宗教右派の位置づけ」
2:00-3:00 発表:三浦俊章(朝日新聞論説委員)
「分極するアメリカ―世界との関係を修復できるか」
3:00-3:15 休憩
3:15-3:25 コメント:村田晃嗣(同志社大学法学部教授)
3:25-3:35 コメント:森 孝一(同志社大学神学部教授)
3:35-6:30 ディスカッション

 話題はやはり大統領選挙とイラク戦争に集中しました。この研究会はディスカッションに何と3時間も時間を割いているのですが、それもあっという間に終わってしまったと感じるほどに、興味深い議論が交わされました。要旨はなるべく早く、CISMORブログなどに掲載したいと思います。

 研究会終了後は、恒例の懇親会だったのですが、外に出たところ、ちょっときれいな風景が目に入ったので、記念に一枚撮ってもらったのが下の写真です。

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 一神教聖職者交流会議の二日目も、充実した議論をすることができました。アメリカからのゲストの方々が非常に満足してくださったのが、わたしにとっても、うれしかったです。
 何か明確な答えが見えたというわけではありませんが、少なくとも、ブッシュ再選後のアメリカの実情や課題は見えてきたように思います。それぞれの宗教の代表者が、多様なアメリカの宗教性の全体を代弁できるわけではありませんが、直接に彼ら・彼女らの意見を聞くことにより、今まで抱いていたイメージのいくつかを修正することができ、より突っ込んだ洞察ができるようになったと思います。

 ブッシュを再選させた一つの原動力に福音派のクリスチャンがいます。全人口のおよそ4分の1を占めると言われていますから、半端ではない影響力があります。その福音派の立場の代表者の発表を聞いても、その幅の広さを実感させられましたし、また、わたしが考えていた以上に柔軟に社会の変化に対応していることがわかりました。
 わたしは、その方に福音派には今までのように国内問題にのみ目を向けるのではなく、アメリカは世界に影響を与えているのだから、世界の課題も視野に入れて欲しいと訴えました。福音派はプロ・ライフということで胎児の生命を守り、中絶に反対してきました。しかし、「ライフ」という言葉を胎児に限定するのではなく、イラクに派兵されているアメリカの軍人たちの命、あるいはアメリカ軍の攻撃によって危機にさらされているイラク市民の命、それらもすべて「ライフ」であり、それを損なう政権に対しては毅然とした態度を取るべきではないかと主張しました。
 そして、福音派が近年、"Care for Creation"というテーマでエコロジーの問題にも取り組んでいるというものですから、京都で1997年に「京都議定書」が発行したこと、ブッシュ政権になってアメリカが脱退しているが、それでは地球環境の生命が将来、大きく蝕まれていくではないか。つまり、福音派がブッシュ政権を支持するにしても、間違った政策に対しては、はっきりと批判し、軌道修正するくらいの力を発揮して欲しい、と訴えました。
 その代表の方は、わたしの主張は、いずれももっともなことだと理解してくれました。彼のような柔軟な考え方の人ばかりではないということはわかっていますが、そういう人が増えてくれば、福音派もより建設的な力をアメリカの国内外に対して発揮していくことができると思います。

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 すべてのプログラムが終了してから、京の焼肉処「弘」木屋町店に出かけました。さすが、アメリカ人! 食いっぷりがいいです。さすがに世界の4分の1のエネルギーを1国で消費しているだけのことはあります。(^_^;)
 ともかく楽しい一時を過ごすことができました。明日、一行は京都観光に出かけますが、今回、わたしは授業のため参加できません。

 今回の成果は、なるべく早く日本語および英語でまとめようということになっています。

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 今日は「一神教聖職者交流会議」の第一日目でした。二日間で4つのセッションがあり、その最初のセッションが公開シンポジウムになっています。
 会場は同志社大学今出川キャンパス寒梅館のハーディーホール。実は、今日ははじめて、そこに入ったのですが、えらく立派なホールでびっくり!

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 わたしは公開シンポジウム「現代アメリカのユダヤ教・キリスト教・イスラームが直面する諸問題」の最初の発表者でした。「逆光の被写体-日本社会における一神教のイメージ」というタイトルで話しました。近日中にその原稿は小原克博On-Lineにアップする予定です。
 同時通訳者の便もあって「一神教聖職者交流会議」での発表者は、事前にフルペーパーを提出することになっていました。わたしがペーパーを完成させたのは金曜日の朝。(^_^;)
 その日は、1時間目から授業があり、その授業の準備もあって、結局、木曜日から金曜日にかけては徹夜でした。一睡もせずに、ふらふら状態で1時間目の授業(大学院の講義科目)にのぞんだのですが、なぜか、いつもより学生が少ない・・・
 欠席した一人、わたしのティーチング・アシスタント(TA)の「うめちゃん」(7/28記事参照)に「どうしたん?」と聞くと「寝坊して、起きたら10時でした!」と元気な(!)返事が返ってきました(朝5時頃まで授業用のテキストを読んでいたということですが・・・)。
 ええな~、と妙に感動しました。すばらしいTAをもって、わたしは幸せです。(^_^;)

 そして発表用のパワーポイント・ファイルを完成させたのは、土曜日の朝4時頃。(^_^;) そして、執念で作ったプレゼン画面をかっこよく披露できるはずだったのですが、な、なんと、途中でBluetoothの無線マウスの電池が突然切れて、壇上から画面送りができなくなるという窮地に立たされました。はっきり言って、かなりかっこ悪かったと思います。
 思わずつぶやいた「あっ、電池切れか~?!」という声もしっかりマイクに入ってしまい、会場の失笑を買ってしまいました。(^_^;) 何とか落ち着きを取り戻し、リサーチ・アシスタントのTさんに遠方にあるパソコンを直接に操作してもらい、なんとか発表を続けることができました。いや~、ほんと焦りました。

 事前の準備では電池の状態も良好だったのですが、アルカリ電池は突然パワーダウンするので恐ろしいです。いずれにせよ、プロのやるような失敗ではないので、ちょっと落ち込みました。
 でも、その後のディスカッションやレセプションで、アメリカからの来客者から、あの発表はすばらしかった、おもしろかった、と言ってもらえたので、すぐさま立ち直りました(単純ですね~)。ユダヤ教やイスラムの方が強い関心を示してくださったのは、わたしにとっては非常に心強いことでした。

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 上の写真は、セッションBの様子。このセッションでは、アメリカからのゲスト8名全員から10分ずつの短い発表をしてもらいました。議論は白熱し、あっという間に時間が過ぎ去った感じです。
 わたしは、abortion, same-sex marriage, stem cell researchをめぐるmoral valueが、イラク戦争以上に、今回の大統領選挙の明暗を分ける要因になったが、これはクリスチャンにとっての重要トピックであるだけでなく、同じように、ユダヤ教徒やムスリムにとっても深刻な問題として受けとめられていたのか、という主旨の質問をしました。答えは、Yesでした。

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 上の写真は、今日のセッションが終わり、京都御所の東隣にある「新島会館」でレセプションをした際の一こま。左から、森先生、八田学長、(後ろ向きですが)今井氏(バークレー・東本願寺住職)、わたしです。学長は東京出張から帰ってこられたばかりでしたが、レセプションにお立ち寄りくださいました。ありがたいことです。

 今年のメインイベントの一つ「一神教聖職者交流会議」(11/13-14)がいよいよ今週末に迫ってきました。最初のセッションは公開シンポジウムとして公開されていますので、ぜひお越しください。
 もう本当に目の前なのに、自分の発表準備がまだできていません・・・(T_T) がんばらねば。

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21世紀COEプログラム一神教学際研究センター 公開シンポジウム
「現代アメリカのユダヤ教・キリスト教・イスラームが直面する諸問題」

9.11以降、世界は大きな不安の中に置かれています。イラク戦争、各地で相次ぐテロ。これらの機器に対する洞察と対応が、今、求められています。この公開シンポジウムでは、問題の震源地、アメリカに焦点をあて、そこでユダヤ教・キリスト教・イスラームの指導者たちが、何を考え、どのような世界の未来図を描こうとしているのか探ります。

◎日時:11月13日(土)12時~14時30分
◎会場:同志社大学今出川キャンパス 寒梅館地階 ハーディーホール

[講 師]
小原克博(同志社大学神学部)
 「逆光の被写体-日本社会における一神教のイメージ」
マイラ・ワッサーマン(ベツ・シャローム・ユダヤ共同体)
 「選ばれし者の選択:米国ユダヤ人にとっての自由の挑戦」
クラーク・ローベンシュタイン(メトロポリタン宗教対話協議会)
  「宗教間対話への要請」
マハ・エルジェナイディー(イスラーム・ネットワークグループ)
  「米国の公的領域でイスラームを語る」

[コメンテイター]
ロン・サイダー(「社会行動を求める福音派」 イースタン神学校)
イブラーヒーム・アブディルムイッズ・レイミー(フェローシップ・オブ・リコンシリエイション)
今井亮徳(バークレー・東本願寺)

※同時通訳あり・入場無料
※問い合わせ 一神教学際研究センター事務局 
 TEL:075-251-3972 E-mail:staff@cismor.jp

■「現代アメリカのユダヤ教・キリスト教・イスラームが直面する諸問題」案内ちらし(PDF)
http://www.cismor.jp/jp/doc/lecture041113.pdf

■一神教聖職者交流会議2004
http://www.cismor.jp/jp/workshops/2004/20041113.html

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 11月10日、イラン科学アカデミー学部長のモスタファ・モハッゲグダーマード師を迎え、同志社大学で少人数のセミナーを開催しました。文化庁が主催する会議に出席するために来日されていたのですが、それならついでに、ということで、同志社に来ていただきました。モハッゲグダーマード師はかなりの高位聖職者でもあります。
 TIME誌が最近イスラーム特集をしたときも、モハッゲグダーマード師のコメントが取り上げられていたので、欧米世界でもかなり知名度の高い方であることがわかります。イランの高位聖職者でありながら、欧米型民主主義に対しても肯定的な評価をするベラルな側面を持っています。
 今回のセミナーでは"Western Democracy from the View of Islamic Studies"というタイトルで話をしていただきました。欧米の民主主義が個人に立脚するのに対し、イスラーム型民主主義はコーランに基礎をおく、という大きな構造から入って、細かな違いや共通点を語られていました。
 わたしは、イスラーム型民主主義がコーランに基づくといっても、その解釈は一様ではないのであり、見解が分かれた場合、どのように調整するのか、と質問しました。また、モハゲグダーマード師はTIME誌でもリベラルな人物として紹介されいましたが、実際に、イランでそのような立場に同調する人はどれくらいいるのか、といったことも聞きました。
 特定の解釈はない、というのが返答の中心的なポイントであったように思います。しかし欧米では、カトリックとプロテスタントの間で、あるいはプロテスタント同士の間で、何事につけ解釈上のコンセンサスを得るのは簡単ではないこと、そして、解釈上の相違が宗教戦争や迫害を引き起こしてきたという教訓から、政教分離というルールを確立していったわけです。イスラームが政教分離ではない方法で民主主義を実現しようとするなら、宗教上の見解の相違をどのように調整するかは、きわめて大きな問題となるはずです。そのあたりを突っ込んで聞きたかったのですが、時間の都合上、そこまでは聞くことができませんでした。
 実際、イランにおいてもハタミ大統領のように、欧米に開かれた姿勢を持ちながら民主化を進めようとした人もいれば、伝統的な政教一致スタイルを主張する伝統的なイスラーム聖職者もいます。この両方の極性が、ぶつかりあっているよな光景を時々見るだけに、上記の点に関心を寄せざるを得ないのです。

 イスラーム型民主主義の可能性。これはイランだけの問題ではなく、広く中東世界の安定を繁栄を考えるとき、非常に大きな課題であると言えます。

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