小原On-Line

同志社大学: 2007年6月アーカイブ

 現在、Neesima Room で 「同志社と戦争」展が開催されています。私はすでに3度行きました。小さな展示ですが、戦時中の同志社の様子を遺品等を通じて知ることができます。
 この展示との関係で、本日、次のような公開講演会が行われ、私も参加しました。

駒込 武(京都大学大学院教育学研究科准教授)
「戦時下の同志社―帝国日本の歴史の中で考えるー」

 この時期の同志社の様子について、私はまだ十分勉強していないので、今日の講演はとても、ためになりました。
 一言で言えば、戦時体制に巻き込まれる中で、同志社も、御真影を安置したり、神社参拝をしたりしました。御真影をおさめた奉安殿が、今出川キャンパスのど真ん中にあったということを、今日はじめて知りました。

 1941年には、戦時体制に合わせる形で、同志社の憲法ともいえる「財団法人同志社寄付行為」が改正されました。たとえば、第4条は以下の通り。

改正前:本財団ノ維持スル学校ハ基督教ヲ以テ徳育ノ基本トス
改正後:本法人ノ維持スル学校ハ皇国民ノ錬成ヲ目的トシ之ニ適合スル基督教ノ精神ヲ採ツテ徳育ニ資ス

 先日もこのブログで話題にした「徳育」がここでも出てくるのですが、戦時下において、皇国的精神が徳育の中に組み込まれたことが、条規改正からも一目瞭然です。

 徳育とは何か? 日本の教育界では、今後話題になっていくのでしょうけれども、歴史的にも、なかなか意味深長な概念です。これから、少しずつ整理していきたいと思っています。

 春学期の講義科目「戦争・正義・平和――宗教多元社会の中で」において、学術的な参考文献の他、戦争やそれに関する世界観を考えてもらうために、関連する映画やマンガなどを折に触れて紹介しています。
 映画では「ガンジー」「マルコムX」など。マンガでは、手塚治虫の「火の鳥」などを強く推薦しました。
 昨日の授業では、学生からのコメント・カードに「ガンダム・シリーズでも戦争のことを考えさせられた。他におすすめのマンガがありますか」という質問があったので、「風の谷のナウシカ」の映画ではなく、マンガ全7巻を紹介しました。
 映画では、2巻の途中くらいまでをうまくまとめていますが、これでは、ナウシカの奥深い世界を知ることは到底できません。
 人間と自然との葛藤、戦争の原因だけでなく、救済、終末思想、メシアニズム、母性の両義性、善と悪の非二元論的関係、等々、多くのことを考えさせられます。
 ただし、深読みしていくためには、それなりの知識が必要かもしれません。
 百聞は一見にしかず。まだの方には一読をお薦めします。 

風の谷のナウシカ(Amazon)

 昨日、香港中文大学(Chinese University of Hong Kong)の Archie Lee 先生が京都に到着し、久しぶりに再開しました。1ヶ月間、同志社の客員研究員として、京都に滞在されます。
 Lee先生の専門は聖書学ですが、アジアを主題とした神学研究もされています。「アジア神学」者と言ってもよいでしょう。
 アジア神学は、私も目下取り組んでいるテーマなので、Lee先生と意見交換できることはうれしい限りです。
 日本の神学では、アジアを主題化するということが、ほとんどなされてきませんでした。戦前のアジア主義、国体イデオロギーに取り込まれたアジア理解に対する反作用という側面も否定できませんが、いずれにせよ、アジアから日本の神学研究が孤立してしまっていることは、もはや看過できません。
 アジアへの視点は、これまでの私の研究の中にも萌芽的には存在しているのですが、まだまだ十分には展開できていません。これから、真剣に取り組みたいと考えています。

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