本日、スーダンからやってきて、しばらく日本に滞在予定のイサム・モハメド氏(Alneelain University教授)と会い、寒梅館7階のSecond House Willでランチを共にしました。モハメド氏の友人である武岡先生(名古屋大学名誉教授)も一緒でした。武岡先生については、2005年2月12日の記事を参照してください。
モハメド氏はもともと獣医だったのですが、スーダンにおけるクーデターの影響で、公職を追放され、その後、あれこれあった末、名古屋大学で農業経済の博士学位を取得されました。
彼から、クーデターによってイスラーム原理主義の政権が誕生したのですが、彼はまさにその犠牲者であったと言えます。
しかし、スーダン南部のキリスト教徒とイスラーム教徒との23年に及ぶ争いや、ダルフールの虐殺のことについても聞きました。数日前、日本の各紙でも、南部の紛争解決に大きく寄与した副大統領ジョン・ガラン氏がヘリコプターの墜落で死亡した、との記事が掲載されていました。モハメド氏によれば、これはおそらく暗殺だろう、少なくとも、スーダンでは誰もがそう考えている、と説明してくれました。日本のメディアはここまで突っ込んだ言及はしていませんが、聞いていると、なるほどそうかも、と思わされました。
同志社のキャンパスを歩きながら、彼が同志社の学生規模を尋ねるので、2万人くらいだと答えると、彼の大学は7万人の学生がいるとのこと。そして、スーダンの大学進学率は60パーセントを超えるということで、聞いて驚きました。非常に高い進学率です。
量的な拡大にかなりスーダン政府は力を入れてきており、近年は、質の低下をどうするのかという問題に直面しているそうです。しかし、モハメド氏はたとえ質の低下を伴ったとしても、大学教育をできるだけ多くの人に受けてもらうべきだと考えています。教育によってしか、国の未来を大きく変えることができないとの信念を感じました。
しかし同時に、学生の中にも、過激なイスラーム主義が入り込んでいるらしく、イラクやパキスタンに出かけて、そうした教えに触れようとする学生が後を絶たないそうです。彼がもっとも苦悩している点でした。彼は農業経済学が専門なのですが、実証的なデータの分析に基づいて、スーダンにおけるイスラーム主義の動向(特に、Islamic National Frontier)についての研究も進めており、原理主義とは何か、という点で話がはずみました。
彼によれば、原理主義は悪い面だけで評価するのは間違いである、ということで、この点に関しては、わたしも十分に同意することができました。その言葉が使われている場所、意味内容によっても、理解の仕方は異なってきますが、原理主義=悪、テロリストといった等式を繰り返すだけでは何の問題解決にもならないことは明らかです。
スーダンに来て、スーダンの様子をぜひ見て欲しいと懇願されました。夏は猛烈に暑いので、やはり冬がいいとのこと。来年2月頃に行くかもしれません。