昨日の続きですが、私が今関心を寄せていることの一つは福音派の多様性です。
リベラル派からは、しばしば一枚岩のように描かれがちな福音派ですが、実際には神学的にも政治的にも幅があり、それは今日いっそう流動化しているように思います。
たとえば、昨日の会田さんのデータによれば、中間選挙で福音派の7割が共和党に、3割が民主党に票を投じています。これは、2年前の大統領選挙と比べ、民主党に票が流れていることも示しています。
福音派=共和党支持者という図式は、間違っているということが、この数字からもわかるでしょう。
福音派の中で民主党よりのリベラルな政治スタンスをリードしているのが、Jim Wallisらです。彼らは liberal Evangelical と呼ばれています。
こうして見ると、同じ福音派の中でも、共和党支持者の核には「宗教右派」(キリスト教原理主義者)が牽引力となっており、民主党支持者の核には「リベラル福音派」が牽引力となっている構図を大きく見ることができます。
変化は、福音派の内部だけにとどまりません。今回の中間選挙に対する影響力ははっきりしませんが、世俗主義者と言われてきた民主党が、大統領選挙以降、急速に宗教対策(特に福音派への接近)を強化してきたことは、よく知られています。God Gapを埋めろ!という運動方針です。
たとえば、中間選挙前に、民主党のホープ、オバマ氏が福音派の集会で講演をしています。
また、次のサイトを見ると、民主党の取り組みの一端を見ることができます。その名もズバリ、Faithful Democrats(信仰的な民主党員)!
http://faithfuldemocrats.com/
今後、揺り返しも含めて、事態の変化から目を離せません。しかし、福音派に対する客観的な研究は日本では皆無に等しいです。このあたり、何とかならないかな~と思っているのですが・・・