シンポジウムの二日目、最初のセッションの司会をし、その次のセッションで発表をしました。私の発表タイトルは "Monotheism, Nationalism and the Postmodern Resurgence of Religions: Focusing on the Modern and Contemporary Japan"というものでした。
セッションの中でも、またその後も、多くの質問・コメントをいただいたので、手応えありという感じです。ユダヤ学、ユダヤ文学、聖書学、ユダヤ思想関係が多い発表の中では、かなり異色の発表として目立ったかもしれません。
シンポジウム全体のクロージング・セッションで、今回の主催者である Institute for Jewish Studies の所長、Xu Xin 教授が興味深い話をしていました。
今回のようなテーマの国際会議は、10年前の中国であれば、絶対に認められなかった。5年前でも、かなり難しかった。今日、こうしたテーマの国際会議を開くことができるようになった点から、中国社会が、一定の枠組みの中に置かれながらも、少しずつ変化していっていることを知ってほしい、という話があり、その語りに共感しました。
アメリカの視点から見れば、中国社会の「宗教の自由」はまったくひどい有様かもしれませんし、また、現実に、北京で家庭教会の関係者が多数逮捕されるという事件が3月にありました。しかし、10年、20年という長さで測れば、中国社会は着実に変化していることもまた事実です。その変化が遅すぎると、怒りと不満をぶつけるべきなのか、あるいは、その変化を、時には寄り添いながら見守っていくべきなのか。私は、後者の道を選びたいと思っています。
シンポジウム終了後に、バスで移動して、儒教寺院が集まる観光スポットを見学しました。実は、昨年の夏にも、私は同じ場所に連れて行ってもらっています。しかし、あらためて説明をしてもらったり、参加者とあれこれの会話を交わしながらの散策は楽しいものです。
今回は、多くのユダヤ人、ユダヤ教研究者と話ができて、ユダヤ人やユダヤ教を取り巻く状況を、より深く理解することができました。本では学ぶことのできない知識や感触を得ることができたという意味でも、今回のシンポジウムに参加したことに意義があったと思います。
明日は、早朝5時にホテルを出て、空港に向かいます。昼過ぎに関空に着き、午後から取材が一件、その後、夕方から授業が2コマ続きます。すでに、かなり疲れているのですが、帰国後、もう一踏ん張りしなければなりません。