栗生楽泉園を訪ねたとき、強烈な印象を受けたものの一つに重監房跡がありました。
重監房の歴史について、私はまだ十分に理解していませんが、当時、ハンセン病患者の収容施設の中で、脱走を試みたり、反抗的であったりした人が、この場に強制的に連れてこられ、収監されたようです。
収監されたほとんどの人が病気になったり、亡くなったりしたようです。
それもそのはずで、非常に劣悪な環境であったからです。
下の写真は、建物が取り壊されたあとの基礎部分だけが残っていることを示していますが、いずれの独房も2メートル四方の非常に狭い場所であったことがわかります。その中にトイレと、小さな窓が一つだけついていたとのことです。
戦時下には、国家が率先して、「健康・健全な国民」の育成を叫びます。しかし、そのことに裏側には、ハンセン病患者を筆頭に、健康ではないとされた人々が社会から排除され、隔離されたという事実が横たわっています。そのような歴史的教訓を、あらためて心に刻む機会となりました。
今、政府が「メタボ撲滅!」とも聞こえるようなキャンペーンや政策を行っていますが、単に「余計なおせっかい」というにとどまらず、国家が健康を主導したときには、同時に、その枠からはみ出る人がどうなるのかという側面に注意を払い続ける必要があると思います。