小原On-Line

書籍・雑誌: 2011年11月アーカイブ

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 11月5日(土)、日本クリスチャン・アカデミー 関西セミナーハウス活動センター主催の講演会に出席してきました。講師の関根清三先生(東京大学 教授)が「いのちについて──キリスト教倫理と一般倫理のはざまから」というテーマで話をしてくださいました。
 旧約聖書(特に創世記)の釈義から、西田幾多郎などの哲学思想を交え、また、新約聖書からイエスの思想的特徴を抽出するなど、非常に幅広い角度から、いのちの問題について問題提起をしてくださいました。
 「あなたがたも聞いているとおり、『隣人を愛し、敵を憎め』と命じられている。しかし、わたしは言っておく。敵を愛し、自分を迫害する者のために祈りなさい。あなたがたの天の父の子となるためである。父は悪人にも善人にも太陽を昇らせ、正しい者にも正しくない者にも雨を降らせてくださるからである。」
(「マタイによる福音書」5:43-45)をベースにしながら、「イエスの生前の思想の中心はアガペーと神の支配の思想であって、贖罪思想ではなかった」と論を展開していくあたりは、挑発的でありながら、納得のいくものでした。
 キリスト教を「デコード」することによって、より普遍的で開かれた議論へとつなげていきたい、という趣旨を講演全体の中で感じ取ることができました。
 旧約聖書学と倫理学の両方を専門とする両刀使いは、きわめて貴重です。聖書学それ自体も、もちろん興味深い分野ですが、それが他の分野や社会的関心とどのようにつながっていくのかを、関根先生ほど雄弁に語れる人は、なかなかいないでしょう。
 関根先生の近著は『ギリシア・ヘブライの倫理思想』(東京大学出版会)。お薦めです。

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 内容の詳細については、新教出版社の下記紹介ページをご覧ください。


 私は「原発問題の神学的課題」というタイトルで寄稿しています。かなり多彩な文章が収められていますが、十分、議論の出発点になると思います。
 関心ある方は、ぜひご一読ください。こうした本を手がかりにしながら、今後、よりしっかりとした議論と思索を積み上げていきたいと願っています。

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