佐藤優『国家と神とマルクス』をざっと読みました。「絶対的なものはある、ただし、それは複数ある」と語ってきた著者にとって並存する絶対的な3項、すなわち、日本国家、キリスト教、マルクスが書名の背後に意図されています。
ただし、本文でこれらががっちと展開されているわけではありません。これまで、佐藤氏が『月刊日本』や『情況』という(おそらく一般読者にはあまり縁のない)雑誌での対談や原稿をまとめたものです。
獄中での読書体験記は興味深く、半端な読書力でないことがわかります。
「私にとって小菅(東京拘置所)の独房は、かつて得た中で、同志社大学神学館二階の神学部図書室と並ぶ、読書にとって最高の環境だった。」
こういう表現にも見られるように、神学部のことがかなり頻繁に出てきますし、また、佐藤氏のキリスト教信仰がストレートに語られています。
ちなみに、神学部図書室は今年の夏、大改装を予定しています。壁をいくつかぶちこわし、かなり大きなスペースを確保し、さらに良好な読書環境、研究環境を提供する予定です。