小原On-Line

小原克博: 2012年3月アーカイブ

 「未来は苦難の正視から」(「知遊自在」不条理を抱きしめて〜震災と哲学④、『朝日新聞』2012年3月26日、夕刊)を掲載しました。紙面全体が大きくて、手持ちのスキャナーではスキャンできませんでしたので、iPhoneで撮影した画像を使っています。画質はよくありませんが、PDFでは問題なく文章を読むことができます。
 私が取材を受けた部分は冒頭にあります。長時間の取材の中で話した内容のほんの一部ではありますが、不条理とどのように向き合うかという課題に対する一つの視点の提供にはなっていると思います。
 苦難の「意味」を問う出来事として原爆の問題を取り上げています。永井隆のように「神の摂理」を持ち出すことは諸刃の剣となること、また、不条理への問いとして「神義論」の伝統があることを述べています。
 3.11が投げかけた問題の全体像をしっかりと受け止めていくためには、まだまだ時間がかかりますが、自分なりに少しずつ課題を整理していきたいと考えています。

 あと、最近『京都新聞』に掲載された2月の国際シンポジウムの記事は下記ページにアップしています。
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 3月29日、日本基督教学会 近畿支部会が大阪キリスト教短期大学(右写真)で開催されました。
 私は朝一番から司会があたっていたため、7時過ぎの電車に乗って天王寺に向かいました。天王寺には久しぶりに来ましたが、駅周辺の様子が様変わりしていることに驚きました。
 午前中は研究発表が4会場に分かれてなされました。私のゼミ生たちも多数発表しました。
 午後は「原発問題とキリスト教」というテーマでシンポジウムがなされました。ここでも、栗林先生にご講演をいただきました。
 旧知の方々とお会いできるのも、こうした支部会主催の学会の醍醐味です。
 関学の先生方と遅くまで居酒屋で話し込み、病気の話や健康法について話が盛り上がりました。みなさん、年を取ってきていますが、それなりに元気です。
 大行寺は江田島にあるのですが、私は呉のホテルで宿泊し、そこから船で江田島に出かけていました。
 その呉の港にある観光スポットの一つが大和ミュージアム。今は、呉も平清盛ブームですが、その前に多くの観光客を集め、また今も集め続けているのが大和ミュージアムです。
 大和関係の資料が豊富に揃えられていますが、私が感心したのは、映像関係のクオリティが非常に高かったことです。当時の再現映像など、非常に手間暇かけて作られた見応えあるものが多くありました。
 以下、大和ミュージアムの写真をいくつかあげておきます。

 大教寺での春季彼岸会(ひがんえ)三日目の話を終えて、京都に戻りました。三日目は、仏教と平和について話しました。
 二日目の空き時間を利用して、江田島の観光スポットである海上自衛隊幹部候補生学校(旧・海軍士官学校)を訪ねることができました。日本近代史を凝縮したような濃密さに触れることができました。西洋列強に対峙するための海軍力増強の要が、この場所にあったことを、ひしひしと感じさせられました。
 以下、写真で様子を紹介します。

20120325_1.jpg 呉のホテルから港に向かい、そこから高速艇に乗って、江田島に向かいました。江田島の小用(こよう)から大行寺まではタクシーを使います。大行寺は高台にあるので、瀬戸内海を眺望することができるのですが、じっと見ていると潜水艦が動いているのが見えました。このあたりには海上自衛隊関係の施設があるためだと思います。本物の潜水艦を目の当たりにしたのは初めてで、かなり大きいことに驚きました。

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 今日は大行寺で朝と午後の二回、話をしました。朝は、浄土真宗のエッセンスについて、午後は、葬儀・終末期医療とと仏教について話しました。
 檀家の方々がたくさん来てくださり、熱心に聞いてくださっている姿には心励まされました。
 広島は「安芸門徒」と呼ばれる浄土真宗の門徒がたくさんいる土地柄です。江田島だけでも20ほどの本願寺派寺院があるようです。日本の中でも、広島は真宗門徒の人口密度がもっとも高いところではないかと思います。

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 お寺で、私が浄土真宗について話すのは、考えてみれば奇妙なことかもしれませんが、外部の人間がどのように浄土真宗をとらえているかを知るのは、門徒の方々にとっては一定の意義があると思います。特に、浄土真宗が当たり前の地域では、自分たちの信仰を客観的にながめ、自覚的にその輪郭をつかむという作業は欠かせないでしょう。
 私は、仏教の他の宗派やプロテスタントなどとの比較を交えながら、浄土真宗のユニークさについて話をしました。「他力本願」「信心一つ」という教えは、絶大な自由度を真宗門徒に与えますが、それは同時に大きな責任と(自覚的な)選択を伴うものであることを強調しました。

 午前と午後の話の合間に、近くにある海上自衛隊幹部候補生学校(旧・海軍士官学校)の見学にでかけました。後日、写真をアップしたいと思います。
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 本日から三日間、浄土真宗本願寺派 大行寺(広島県江田島市)で話をするために江田島に向かいました。
 新幹線で広島まで行き、そこから港のある宇品まで移動し、そこからは右の写真にある高速艇に乗って20分ほどで江田島に到着です。
 お寺での法話は初めての経験でしたので、最初は緊張しましたが、初日は仏教を中心に自己紹介的な話をしました。みなさん熱心に聞いてくださるので、一時間という時間があっという間に過ぎていきました。
 今日は時間の余裕がありませんので、明日、引き続き報告をいたします。
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 3月17日、龍谷大学で宗教倫理学会の公開シンポジウム「3.11以降の社会と宗教」が開催されました。
 真宗大谷派の福島和人先生と関西学院大学の栗林輝夫先生(写真)を講師としてお招きし、それぞれ40分ほど話をしてもらった後、私を交えて、パネル・ディスカンションをしました。
 原発問題をどのようにとらえるのかについて、仏教とキリスト教の視点の違いや共通性について確認することができたように思います。
 人間と自然との関係、人間中心主義、技術と人間の欲望をめぐる問題などを議論し、今後予定されている研究会の論点が示されたように感じました。
 以下に栗林先生の講演のメモをつけておきます。
 「e安息日──アンプラグせよ、現代人!」(『月刊チャペル・アワー』No.276、2012年2月10日)を掲載しました。『月刊チャペル・アワー』は同志社大学 キリスト教文化センターが発行している奨励集です。
 紙媒体でしか読めないため、今回、ページをばらばらにして、最近購入したばかりの ScanSnap S1300 でスキャンし、PDF化しました。この機種は、ScanSnap のシリーズの中ではエントリーモデルの小型機なのですが、今までこの手の機器を買ったことがなかったので、その使い勝手のよさに正直驚きました。ページをぐいぐい読み込んでいって、両面スキャンしてくれます。
 きれいにスキャンされていますので、精細な文字で読むことができます。「e安息日」って何だ?!と思われた方は、どうぞご一読ください。
 今週土曜日、以下のように3.11をテーマとする宗教倫理学会主催の公開シンポジウムが予定されています。
 お近くの方、ぜひご参加ください。

宗教倫理学会 公開シンポジウム
「3.11以降の社会と宗教」
日時:2012年3月17日(土)、午後1〜3時30分
場所:龍谷大学 大宮キャンパス 清和館3階ホール

講師:
福島和人(真宗大谷派東本願寺教学研究所 嘱託研究員)
 金沢市の真宗大谷派・本教寺に生まれる。金沢大学法文学部史学科、大谷大学大学院(仏教文化専攻)で学び、京都大谷高等学校 教諭、大谷大学・大谷専修学院 講師を経て、現在、真宗大谷派東本願寺教学研究所 嘱託研究員。『近代日本の親鸞』『親鸞の思想──戦時下の諸相』など、著書多数。

栗林輝夫(関西学院大学 教授)
 国際基督教大学、東京神学大学を経て、米国、欧州に学ぶ。Ph.D.(ニューヨーク・ユニオン神学校)。留学中にスリーマイル島原発事故に遭遇、日本の反核使節団通訳として国連、アメリカ東部各地を訪問。ドイツでは、プロクドルフ原発前祈祷集会などの反核運動に参加。『原子爆弾とキリスト教』など、著書多数。

[プログラム]
趣旨説明:小原克博(同志社大学 教授)
講演1:福島和人(40分)
  「依正不二(えしょうふに)の教法(きょうぼう)」
講演2:栗林輝夫(40分)
  「原発をキリスト教はどう見るか」
   (休   憩)
パネルディスカッション
  福島和人、栗林輝夫、小原克博
フロアーとの質疑応答

 なお、今年度の研究プロジェクトのテーマは下記の通りです。目下、私が研究プロジェクト委員長をつとめている関係上、私が作文しています。
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 3月10日、龍谷大学で、京都・宗教系大学院連合(K-GURS)の公開シンポジウムが開催されました。今年は「宗教は復興支援のために何ができるのか──学生からの報告と提言」というテーマをかかげ、被災地支援の活動をされた学生さんと、被災地の方を交えた報告会をしました。
 それぞれの関わり方やその視点が多様であり、かつ、深い内省をともなった報告であっただけに聞き応えがありました。
 パネル・ディスカッションでは、宗派・宗教の違いを超えた協力関係の構築が話題の一つになりました。被災地におけるカトリックの礼拝の中で、共に支援にかかわった仏教関係の方々が読経をしてほしいと頼まれ、十字架を前にして初めて読経したという報告がなされたのが、そのきっかけでした。
 さすがにカトリックは懐が深い、と感心しました。カトリックNGOのカリタス・ジャパンの先導的な働きも、仏教系の学生さんたちから報告がありました。カリタスの存在感はやはりすごいです。
 同志社からは、私のゼミ生である熊谷さんに報告をしてもらいました。日本基督教団の活動を中心に報告をしてくださり、キリスト教ができることの可能性や課題についてまとめてくださいました。
 こうした若い世代の真摯な取り組みが、継続的になされていくことを願わざるを得ません。
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